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Home / 恋愛 / クズ男と初恋を成就させた二川さん、まさか他の男と電撃結婚! / 第439話

第439話

Author: レイシ大好き
彼女は足音を忍ばせながら、京弥と紗雪の寝室の前までやってきた。

中から水の音が聞こえてくるのを耳にして、顔に浮かんだ笑みは次第に大きくなっていった。

つまりは今、キッチンには京弥しかいないってこと。

そう思うと、伊澄の口元の笑みはどうしても抑えきれなかった。

キッチンへ向かうと、果たして予想は的中。

中には京弥一人だけが忙しそうに立ち働いていた。

伊澄は思わず拳を握り締めた。

二川紗雪、この忌々しい女。

腹いっぱい食べて、後は京弥兄に全部任せて、自分はのうのうとシャワーを浴びてる。

何の手伝いもせずに、呑気なものだ。

そう考えると、伊澄の心の中は不満でいっぱいになった。

もし、自分と京弥兄が一緒だったら、彼にこんなことはさせなかった。

彼をこんなふうに惨めな思いなんてさせないのに。

だって、あの手は大きな契約書にサインするためのもの。

京弥ほどの男がいれば、自分は何もしなくても贅沢に暮らしていけるのに。

そして、その整った顔立ちとスタイルを改めて見つめながら、伊澄の心はますます惹かれていった。

やっぱり、男はこうでないと。

彼ぐらいのスペックじゃなきゃ、自分にふさわしくない。

彼女の目には、欲望がありありと浮かび上がっていた。

まるで顔にそのまま書いてあるかのように。

京弥はキッチンで作業しながら、背後にずっと視線を感じていた。

だが、それが誰のものなのか、何となくしか分からなかった。

不意に振り返った瞬間、彼の視線は、まさにその欲望を隠しきれずにいる伊澄とぶつかった。

全身から「欲しい」と言っているかのような視線。

それは、目が見える者なら誰でも一発で察知できるものだった。

京弥は眉をひそめ、一歩後ろへ引いた。

「......お前、ここで何してる?」

彼は皿を洗って、キッチンを片付けている真っ最中だった。

そんなときに、こんな風に欲望にまみれた目でじっと見られて、さすがに不気味さすら感じた。

とはいえ、京弥は普通の男じゃない。

すぐに気持ちを切り替えた。

伊澄もまた、一瞬で表情を切り替え、さっきまでの顔などなかったかのような顔を作った。

「ちょっと様子を見に来ただけよ。ご飯、口に合ったか気になって......」

「まあ、悪くはなかったな」

京弥は彼女の問いに対して、淡々と答えながら、少し不安を覚え
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