仕方なく私は立ち上がり、ウェイターに椅子を追加してもらった。
しかし、座ろうとした瞬間、慎一が突然私の腕をつかみ、自分の方に引き寄せた。彼の力は決して軽くはなく、そのまま私を自分の隣に引き寄せて座らせた。
見上げると、彼の鋭い顎のラインが視界を支配していた。彼はそれをまったく気にする素振りもなく、そのまま座った。
こうして、二人だけのランチは、四人の食事会に変わった。
康平は私の正面に座り、夜之介は慎一の正面に座った。私たち四人は小さなテーブルを囲み、息を合わせたかのように一斉に沈黙に陥った。
慎一の表情は険しく、康平の唇に浮かぶかすかな皮肉な笑みを見て、さらに冷たい瞳をした。
しばらくして、ウェイターがメニューを持ってきて、ようやくその場の重苦しい雰囲気が少し和らいだ。
慎一は一度も私に目を向けることなく、無表情で料理を注文し終えると、夜之介に手を差し出した。「お会いできて光栄です」
慎一が自ら手を差し出す姿を、私はこの4年間でほとんど見たことがなかったので、少し驚いた。
私が夜之介について知っていることは、主に穎子から聞いた話がほとんどだが、法律の仕事から離れて4年も経つ私には、彼が法律界の新星であることは分かっていても、特別な敬意を感じることは少なかった。
夜之介は微笑み、二人の男の手がテーブルの上で交差し、シャツの袖口から浮き上がる筋肉の筋が見えた。今にもボタンがはじけ飛びそうだった。
慎一は微動だにせず、顔には淡い笑みを浮かべたまま言った。「俺の妻が何をしているか、霍田家の弁護士チームでは対応できないことがあったのかな?わざわざ夜之介先生に頼むなんて」
慎一が、私が夜之介と二人きりでここに来たことに不満を抱いているのは明らかだった。彼の言葉は夜之介に向けられていたが、矛先は私に向いていた。
私は、慎一が他の人に対して怒りを向けるのは避けたいと思い、何か言おうとしたが、夜之介が先に口を開いた。
弁護士は言い争いに強い。夜之介は自信満々に微笑みながら言った。「慎一社長、そんなこと言わないでくださいよ。僕はただ、部下や上司と簡単なランチをしているだけです。康平も佳奈も、これから一緒に仕事をする予定ですしね。せっかく慎一社長もいらっしゃったんですから、今日は社員の家族としてのご参加ということで、仕事の話は抜きにしましょう」
慎一の目が