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Home / 恋愛 / 慌てて元旦那を高嶺の花に譲った後彼が狂った / 第996話

第996話

Author: 楽恩
来依は、どうやって時間を稼ぎ続けるかを考えていた。

晴美はソファに腰を下ろし、検査結果を待っていた。

青城はベッドサイドの椅子に座っていた。

来依は、まるで鳥籠の中の鳥だった。どれだけ頭をぶつけ、血を流しても、この牢獄から飛び出すことはできない。

ましてや、この二人の冷酷な人間は、彼女がいくら苦しもうとも、哀れみなど抱かない。

彼女は、目立たないようゆっくりと足の縄を解いた。

そして口を開いた。

「トイレに行きたい」

青城は立ち上がり、彼女を抱きかかえようとした。

彼女は拒否した。

「自分で歩ける」

だが、結局は抱き上げられてしまった。

トイレに座らされても、彼はその場を離れなかった。

「外に出てくれない?」

「出ない」

「……」

来依は、思わず目をひっくり返したくなったが、こらえて言った。

「このトイレ、ドアがあるだけで、窓すらないのよ? あんたがドアを塞いでるんだから、逃げようがないでしょ?下痢してるのに、あんた見張ってるの?」

自分で言っておいても吐き気がするような話なのに、彼は平然としていた。

「どうぞ、出せば?」

「……」

来依は、実際にトイレに行きたかったわけではなかった。

ゆっくりと立ち上がり、ズボンを脱ぐふりをしながら、トイレ内を観察した。

その時だった。看護師が病室に入ってきた。

「検査結果が出ました」

来依には言葉は分からなかったが、青城の表情が変わり、すぐに出て行った様子から、そうだと察した。

彼女もすぐに後を追い、青城が報告書を手にする前にそれを奪い取り、トイレのドアを閉めて鍵をかけた。

青城はすぐにドアを蹴った。

来依は急いで検査報告をトイレに放り込み、水を流した。

青城がドアを蹴破って入ってきた時、報告書はすっかり濡れて原形を失っていた。

彼の目には、鋭い憎しみが宿った。

「病院には記録が残る。紙を潰しても無駄だ」

彼は一歩一歩近づいてきた。

「つまり、嘘をついていたんだな」

来依はバスルームの方に後ずさりし、シャワーヘッドを手に取った。

温度なんてお構いなしに、スイッチをひねり、勢いよく青城の顔に水を浴びせた。

彼は目を直撃され、一瞬視界を奪われた。その隙に、彼女はシャワーヘッドで彼の後頭部を思い切り叩きつけた。

どこからそんな力が湧いたのか、自分でも分からない。
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