小説の世界で『生気』という概念が物語の根幹を成す作品といえば、まず『十二国記』が思い浮かびます。このシリーズでは「王気」や「麒麟の選定」といった形で、国の運命と人々の生命力がダイレクトに結びついています。特に登場人物たちが示す気高さや覚悟が、文字通り世界を動かすエネルギーとして描かれるのが特徴的です。
ファンタジー作品では『指輪物語』も外せません。中つ国に満ちた「エルフの光」や「ヌメノールの没落」といったテーマは、文明の盛衰と生命力の衰退がリンクしています。樹人たちの長い眠りと目覚めの描写は、生気が土地そのものに宿ることを感じさせます。
日本文学では『陰陽師』シリーズが興味深い解釈を提示しています。鬼や怨霊との対峙において、人間の「生ける気配」が重要な鍵となる場面が多々あります。安倍晴明が
式神を操る術も、目に見えない生命エネルギーの操作という側面があるでしょう。