満足のいく結果を得た悠斗は、それ以上両親を煩わせることなく、立ち上がって病室に戻った。
彼は机の上に数日間放置されていたスマホを手に取り、電源ボタンを押した。
起動までの10数秒が、この瞬間、途方もなく長く感じられた。
悠斗は、明美にこの知らせを一刻も早く伝えたい気持ちが抑えきれず、パスコードを入力する左手がわずかに震えていた。
ネットワークがまだ接続中のまま、彼はまずダイヤル画面を開き、彼女の番号を入力して電話をかけた。
「プルルル、プルルル、プルルル」
呼び出し音が何度も鳴り響き、その長さが彼の心をじわじわと締め付けた。そして最後には、冷たい機械音声が耳に届いた。
「おかけになった電話番号への通話はお繋ぎできません。恐れ入りますが、しばらく経ってからおかけ直しください」
繋がらない?
エレベーター内で電波が届かないのだろうか?
いや、そんなはずはない。
悠斗の頭の中を、無数の考えが駆け巡った。
彼はスマホを机に置き、ラインを開いて彼女に連絡を取ろうとした。
アプリを開いた瞬間、画面いっぱいに広がる赤い通知バッジが目に飛び込んできた。
それは、彼が怪我をしたと知った友人たちからの心配のメッセージで、一つ一つ見ているだけで頭がクラクラした。
スクロールして10数件確認しても明美からのものは見当たらず、彼は諦めて連絡先リストから直接彼女の名前を検索した。
数秒後、画面の中央に「佐藤明美」の名前が現れた。
悠斗はその名前をタップし、テキストで送るか音声メッセージにするか迷いながら画面を見つめた。その時、画面下部に表示された数文字が目に入った。
【悠斗、別れましょう】
日付は3月29日、午後3時47分。
5日前だった。
その瞬間、それまでフル回転していた悠斗の頭が、突然フリーズした。
彼はそのメッセージをじっと見つめ、続けて日付を確認し、最後に画面上部の名前と「通知オフ」マークに視線を移した。
確かに自分が登録した「明美」という名前であり、間違いなく明美のアカウントだった。
それでも、彼にはどこか腑に落ちない感覚が残っていた。
もし本当に明美なら、何の前触れもなく別れを切り出すなんてありえないはずだ。
怒っているのか?それともただの悪ふざけか?
心が激しく揺れ動きな