しかし理仁は携帯を取り出した後、おばあさんに頼るという考えは捨て去ってしまった。
これは彼自身が決めたことで、自分が選んだ道だ。どのような結果になろうとも、自分で最後まで走り続けて受け止めなければならない。
唯花が怒るのは避けられないだろう。
彼女に謝罪して、どうしてこうなったのかを説明し、また彼女を一から追いかけることになっても、そのつもりはもちろんあった。これは彼自身がやることであって、おばあさんに手伝ってもらうようなことではない。
実際は、唯花を騙していた人間は彼一人ではなく、彼ら結城家一家全員で騙していたわけだ……
恐らく、おばあさんが出てきたとしても仲裁をすることはできないだろう。さらには唯花がおばあさんのことですら恨む可能性もあるのだ。
なぜなら、一番最初に自分の身分を隠したのはおばあさんなのだから。
唯花も理仁のこのインタビュー記事を見たのだから、他の人はもちろんすでに知っているだろう。
普通の人であれば、そこまで大きく反応を示すことはない。運に恵まれ、結城御曹司とスピード結婚でき、彼からの愛を受け取ることができた唯花に羨望の眼差しを向けたり、嫉妬したりする程度だろう。
しかし、内海家と佐々木家が知った時のその反応は、一般世間のものとは全く違っていた。
智文が一番初めにあのインタビュー記事に気づき、そのネット記事にあった理仁の写真を見たとたん、携帯を床に落としてしまい画面が割れてしまった。
「そんな馬鹿な、嘘だろう?あのクソ小娘がこんな幸運の持ち主だっただと?」
智文はこの二人の従妹には恨みを抱いていた。唯月姉妹のことを口に出すのに、彼女たちの名前ももう呼ばず、罵るような呼び方をした。
もし智文が理仁の愛する妻のことをクソ女呼ばわりしていると知れば、理仁は絶対に歯も一本残すことなく彼をボロボロに殴り倒すことだろう。
理仁の心の中で第一位を占めている溺愛妻を口汚く罵ろうものなら、死を覚悟することだ!
内海家の人間への報復がこの程度で終わるとでも思っているのか?
理仁は、義父母が建てた家を妻とともに裁判で訴え、取り戻さなくてはならないのだ。
内海家のクソ野郎ども、少しでも甘い汁が吸えると思うなよ!
「智文、どこのクソ小娘が幸運の持ち主だって?」
智文の父親である内海大輔(うつみ だいすけ)は息子が驚愕した様子で、ぶつく