まるで人が変わったように、
涼川は昼夜を問わず私の後を追い回すようになった。
「若菜、ほら見て。陽太だよ。僕たちの子供」
赤ちゃんを両手で大切そうに抱え、私の前に差し出す。
生後六ヶ月の赤ちゃんは、白くふっくらとした頬をして、
大きな瞳で何も分からない様子で私を見つめていた。
私は軽く目をやっただけで、早々に返すように促した。
すると涼川は目を真っ赤にして、声を震わせた。
「子供まで見捨てるつもりなのか......なら俺も、いつか捨てられるのか?」
左手で筆を動かしながら、平然と答える。「子供はずっと姉さんが育ててるでしょう?
長く離れていたから、私を怖がってるはず」
涼川は血の気が引いたように青ざめ、言葉を失った。
ふうん。
このクチナシの花は、前より少しマシね。
そう、私はまた絵を描き始めていた。
右手は使えなくなったけれど、左手で描けるようになった。
まるで取り憑かれたように、クチナシの花ばかり描いている。
心の奥で、このクチナシの花は私にとって大切なものだと、誰かが囁いている気がする。
でも、なぜなのかは分からない。
「よくもそんな策を考えついたわね」
大きな腹を抱えた姿が現れた。
「駆け引きのつもり?」
冷笑を浮かべて続ける。「残念だけど、私と匠の子供がもうすぐ生まれるの。そんな手には乗らないわ」
私は一瞥もくれず、手元のクチナシの花を描き続けた。
彼女は苛立ちを覚えたのか、不意に笑みを浮かべた。「ねえ若菜、匠にはもう、この子しかいないのよ。陽太は死んだの」
筆が止まり、一本の線が歪んだ。
クチナシの花も、真ん中から引き裂かれたように見えた。
目を伏せたまま、新しい画用紙を取る。
「どうして死んだのか、聞きたくない?」
私の反応が演技なのか本心なのか測りかねている様子で、不満げな声で、でも目には笑みを浮かべながら。
「夜泣きがうるさくて。お腹が空いてるのかと思って、ミルクを作ってあげたの。
赤ちゃんって本当に繊細ね。少し熱いお湯も飲めないなんて…」
大きな腹を優しく撫でながら、柔らかな声で続けた。
「でも今は分かったわ。
私と匠の子は、大切に育てるから」
だから最近、涼川が姿を見せないのね。
きっと後ろめたさで、眠れない夜を過ごしているんでしょう。
あの子が生き延びていたとしても、こ