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第14話

Author: 冷たい花火
なぜだろう?

実は悠斗自分でもはっきりとは分からなかった。ただその場の勢いで口に出してしまっただけだった。

だが、昔気質で頑固な両親を納得させ、この話を認めてもらうには、どうしても確かな理由が必要だった。

彼は目を伏せ、明美とのこれまでの時間を思い返した。

初めて会ったのは大学の近くにあるバーだと思っていた。でも実はその4年前から、何度もすれ違っていたことに後から気づいたのだ。

彼女の気持ちは一目惚れか、見た目に惹かれただけだと思い込んでいたが、実際には彼女の愛はもっと前から芽生えていて、今では深く根付いていたのだ。

いつか彼女とは別れるだろうと考えていたのに、6年もの月日が流れ、今では彼女がそばにいる毎日にすっかり慣れてしまっていた。

雪の中で、彼女がそっと差し出して握ってきた手。卒業式の日、背伸びして抱きしめてくれた温もり。

大雪の中で、彼女がそっと差し出して握ってくれた手。卒業の日、背伸びしてぎゅっと抱きしめてくれた温かい感触。一緒に暮らし始めてからの、毎日の「おはよう」や「おやすみ」の挨拶……

そんな場面が次々と頭に浮かび、最後に止まったのは彼女の25歳の誕生日、願い事をした瞬間だった。

彼女はこう言った。

「今年中に無事結婚できますように」

今でも悠斗には、それが本気だったのか冗談だったのか分からない。

もし本心なら、結婚しよう。

残りの人生を明美と一緒に過ごせるなら、心からそうしたいし、後悔なんてしない。

もし冗談だったとしても、それを本物に変えてしまえばいい。

どうせ自分はもう彼女しかいないと決めている。この先、ほかの誰かと結婚するなんて考えられない。

だから彼は迷わず、心の底にある思いをすべて両親に打ち明けた。

「お父さん、お母さん、俺の彼女は佐藤明美と言います。高校の同級生でした。

でもちゃんと彼女の名前を覚えたのは大学2年の時で、それまではこんな子が近くにいることすら気づいてませんでしたし、ずっと俺のことを想っててくれたなんて考えもしませんでした。

初めて話しかけたのも、ゲームで負けて罰ゲームで『俺の彼女になって』と軽い気持ちで言っただけでした。

まさか彼女が本当にうなずくなんて思わず。そこから偶然にも付き合うことになったのです。

一緒にいるうちに気づいたのですが、彼女は
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