「そうなの、前にスウェイがこの話をしてくれた時、私もおかしいと思ったのよ。
でも、当時は娘を見つけたばかりで興奮してたから、細かいところを間違えて覚えてるだけかなって思ってたの。
でもね、この数日あなたの脚本を読んでいて、ふとこのことを思い出して、調べてもらったの。
そしたら、本当に今、高坂夫婦は自分たちの娘を探してるのよ」
「え？本当に？」
華恋はまだ信じられなかった。
もし赤ちゃんだったならともかく、どうして五、六歳の子どもがすり替えられても気づかないの？
「はあ......」
詩音はため息をついた。
「私も混乱してるのよ。スウェイがようやく娘を見つけたばかりなのに、こんなこと伝えたらきっと思い詰めるわ。
だから、華恋が彼女を助けてくれない？真相をはっきりさせてあげて」
「任せてください」
華恋にとって、ハイマンのことはもう他人事ではなかった。
「そう言ってくれると安心するわ。あなたが本気でスウェイのことを大切に思ってるのね。
私には分かるよ。あなたは彼女の名声を目当てにしてるわけじゃないってね。
でも、あの娘は......」
詩音はため息をついたあと、それ以上何も言わなかった。
華恋はそのままメッセージ画面を見つめ、しばし思考に沈んだ。
そして、時也が彼女の隣に腰を下ろしたことで、ようやく我に返った。
「何見てるの？」
時也はスウェイの文字を一目で見つけ、すぐに内容がハイマンに関係していると察した。
彼は華恋のスマホを取って言った。
「華恋......」
華恋は顔を上げて彼を見た。
「君のことが本当に心配なんだ。
心理カウンセラーの先生も言ってたけど、君の精神的ストレスはもともとかなり大きい。
もし......」
華恋は時也の腰に抱きついて、甘えるようにスリスリした。
「スウェイおばさんのことは、すぐに気持ちを整理してちゃんと対応する。
絶対にマイケルの治療には影響しないから」
時也は華恋の髪を優しく撫でながら言った。
「分かった。でも、辛くなったら、絶対に無理しないで言ってね」
華恋は頷いた。
「うん」
心理クリニックに通うようになってから、華恋は一度も悪夢を見ていなかった。
賀茂家当主が残した心の影を拭い去ることに、彼女は強い自信を持っていた。
まるで、小清水グループを手に入れることも
