アニメの中に取り込まれたら、ラスボス美女に狙われました。

アニメの中に取り込まれたら、ラスボス美女に狙われました。

last updateLast Updated : 2025-11-20
By:  専業プウタOngoing
Language: Japanese
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俺はブラック企業でメンタルを崩し、社会からドロップアウトした。大学時代から付き合っていた彼女から2股をかけられていた上に捨てられる。女と社会への恨みを書いた小説が運良くメディア界のフィクサーの目に留まりアニメ化。俺は自分の小説が原作のアニメの中に取り込まれ、主人公ライオット・レオハードに憑依していた。主人公を利用しまくる予定の絶世のラスボス悪役令嬢との接触を避けようとするも、その行動が思わぬ予想外の展開を生む。ラスボス悪役令嬢はチート級の能力を持つ危険な女、逃げろ! 惹かれずにはいられない魅力に贖い世界を救え!

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1.創造主様に帝国一の美女を献上しなくてわ。
「ライオット・レオハード皇子殿下に、エレナ・アーデンがお目にかかります」黄金を溶かしたような金髪にルビーのような赤い瞳をした絶世の美女エレナ・アーデンの登場だ。俺が創造したキャラクターである彼女は、まさに悪役令嬢だ。俺との婚約話が持ち上がった彼女と俺は皇宮のガーデンテラスでお茶をする。アニメ『赤い獅子』の第一話の場面だ。彼女は自分の美しさを武器に、ライオットを誘惑しまくり利用する。俺は彼女と婚約することになっているが、すぐにあっさり捨てられることを知っている。「婚約の話は無しで良いよ。俺は、もう顔が良いだけの女は卒業しているんだ」「私が顔だけの女に見えますか? 皇子殿下のお役に立てる女ですよ」「皇子殿下を利用する女の間違いだろう。薄っぺらい女だな、俺はお前と婚約する気はない。弟のアランとの婚約できるチャンスが来るのを待ったらどうだ? 俺と婚約しても、未来の皇后にはなれないぞ」ライオットは皇帝と踊り子の息子で、血筋的に皇后の息子であるアランに劣るのだ。この後、次期皇帝として立太子するのは弟のアランだ。「いいえ、私があなたを次期皇帝にします。第一皇子であるライオット・レオハード皇子殿下が皇太子になり次期皇帝になるに決まっております。アーデン侯爵家があなたの後ろだてになります」「よくもまあ、そのような適当なことが言えるな。俺は未来が見えるんだ。このあと、弟のアランを立太子させる話が出て来る。皇后陛下は立太子のお祝いに、帝国一の美女のエレナ・アーデンを可愛い息子アランに献上するんだ。俺との婚約話は白紙になる」「私をまるでモノみたいにおっしゃるのね」「モノだとは思ってないよ。俺はお前を強かな蛇だと思っている。エレナ・アーデン、お前は強欲でアランのことも利用しようとするんだ、他国の王族と通じて彼のことさえも陥れようとする」「私のことをお前だとか呼ぶのをやめていただけませんか?私はライオット皇子殿下と正式に婚約するつもりですし、弟君に乗り換える節操のない行動もするつもりはございません。他国の王族と通じるなどと、レオハード帝国で最も尊敬されるアーデン侯爵家の家紋の名に傷がつくようなことするわけがありません」「申し訳ないけれど、何を言われようとアーデン侯爵令嬢と婚約するつもりはない。侯爵令嬢は俺の嫌いな女に似ているんだ。ちなみに、俺は本当は可愛い系
last updateLast Updated : 2025-11-03
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2.どちらにしろクソ女だ。
