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Home / 恋愛 / 今さら私を愛しているなんてもう遅い / 第89話

第89話

Author: 大落
未央はすぐに聞き返した。「どんなこと?」

「その人ってかなりの借金を抱えていたらしいの。それに、その借金の相手はあの江川薬品の社長、横山宏太だったの」

瑠莉はゆっくりとした口調で話していた。その声は少し重かった。

「未央、なんだかどんどん複雑になってきちゃったわね。これ以上調べていたら、あなた命の危険に晒されてしまうかもしれないわ。やっぱりさぁ、私たちこれ以上は……」

話し終わる前に、未央が瑠莉の言葉を遮った。

「瑠莉!」

未央は険しい表情で、真面目に言った。「絶対に調べてはっきりさせるわ。父さんは罪に問われたのよ。もし、私が何も知らなかったらまだいいけど、今は知ってしまった後だもの。だから、父さんが意味もなく20年も刑務所に入れられているのを見ていられないわ」

この瞬間、その場の空気は凍り付いた。

電話越しに瑠莉はため息をついた。

「うん、分かったわ。また何か手伝えることがあったら、遠慮なく言ってね」

電話を切った後、未央の頭の中にはさっき瑠莉が言っていた言葉がこだましていた。

江川薬品の横山宏太。彼女は以前二回彼に会ったことがある。彼は父親のライバルだったのだ。

もともと、彼女はこの間バーに行って横山宏太を待ち伏せしていたのだが、結局会うことはできず、危険な目に遭うところだったのだ。

未央は少し考え、またバーに行って彼に会えないか賭けてみようと思った。しかし、今度は彼女も学習していたので、先に催涙スプレーとスタンガンを準備し、それから携帯を定期的にメッセージが送れるような細工をしておいた。

もし、何かあった時には、友人に自分がどこにいるのか知らせることができるのだ。

ただ、これらを使わなくて済むのならそれが一番なのだが。

未央は深呼吸し、道端でタクシーを拾って、再びバー・グランスターへ赴いた。

まだ昼間なので、お客は少なく、バーの中は閑散としていた。

未央は隅のほうへ座り、辛抱強く待つことにした。

どのくらい経ったのかは分からないが、バーの客が増え、強いタバコと酒の匂いが充満しだした。

未央は容姿がかなり良いので、彼女がいくら目立たないようにしていても、ナンパは防げなかった。

彼女は眉をひそめ、ナンパしてきた男をまた断った後、突然入り口に見慣れた姿が現れた。

そこにいたのは――

宏太は横に金髪美女を侍らせ、活気あふれ
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