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Home / 家族もの / 浮気夫の億万財産、私に奪われる / 第9話

第9話

Author: 蘇璃
「ダメだ!絶対に認めない!」

近藤母は怒りに震え、手元にあった壺を床に叩きつけた。それは、私たちの結婚の際に私が彼女に贈ったものだった。

今ではこの結婚と同じく、壊れ散ってしまった。

彼女は震える指で私を指差し、声を荒げた。

「残りの株をこの女に渡すなんて、絶対にあり得ない!」

智也が成人したとき、近藤母は彼にいくらかの株を譲った。

その後、結婚すると、智也はその株の半分を私に譲渡してくれた。

今、智也は私を守るように前に立ち、私がその場を去らないように必死だった。

「母さん、雪乃は俺の妻だよ。俺たちは家族だ。株を渡したところで、結局は家のものだろ?」

「それに、今回は俺が悪かったんだ。償いとして渡すのに何が問題なんだよ?」

近藤母は怒りのあまり言葉を詰まらせた。

「こ、この親不孝者が......」

母子の言い争いは激しくなるばかりで、雰囲気はますます険悪になっていく。

私は少し下がり、涙ぐんだ声で言った。

「お母さんが私を信じていないのは、十分わかっています......」

智也は私が泣いている姿を見て慌て、私の涙を拭いながら近藤母に訴えた。

「母さん、お願いだよ。雪乃に株を譲ってくれないかな」

近藤母は堪えきれず、箒を手にして智也の背中を叩いた。

「この親不孝者!私を怒り死にさせる気か!」

しばらく様子を見ていた私は、静かにお茶を置いて口を開いた。

「お母さんが私を信じられないお気持ちは理解できます」

そして解決策を提案した。

「お互い歩み寄る形として、その株を子どもの名義にしてはどうでしょうか」

近藤母はじっと黙り込み、一言も発しなかった。

「私が株を欲しいのは、ただ安心と保証が欲しいだけで、他意はありません」

彼女の目を真っ直ぐに見据えて続けた。

「結局、株が集中していれば、会社の混乱を整理するのも私にはやりやすいのです」

私は微笑みながら付け加えた。

「そうですよね、お母さん?」

近藤母は雪乃ベッドの中で眠る子どもをちらりと見て、最終的に渋々ながら了承した。

不安要素がなくなった私は、すぐに会社に戻り仕事に取り掛かった。

まず記者会見を開き、問題の写真が偽物であることを明確に
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