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Home / BL / 俺ともう一人の私、どちらが好き? / 第12話 停戦協定(03)

第12話 停戦協定(03)

Author: 星琴千咲
2025-06-23 10:11:19

あの日、悠治と穂香が図書館で一緒に読んでいた新聞紙もバレンタインデーのものだった。

「え、ええ…そうです……両親は、バレンタインデーに他界に行ったのです……」

雪枝の口調が少し落ち込んでいたが、大介に理由を伝えることにためらいはなかった。

「すみません」

「いいえ、私はまだ小さかったから何も覚えていません。全部お兄ちゃんが処理したのです。あれから、お兄ちゃんはチョコレートが嫌いになって…嫌いというか、ダメになっちゃったの……そうです!」

いきなり、雪枝のテンションが躍起した。

「嫌な思い出を忘れさせましょう!」

「!?」

「大介さんはお兄ちゃんをバレンタインデートに誘って、楽しく遊んで、嫌な思い出を上書きしましょう!」

「……」

(嫌な思い出が増えるだけじゃないか……)

いかにも自分の名案に興奮する雪枝に、大介は本当の考えを言い出せなかった。

「ちょうど、私と正樹もテーマパークに行く予定です。ダブルデートもいいです!」

「いや、雪枝さんたちを見たら、悠治はまた挫けるだろう……」

「あっ、確かに、その可能性が……」

「それじゃあ、大介さんの好きなところでいいと思います。お兄ちゃんはあまり外出しないから、遊びに不得意です」

「……」

(決めた言い方にしないでほしい……)

雪枝のアドバイスはちょっと困ったものだが、無意味ではなかった。

少なくとも、チョコレートという地雷が分かった。

気分転換させるのもいいアイデアだし、とりあえず、チケット送って、好きにさせろう。

「テーマパークのチケット?」

寝起きなのか、悠治声が弱くて、かすれたよう

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