その夜、私たちは退院した。
以前住んでいた小さな家に戻ったが、長い間誰も住んでいなかったので、母と私で長時間かけて掃除をした。
最後には疲れ果てて倒れるように眠った。
翌日も、私たちは彼らに離婚書類にサインするよう催促したが、葉山家の父子は応じなかった。
3日目、4日目、5日目も同じことの繰り返しだった。
唯一違ったのは、母と私が小さなアクセサリーを仕入れて夜市で露店を始めたことだ。葉山家を離れた後の生活のために、お金を稼がなければならない。
母には販売の才能があり、上手く客を呼び込めるので、一晩でかなりの稼ぎになった。
1週間後、葉山家の父子が私たちを探し当てた。
1週間ぶりに会った父子は、みすぼらしい姿で、声もかすれ、わずかに震えていた。
葉山想が言った。
「申し訳ない。調べてみたら、あの日君たちは本当に......病院の医師にも聞いたんだ。赤ちゃんは運ばれた時にはもう......だから、取り除かなければならなかったと」
彼を見ていると、あの悪夢のような日のことを思い出した。
激しい腹痛と、私を信じようとしない夫。
あの時、私は彼に抱きしめてほしかった。
優しく慰めてほしかった。「俺がいる。いつでもどこでも、ずっとそばにいる」と。
でも今はもう遅すぎる。
何もかもどうでもよくなった。
私はただ離婚して、新しい人生を歩みたかった。
「大丈夫よ。もう過ぎたことだわ。離婚しましょう、葉山想」
母も葉山恵介を見つめ、言った。「離婚しましょう、葉山恵介。自分の人生を大切にして。私がいなくても、あなたはもっと良くなれるわ」
「俺は......」
義父は悲しげな表情を浮かべた。
葉山想はついに跪き、涙を目に浮かべた。
「栞、お義母さん、俺たちが間違っていました。許してください。もう一度やり直せませんか?」
これは葉山想が初めて母を「お義母さん」と呼んだ時だった。
結婚式の日、母が彼の手を取って「これからは、私があなたのお母さんよ」と言った時、葉山想は一度も「お義母さん」と呼んだことがなかった。
もしこの出来事の前だったら、葉山想が「お義母さん」と呼んでくれたら、母はきっと喜んだだろう。
でも今は、もう必要ない。
私は葉山想を見つめて言った。「立ち上がって。あなたが言ってたでしょう、男の膝下に黄金ありって」
「妻も、母も