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Home / 恋愛 / 再び頂点に戻る、桜都の御曹司にママ役はさせない / 第94話

第94話

Author: こふまる
涼は頭の中でオフロードコース全体を走破し、目尻に笑みを浮かべた。

「この先、コース安定してる。思いっきり攻めていいぞ!」

漆黒の闇の中、ライト無しで全開のコロナ。夕月は涼を完全に信頼し、ついに暗闇を抜けて光明を見た。

エンジン音が遠くから近づいてくる。フィニッシュラインで待つ観衆が首を伸ばした。

マシンがブラックゾーンに入ってからは、観客席後方の大型スクリーンも真っ暗になっていた。

誰もが固唾を飲んで見守る。

どのマシンが最初にブラックゾーンを抜け、通常コースに戻ってくるのか、誰も予想できない。

悠斗は柵に登り、冷たい風の中、遠方を食い入るように見つめていた。

突然、漆黒のマシンが視界に飛び込んできた。大型スクリーンが再び明るくなり、観客席からは歓声と悲鳴が響き渡る。

コロナだ!

ブラックゾーンを抜け、トップに躍り出た。

その後ろを追うのは、冬真の操るブラックホール。

「Luna!パパ!!」

悠斗は声が枯れんばかりに叫び、両手を合わせて祈った。

パパもLunaも、どちらも一位になれますように!

光が冬真の漆黒の瞳を照らす。目前のコロナに、彼の勝負魂が完全に目覚めた。

ビジネスの世界で幾度となく戦い、極限まで追い詰められても、感情を乱すことはなかった。

だが、コロナを追いかける中で、アドレナリンが急上昇。最も原始的な本能が全身を支配していく。

礼節という仮面が剥ぎ取られ、全力で疾走する野獣は、ただ前を行く獲物の首筋に噛みつきたいだけだった。

しかし、フィニッシュまであと二キロを切っている!

「シュッ!」

コロナがフィニッシュラインを駆け抜けた。

待ち構えていた観衆から歓声が沸き起こる。

カラフルなテープが噴き出し、黄金の雨のようにコロナのボディを覆った。

「うわぁ!!」悠斗は目を丸くし、視界にはコロナしかなかった。

胸に手を当てる。まるで金の矢に射抜かれたかのように、コロナとLunaに完全に心を奪われていた。

コロナがブラックホールを打ち破った。

Lunaがパパを倒した。

今日からLunaは、彼の心の中で超えられない神様になった。

冬真の操るブラックホールは路肩に停車した。

ヘルメットを外し、レーシングスーツのジッパーを下ろしたものの、シートベルトを解く力さえ残っていない。

シートに深く沈み込み、荒い息を繰
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