水無月
安田翔真(やすだ しょうま)が可愛い転校生に告白したあの日、みんなは私が取り乱して泣き叫んで止めに入るだろうと思っていた。
しかし、告白が終わるまで、私は現れなかった。
翔真は知らなかった。そのとき私が、彼のルームメイトのパーカーを着て、そのルームメイトのベッドの上に座りながら、無邪気な顔でこんなことを言っていたなんて。
「ねえ、ベッド濡らしちゃったんだけど……今夜、どうする?」
島良太(しま りょうた)は視線をそらし、喉仏を動かして、私にタオルを投げた。
「先に髪、乾かしてきな。シーツは俺が替えるから、それが済んだら寝ろ」