「夕子、大丈夫!?」
沙耶香は霜村涼平と上の階で話を終えたばかりで、すぐにオフィスに向かった。
浴室で身支度を整え、服を着替えて出てくると、何マネージャーが言った。
大野皐月が和泉夕子をからかっているところを霜村冷司が見つけ、二人が下で銃を持って争っているというのだ。
驚いた沙耶香は、ハイヒールを履く暇もなく、スリッパを履いたまま、濡れた髪を振り乱して急いで駆け下りた。
和泉夕子は沙耶香の声を聞くと、霜村冷司にキスされそうになっていたところを急いで押しのけ、慌てて沙耶香の方に向き直った。
「沙耶香、私は大丈夫だから、そんなに急がないで。転んだら危ないよ」
沙耶香は和泉夕子の前に立ち止まり、彼女をぐるりと回して確認した。
彼女が無傷であることを確認すると、胸を撫で下ろした。
「夕子、びっくりしたよ。何かあったかと思って、心臓が飛び出しそうだったんだから!」
和泉夕子は手を上げて沙耶香の胸をなだめ、「心配しないで、彼がいるから大丈夫よ」
沙耶香はようやく和泉夕子の後ろに立つ、まるで氷の彫刻のような霜村冷司に目を向けた。
沙耶香は霜村冷司の視線に、何か言い表せない感情を感じた。
それは、彼女を刺したいけれど、和泉夕子の親友だから我慢しているような感じだった。
沙耶香は頭をひねりながらも、霜村冷司の視線の意味がわからず、和泉夕子の腕を取り、「夕子、スーパーVIPの豪華な個室を用意したから、見に行こうよ。絶対に気に入るから!」
霜村冷司は夜のクラブを通りかかったとき、和泉夕子がエレベーターに乗るのを見て、車を止め、ボディガードたちに待機させて彼女を探しに行った。
彼は彼女が沙耶香を訪ねに来たと思っていたが、実際には個室を借りに来たことに気づき、顔色が一気に暗くなった。
彼は和泉夕子のもう一方の腕を掴み、沙耶香から強引に引き離した。
「夕子、ここで遊ぶの?」
和泉夕子が会社の人たちを連れてきたと言おうとしたが、沙耶香が先に口を開いた。
「夕子、ホストが何人いるの?」
冗談じゃない、幼い頃から一緒に育った姉妹を、霜村冷司が簡単に奪えると思っているのか?
霜村冷司はその言葉を聞いて、濃い眉を軽く上げ、高くて堂々とした体を前に傾け、彫刻のような顔を和泉夕子に近づけた。
「君……ホストを探しているのか?」
熱い息が顔にかかり、和泉夕子は居