穂香に悠治が具合悪くなって病院に行ったと嘘をついてから、大介は悠子の言った場所へ向かった。
途中でなんで草むらと疑問したけど、実際に到着したら、「なるほど」と納得した。
悠治・悠子はびしょ濡れで、人の目の当たらない草むらの中で震えている。
「バカか……」
呆れた大介だったが、なんとなく事情を理解した。
こいつ、何らかの原因で池に落ちただろう。
それに、くだらないプライドで意地はって、穂香に見られたくないから、自分に電話をした。
「バカってなんなのよ。こんな姿が小日向さんに見られたら、悠治はまた死になくなるかもしれないわ」
「他人事みたいに言うな。お前は本当に都合のいい時だけが出てくるな……」
「都合のいい時じゃない、危機の時よ。先ほど悠治が池からふらふら上がったら、転がって頭が打たれたのよ!ほら見て、額のところにあざがあるでしょ?」
「なぜ池から…?まあ、どうでもいい……」
思わず尋ねようとしたけど、大介はすぐその話を切った。
「それより、今はメイクもしていないから、女口をやめてくれないか?気持ち悪い」
「とんでもない差別発言だよね?」
「まだそんなプライドがあるなら、当分死なないだろ」
大介は上着をぬいて悠子に投げた。
「オレが車で来たことに感謝しろ」
「こうなったわけを聞かないの?」
「聞いたところで正直に話すと思わない」
「へぇ~でも、本当はもっと聞いてほしいの」
起き上がったら、悠子はさりげなく大介の腕を抱き寄せた。
そのちょっと妖艶になった姿に、大介は目を向けずに、進路だけを見ていた。
「今のお前はこう言ってるが、悠治に戻ったら、また『お前に何が分かる』って吠えてくるだろ」
「さすが大介君、分かりが早い!」
「……」
「それは大介君のいいところと言うか、悪