「エレナ、君は俺がこの世界の創造主だということを適当に受け止めていて信じてないだろ。君をつくったのは俺だという証明をしよう。君が先程、子供の頃、俺を好きになったと言うのは本当のことだ。しかし、そのようなことはすっかり忘れて権力を追い求めるのがこれからのエレナだ。帝国だけでは、飽き足らず世界まで手にしようとして失敗する。全てを失った後、俺が好きだという気持ちだけが自分の真実だったと気が付く。現時点では、俺のことを利用しようとしか思っていない。しかし、エレナが思っている利用価値はないぞ。エレナは俺の武力を利用しようと思っているが、俺は今後絶対に剣を握らないと誓う」俺は自分で言っていて、良くこのような恥ずかしい話を書いたものだと笑いそうになった。エレナは俺を捨てた元カノがモデルだ。彼女は俺がメンタルをやられて会社を退職すると、商社マンとすぐに結婚した。俺との交際時期は絶対にかぶっている、つまり2股されていたのだ。そして、その商社マンは商社がお預かりしている大企業の御曹司だ。俺はその大企業の御曹司をモデルに、エレナに引き摺られて破滅する弟のアラン皇子を書いた。苦労知らずのおぼっちゃまには是非元カノと破滅して頂きたいとの願いを込めたのだ。「私が自分のことを好きだと言うのに、あれ程冷たい態度をおとりになったのね。駆け引きのつもりかもしれないけれど、無駄なことよ。それにしても、剣術の天才と呼ばれるライオットが、剣を握らないのはなぜですか?あなたの数少ない取り柄なのに勿体無いわ」「数少ない取り柄って失礼だな。君は本当に俺のつくったエレナか?もしかして、俺に対して怒っていたりするのか?」俺のつくったエレナ・アーデンは利用しようとしているライオットに対しては甘い言葉ばかり吐くはずだ。このように毒を吐くとなると、俺のつくったキャラ設定とは離れてくる。もしかしたら彼女は異世界のエレナ・アーデンなのかもしれない。俺は異世界に一度飛ばされたことがある。滞在時間は1時間にも満たず、元の世界に戻った。その時に飛ばされた世界で帝国のアラン皇子が立太子すると共に婚約したエレナ・アーデンという絶世の美女の話を聞いたのだ。彼女が次期皇后になりたくて兄のライオット皇子から弟のアラン皇子に乗り換えたと聞き、元カノそっくりだと思った。そして、元カノをモデルにしたエレナ・アーデ
last updateLast Updated : 2025-11-03
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3.みんな主人公が好きだという病んだ設定です。
「正式な婚約をしましたよ。まだ、私がアラン皇子に乗り換えるとお思いですか?」夜、眠りにつこうとしたら、寝巻き姿のエレナが俺の部屋に現れた。「流石に、婚前に未婚の貴族令嬢が男の部屋で過ごすのはよくない。自分に用意された部屋に戻ってくれ!」「明日から皇宮で花嫁修行が始まりますわ。皇宮に泊まるのは初めてなので、怖い夢をみそなのです。だから一緒に寝てくださいな」エレナには裏設定がある。彼女は暗殺ギルドを牛耳っているのだ。そう、彼女自体の暗殺スキルも相当なもので俺は彼女と2人きりになるのが怖い。「では、失礼」俺は扉を閉めると彼女のネグリジェをめくった。ここに武器を隠している可能性があるからだ。そこには艶かしい白い足しかなく、武器はなかった。「何をなさるのですか?」彼女が頬を染め、ネグリジェーを抑えているが照れた演技だろう。その姿がとても可愛くてときめいてしまい危険だ。「身体検査だよ。エレナが武器を隠していて、俺を暗殺しようとしている可能性があるからな!」「そのようなことを言って、私を誘っているのですか?ダメですよ。私を強欲な女と侮辱したのだから、女としてのサービスは一切いたしません」「では、自分の部屋に戻ってくれ」「この部屋に来るのを他の使用人に見られました。男女の関係にあるということになっているのですよ。今、私が部屋に戻ったら私があなたに追い返されたと思われます」「実際、今、君を追い返してる。婚前に男と関係があるふしだらな貴族令嬢と思われる方が、男に相手にされていないと思われるよりも嫌だというのが君の価値観だ。俺は逆の価値観を持っている。人に見られるのが嫌なら天井裏から帰ったらどうだ?皇宮のあらゆる隠し通路は把握しているだろう?」「私がそのような隠し通路を把握しているわけありませんよね。何を怯えているのですか? 私のようなか弱い女を怖がるあなたは滑稽ですよ。天井裏だなんて小汚い場所、私が行くと思いますか?」「天井裏が小汚いなんて、何でわかるんだ。俺は君のような女が一番怖いよ。か弱いふりをして誰より強かで強欲で、はっきり言って関わりたくない」俺の言葉に一瞬エレナが傷ついた表情をした。しかし、彼女は人の心を操る天才という設定をしている。今の彼女の表情に同情心を持ってはいけない。「私はこれから、あなたの言うことを全て信じます。だか
