霜村冷司は和泉夕子をしっかりと抱きしめ、その深く冷たい目で大野皐月をじっと見つめていた。
彼の手は大野皐月の手首を強く握りしめ、さらに力を入れれば脱臼するのは間違いなかった。
大野皐月は抵抗しようとしたが、冷酷な顔が急に苛立ち、目つきも一瞬で凶暴になった。
「霜村冷司、お前は死にたいのか!」
彼は冷たく言い放ち、もう一方の手を上げて前に振ると、一群のボディーガードが素早く駆け寄ってきた。
霜村冷司の胸に抱かれている和泉夕子は、彼が一人で来たことに気づき、心臓がドキドキと高鳴った。
「霜村冷司、早く逃げて」
二人の会話から、彼らが知り合いであり、長い間の確執があることが明らかだった。霜村冷司がボディーガードを連れてこなかったことを心配していた。
和泉夕子が心配していると、彼は突然、濃密なまつげを伏せ、澄んだ瞳で彼女に安心させるような目を向けた。
「夕子、怖がらないで」
その言葉とともに、彼は長い脚を上げ、一気に駆け寄ってきたボディーガードを蹴り飛ばした。
厚い革靴で蹴られたボディーガードは、胸に激痛を感じ、次の瞬間、口から血が噴き出した。
後ろに続く他のボディーガードたちは、地面に広がる血を見て、素早く腰に手を伸ばし、銃を取り出そうとした。
しかし、その冷たい雰囲気を纏った霜村家の当主は、突然大野皐月の首を掴み、彼をエレベーターのドアに押し付けた!
背中が「ガンッ」とエレベーターのドアにぶつかる音が廊下に響き渡り、反響音が耳に残り、極めて凶暴だった。
首を掴んだ手の甲には青筋が浮かび、完璧な顔にも力が入りすぎて、異常なほどの嗜血が染み出していた。
濃密なまつげをゆっくりと上げ、冷たい目で大野皐月の顔をじっと見つめた。
「まだ……私の女に手を出すつもりか?!」
前半の言葉は冷たく、骨まで凍るような寒さを帯びていたが、後半は急に重みを増し、雷のような圧迫感があった。
エレベーターのドアに押さえつけられた大野皐月は、顔が赤紫色になり、目には負けん気の暴力が宿っていた。
「撃て……撃て!」
ボディーガードたちは主の命令を聞き、次々と銃を取り出し、霜村冷司の背中に向けた。
霜村冷司に守られていた和泉夕子は、振り返って多くの銃を見て、顔が真っ青になった。
その時、腰が引き締まり、小さな体が男の胸に引き寄せられ、温かい胸に頬を寄せた。