深く愛した果てに、結末はあまりにも淡く結婚も間近に迫っていたある日、江本清司(えもとせいじ)が招待状を手に私と招待客の名簿を確認していたとき、何の前触れもなく、こう言った。
「話がある。
俺、法律上はもう妻がいるんだ。
君さえ気にしないなら、招待状はそのまま出す。式も予定どおりやる」
彼は何でもないことのように煙草に火をつけ、気のない口調で言い添えた。
「昔、家に押しつけられたんだよ。受け入れた以上は、責任くらい取らないとな」
頭の中が真っ白になった。
しばらくして、ようやく声を絞り出した。
「じゃあ、この六年……私たちは何だったの?」
「俺が最低だったってことだ」
彼は灰を落としながら言った。
「で、これからどうするかは、君が決めろ」
下腹に添えていた手が、かすかに震えた。
そこには、今日こそ彼に伝えようと思っていたサプライズがあった……