last updateLast Updated : 2025-11-03
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4.君以外の女と結婚したい。
「ライオット、今日は買い物に出かけますよ」エレナに連れられて買い物に行くようになった。元カノは開業医の娘で金持ちのせいか、財布さえも出さない女だった。当然将来は専業主婦になると言っていた彼女が、無職になった俺を捨てるのは当然と言えば当然のことだ。「あなたは、髪の色に合わせて赤ばかり着ていますね。馬鹿の一つ覚えというか、人参が歩いているみたいです。白とかも似合うと思いますよ。」てっきり彼女の買い物に付き合わされるとばかり思っていたが、彼女は俺のものを選んでいた。「先ほどから、言葉に棘を感じるんだが、何か怒っているか?」「怒ってなどいません。では、次の店に行きます」彼女は財布を出さないどころか支払いもせず店を出てしまう。「待って、支払いをしていないんじゃないのか?」「ここは私の店です。次に行くのも私の店です。私と婚約し、あなたは立太子するのですよ。今のままでは、私とルックスが釣り合いません」俺は思い出した。エレナ・アーデンは俺の元カノがモデルだが、加えて俺の理想を詰め込んだキャラクターだった。彼女自身が、自分で事業を展開し成功していて、稼ぐ能力があるのだ。当然、エレナは経済的に男に頼ろうとは思っていない、俺は無職になった自分を本当は元カノに支えて欲しかった。元カノをモデルにしたキャラクターに理想を詰め込んでしまったのかは、俺が彼女に未練があったからだろう。「ルックスが釣り合わないとか、さっきから言動が攻撃的じゃないか。それに立太子するのは皇后陛下の息子のアランだろ」「ライオット、アーデン侯爵家があなたと婚約話が持ち上がった時に、あなたが皇太子になるなら婚約するという条件を出しています。だから、私と婚約した時点であなたは皇太子になることが確定するのです。立太子の式典は来週すぐにでも行いますよ」「そのような話聞いてないぞ。それに式典って舞踏会とかあるんだろ?俺は踊れないからな」ライオットは皇族として、ダンスを踊れるはずだが今踊れと言われても踊れる気がしない。「あら?体を動かすのが好
last updateLast Updated : 2025-11-04
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5.君だけが俺のパートナーだ。
「ほら、上手に踊れるではないですか」立太子の式典が終わり、俺は舞踏会の開始を告げるダンスをエレナと踊っている。「本当に皇太子になったんだな。もう、創造主の作った話とは全然別物だよ」俺の呟きに反応し、すかさずエレナが俺の耳元で囁いた。「そのお話は2人きりの時にしてください。周りに聞かれたらおかしなことを言っていると思われますよ。」「ダンスの練習も付き合ってくれてありがとう。それから、服とか色々選ぶのも手伝ってくれてありがとう。エレナが18歳で成人したら俺と結婚して、皇太子妃になる。それで、君は満たされてくれるよな?」本音を言うと、エレナ・アーデンは俺の理想を詰め込んだキャラクターだ。だから俺が常に彼女にときめいて、惹かれ続けてしまうのは仕方のないことだ。でも、同時に彼女は元カノへの恨みを詰め込んだキャラクターでもあるが故に強かな性格をしているはずだ。強欲で満たされることなく、2股をし悪びれることなく俺を捨てた女がモデルだからだ。だからこそ彼女を信頼した後に、元カノが俺を裏切ったようにエレナに裏切られそうで怖いのだ。「私は地位や名誉では満たされません。