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第13話

作者: 冷たい花火
悠斗の低くかすれた声を聞いて、親友たちは最初嬉しそうな顔をしたが、すぐに戸惑い、互いに顔を見合わせた。

そうだ、兄貴がこんな大変な目に遭ってからもう何日も経つのに、なぜ明美の姿が見えないんだろう?

彼女の性格なら、病院に駆けつけて昼夜問わずそばにいるはずじゃないか。

春樹が頭をかきながら、どこか自信なさげに言った。

「たぶん……まだこのことを知らないんじゃないかな」

知らないのか?

知らないなら、それでいい。

点滴がぽたりぽたりと落ちるのを見ながら、悠斗は静かに息を吐いた。

親友たちは彼の表情が少しずつ和らいできたのを見て、もう気持ちの整理がついたのだろうと思い込み、再びそばに集まって騒がしく話し始めた。

「兄貴、調べがついたぞ。

あの日、木村が連れてきた男は新しい彼氏で、山田家の三男なんだ。

二人は留学中に知り合って、数日前に付き合い始めたばかりだ。

木村が言ってた『サプライズ』っていうのは、その男を連れてきて兄貴に恥をかかせることだったんだ!」

山田家か?

なるほど、どうりで世界限定モデルのスポーツカーに買えたわけだ。

悠斗は黙って考え込んで、返事をしなかった。

親友たちは彼の表情が徐々に和らいでいくのを見て、もう気持ちの整理がついたと思い込み、また彼の周りに集まってきて口々にしゃべり始めた。

「山田には手出しできないけど、木村には仕返しできるだろう!

あいつ、兄貴を何年も騙しておいて、もっと金持ち見つけた途端恩知らずにも俺たちを裏切りやがった。自分の立場もわきまえず調子に乗りやがって」

「そうだそうだ!兄貴がその気なら、俺たちでなんとかしてやる。

男性を弄ぶのが好きなんだろ?これまであいつがやってきたことを全部バラしてやれば、もう誰も相手にしないさ!」

親友たちが次々と復讐の案を口にする中、悠斗はずっと黙ったままだった。

やがて皆も何かを感じ取ったようで、笑顔を引っ込め、恐る恐る様子をうかがった。

「兄貴、まさか情けをかけるつもりじゃないよな?

あいつ、もう本性丸出しなんだから、そんな必要ないだろう?」

「そうだよ。あいつは顔がいいだけで、実際は腹黒いぶりっこなんだ。

兄貴、馬鹿なこと考えるなよ。あんな女選ぶくらいなら、明美さんの方がずっとマシだろう」

「マシどころか、明美さんは最高だよ!

これまで兄貴の
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