和泉夕子は彼の誘惑に負けて、彼の言葉を信じてしまった。彼が何か真面目なものを見せてくれると思っていたのに……
彼は彼女の手を握り、その熱い部分に触れさせた。かすれた声で、彼女の首筋を軽く擦りながら囁いた。
「どう?いい眺めだろう?」
さっきまで赤くなっていたのは彼の耳だったが、今度は和泉夕子の番だ。彼女の顔は真っ赤になり、元の色がわからないほどだ。
「い、いい眺めじゃない……」
彼の口元には微かな笑みが浮かんでいた。「じゃあ……使い心地はどう?」
和泉夕子は赤くなった頬を押さえ、顔を上げて霜村冷司を軽く睨んだが、その目は星のように輝く彼の瞳に吸い込まれた。
その瞳には彼女の姿だけが映っていて、まるで春風のように温かく、簡単に人を虜にしてしまう。
美しい顔に浮かぶ微笑みは、眉目を弯曲させ、まるで塵一つない美しさだ。
和泉夕子はその高貴で禁欲的な顔を見つめ、耳元で「大言壮語」を吐く男と結びつけることができなかった……
彼女は視線を外し、手を離そうとしたが、彼は強く押さえた。
「夕子、今回は手伝ってくれるよね?」
こういうことでは、和泉夕子はいつも劣勢に立たされていたが、今回は勇気を出して、つま先立ちになり、彼の耳を軽く噛んだ。
「手伝わない」
温かい香りが、痺れるような感覚と共に、柔らかく耳に伝わった。
電流のような感覚が耳から全身に広がり、その美しい体が軽く震えた。
彼は濃いまつげを伏せ、挑発する彼女を見つめ、笑みがますます深まった。
「じゃあ、私が手伝うよ」
男は腰をかがめ、彼女を抱き上げて柔らかいソファに置き、自分もその上に覆いかぶさった。
「霜村冷司!」
「うん?」
「わ、私はもういい!」
彼は「わかった」と答えたが、彼女を放さなかった。
男は彼女の後頭部を押さえ、彼女の赤い唇に近づけた。「夕子、私の名前を呼んで」
全身が震える和泉夕子は、思わず柔らかい声で彼を呼んだ。「霜村冷司……」
彼は彼女の腰を軽く叩き、ぼんやりとした目の彼女を見つめ、誘惑した。「昔のように呼んで」
和泉夕子は顔を赤らめ、彼の強い肩を掴み、再び誘惑に負けた。「冷、司……」
彼女の「冷司」という呼びかけに、無数の「夕子」が返ってきた……
彼がかつて深く呼んでいたのは、ずっと彼女の名前だったのだ。
沙耶香から電話がかかってきて、和泉夕子