そのようなものは私が生まれた時から持っています。私が欲しいのはライオットの心だと言っているではありませんか」瞬間、エレナが俺の目をじっと見つめてくる。心を見透かすような赤い瞳に心臓が止まりそうになる。完璧に彼女を信用して、好きになれたらどれだけ良いか。「良い時間でした。ライオット皇太子殿下」エレナは優雅に挨拶をすると去っていった。そして、俺は先ほどから感じる視線の先を見つめた。「レノア・コットンだ。可愛い」ピンク髪のふわふわな優しい女の子だ。彼女はエレナとは違い、俺が本当に異世界に行った時に会った人物だ。俺が異世界に行った時はアランが皇太子になり、ライオットに憑依した俺は戦地に送られていた。そこで、貴族令嬢ながら救援に参加していたのがレノアだ。「結婚するなら、安心、安全な女の子だよな」
last updateLast Updated : 2025-11-05
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6.恐怖に染まる恋心。
俺とエレナはクリス・エスパルの戴冠式に向かっている。俺が小説で書いたエレナ・アーデンの本命は彼だ。クリス・エスパルは敵国エスパルの独裁者だ。彼に帝国の機密情報を漏らし結託して帝国を陥れて自分の支配下に置く予定のエレナは今、俺に甘えている。「なんだか、旅行気分ですね。ライオット」向かい合わせに座っていたはずなのに、いつの間にか隣に来て俺に寄りかかっている。頭がボーッとするような良い香りが彼女から漂っている。「エレナは俺のつくったエレナ・アーデンじゃないのかも。本当に俺とは違う世界で生活していたエレナなのかもしれない。そこのエレナには俺は実際会っていないんだ。ただ、周りから聞いた情報を元に勝手にどのような女性か想像していただけだから」俺がつくったエレナであれば、もっと大人っぽく色気で誘惑してくるはずだ。なんだか、隣にいるエレナは猫っぽい可愛さがある。人の噂などあてにならない。もしかしたら俺はアニメの中に入ったのではなく、以前1度来た異世界に来たのかもしれない。「私はどちらでも良いです。でも、そろそろ私を通して誰かを見るのはやめてもらいたいです。今、目の前にいる私だけをみてください。誰が私をつくったとかどうでもよいです。私をつくったのは17年間の私自身ですよ!」「本当にごめん。エレナの言う通りだ。俺、君に気分の悪いことたくさん言ったし傷つけたよな」俺は隣にいるエレナを抱き寄せた。突然、馬車が揺れて驚いてエレナを強く抱きしめた。「ライオット皇太子殿下、奇襲攻撃です。エスパルの軍に取り囲まれました!」馬車の扉がひらいて皇宮の護衛騎士が伝えた言葉に体震える。そんな俺を抱きしめ返して、見つめながらエレナはゆっくりと口を開いた。「ライオット。エスパルはこういう国ですよ。いつも、帝国を狙って来ます。奇襲をするなど汚い手も平気で使います。おそらく目的は私たちを人質にとり、外交を有利に進めることでしょう」「エレナ、どうしてそんなに落ち着いているんだ。俺たちを人質に取ることが目的ならば、この場では殺されな
last updateLast Updated : 2025-11-06
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7.人生を23歳で詰んでしまった俺。
俺は大学に入るタイミングで東京に出てきた。田園風景に囲まれた田舎の地方出身の俺にとって東京は刺激があって夢のような場所だった。大学の4年間は色々バイトをしたり、仕送りもあったし楽しかった。しかし、なんとか就職した派遣会社がブラック企業だった。土日も返上で働き、大学時代から付き合っていた彼女ともなかなか会えなくなった。「お前が残業しなきゃならないのはお前がまだ半人前だからだ。一人前になるまで残業をつけるな!」そう言われて残業代もつけられなかった。終電まで残業をする毎日で、帰宅してからも持ち帰った仕事をした。パワハラ、セクハラ、ありとあらゆるハラスメントを受けた。女だったらマタハラも加わってくると思うとゾッとした。社会人になって半年で俺は完全にメンタルをやられてしまい退職をした。会社を辞めたしたことを、彼女に報告すると音信不通になった。俺は誰もが知る有名私立大学の文学部を卒業していた。俺の失敗は大学に入ることを、夢の東京に出る手段としか考えていなかったこと。学部選びも本が好きという理由だけで文学部を選んでしまった。この選択をのちに俺は後悔をした。文学部は女子がほとんどだった。語学のクラスに2人しか男子がいないので、常にモテて彼女もすぐにできた。就職活動には苦戦たので、手当たり次第受けて内定が取れた会社に入った。就職には経済学部とかの方が有利だったらしい。会社を半年でやめてしまってから、俺は途方に暮れていた。とにかく、東京の高額な家賃を払うために働かなければならなかった。飲食業やコンビニのバイトを掛け持ちした。人とコミュニケーションを取るのは得意だったので接客業は向いていると思っていた。しかし、たまに派遣会社時代のハラスメントがフラッシュバックして変な汗をかくようになった。フリーターになってから2ヶ月、大学時代のゼミのメンバーで集まることになった。そこには音信不通になった彼女がいた。正直、明確なお別れもしていないので
last updateLast Updated : 2025-11-07
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8.運良くアニメ化、しかし突然のフラッシュバック。
出版社のブースで気落ちしながらダメ出しをくらっていたら、急に辺り一面が光って、異世界の皇子ライオット・レオハードに憑依した。ライトノベルをひたすらに書く毎日を送ってたせいか、俺は異世界に転生したとすぐ判断した。あの時の俺はラノベ作家として成功することしか考えてなくて、ひたすらに異世界の情報を集めた。しっかりとモデルがいるから魅力的な登場人物が書ける気がした。兵士達は不幸皇子ライオットに気を遣って言いづらそうにしていたが、6歳の弟に乗り換えた強欲美女エレナ・アーデンが気になって仕方なかった。ライオットが皇帝と踊り子の子なのに対し、弟は皇帝と皇后の子で血筋が良いらしい。次期皇帝になるのは弟のアラン・レオハードだということで、ライオットと婚約するはずだったエレナ・アーデンは弟に乗り換えたということだった。一時的な記憶喪失を装い、とにかくエレナ・アーデンを中心とする人物の詳細を集めた。女性不信を最高に極めていた俺は彼女を徹底的に悪として書くことにした。俺の知っている女の強かさやズルさを詰め込んでやろうと思った。物語の中で思いっきり破滅させてやることで、俺を傷つけた女という存在そのものに復讐してやろうと思った。そして俺は俺を捨てた女を思いっきり破滅させる小説『赤い獅子』を書いた。『赤い獅子』はヒットしたものの書いていたときは必死だった。とにかくお金が欲しくて、生活のために書いた。今思うと、笑い1つない苦しい展開の続くシリアスな話。その話がヒットしたのは運だった。寝食忘れて、ライオットに憑依した時の情報から『赤い獅子』を書き上げた。すぐに、出版社に持ち込んで編集者に俺はこの物語のスゴさを熱弁した。「おー熱いのがいるなー!」そこに現れた高そうな時計をしたおじさんが俺の運命を変えた。彼はメディア界のフィクサーと呼ばれる男だった。「エレナ・アーデンいいな!好きだよ、こういう女」彼はさらっと俺の原稿を読むとそう呟いた。あっという間に本の出版とアニメ化まで決定した
last updateLast Updated : 2025-11-08
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9.俺だけを愛してくれ。
「クリス・エスパル国王陛下に、エレナ・アーデンがお目にかかります。帝国よりはるばる、国王陛下の戴冠式のお祝いに来たのですが式典は終わってしまいましたね。遅刻の理由を聞いて頂いても宜しいでしょうか」返り血をたくさん浴びたドレスで登場したエレナに一気に注目が集まった。「遠路はるばるお越し頂いたのです。遅れても顔を出して頂いただけでありがたいです」水色の髪に水色の瞳をしたクリス・エスパル国王陛下は明らかにビビっていて声が震えている。彼はエスパルの独裁者になり、エレナが世界征服するパートナーになるはずだが思っていたより貫禄がない。(エレナの圧が強すぎるからだ⋯⋯)「こちらはお隣にいるヴィラン公爵にお土産ですわ。ヴィラン公爵家の家紋が刺繍された軍服を着たものたちに奇襲にあいましたの。その軍服でお土産を包んで参りました。帝国の護衛は少数精鋭ですのよ。ヴィラン公爵家の行いはエスパルの国としての判断なのかしら。これは、帝国への宣戦布告と受け取られても仕方がないですね。ライオット皇太子殿下を攻撃しようとしたんですもの。各国の国賓の方もいらっしゃいますね。お祝いに駆けつけた国賓に対する、エスパルの歓迎の仕方についてどう思われるか議論がしたいわ」俺の手から中身が大将の生首である包みを受け取り、ヴィラン公爵に渡しながら優雅にエレナが静かに語る。周囲の人間は彼女の落ち着いた口調と、生首に震撼していた。「我が国の公爵が独断で適切ではない対応を取り、大変申し訳ないことをした」クリス・エスパルは大勢の来客の前で、エレナに膝をついて土下座をした。確かにこの状況でそれくらいしないと、エスパルは世界を敵に回すことになる。「国王陛下、私はエスパルの将来を思って!」必死に国王に縋るヴィラン公爵は近くの騎士に腹パンされて気絶した。「そうでしたか、仕方のないことです。どの国にも困った方はいらっしゃるものですね。私はクリス・エスパル国王陛下のことは信頼しておりますのよ」エレナがクリス・エスパルの腕を引き、立たせるようにしながら甘い声で囁く。やはり彼女は彼と組むのだろうか、俺は嫉妬心のよう
last updateLast Updated : 2025-11-09
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10.やっと見つけた大事な人。(エレナ視点)
クリス・エスパルの戴冠式を終え、帝国に帰ると私とライオットは結婚式を挙げた。やっと、彼を私だけのものにできると私は安堵した。「私、ライオット・レオハードはあなたの夫となるために自分を捧げます。そして私は今後、あなたが病める時も、健やかな時も貧しい時も、豊かな時も、喜びにあっても、悲しみにあっても、命のある限りあなたを愛し、この誓いの言葉を守って、あなたと共ににあることを約束します」私、エレナ・アーデンはライオットと結婚した。アーデン侯爵家がライオットと婚約するならば、彼が皇太子になることが条件だと言ったのは彼と結婚させたくない為だった。伝統のある侯爵家だ娘の結婚相手に平民の血が混ざった男は選ばない。しかし、皇室から婚約するよう要請があった以上、ライオットとの婚約を断ることができなかった。だから、絶対に私とライオットが結ばれることがないように、ライオットが皇太子になることを条件に婚約を結んだ。皇后陛下の実子であるアラン皇子が立太子するのは暗黙の了解だった。それを、私はライオットと男女の仲になったと主張して、ライオットを無理やり立太子させた。「私、エレナ・アーデンはあなたの妻となるためにあなたに自分を捧げます。そして私は今後、あなたが病める時も、健やかな時も、貧しい時も、豊かな時も、喜びにあっても、悲しみにあっても、命のある限りあなたを愛し、この誓いの言葉を守ってあなた共にあることを約束します」私は誓いの言葉を言いながらライオットのことを本当に愛していると実感した。帝国一裕福な家に生まれ、奇跡の美少女とも呼ばれた美貌を持った私に手に入らないものはなかった。小さい頃に皇宮でライオットを見た時に、私のために神がつくった存在だと一目惚れしたのは事実だ。赤い髪に黄金の瞳を持った彼は、金髪に赤い瞳を持った私の横に置けば私の美貌が引き立つと思った。私はいつだって自分が一番輝いていたいと思っていた。帝国の皇后になろうと、皇帝ではなく私が世界の主役だと考えていた。それなのに、いつからか私はライオットに尽くすことに喜びを見出していた。
last updateLast Updated : 2025-11-10
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