その夜、九条時也は根町へ飛んだ。
別荘に着いた時、まだ灯りがついていた。庭から玄関、そして吹き抜けのリビングまで、きらきら光る星型のライトが飾られていた。
水谷苑はまだ眠っていなかった。
真っ白なパジャマを着て、裸足でクリスマスツリーのオーナメントを丁寧に飾り付けていた。
赤い唇と白い肌、それはまるで絵に描いたような美しい顔立ちだった。
九条津帆を出産した後も、彼女には以前のあどけなさが残っていた。
九条時也は長旅の疲れを隠せない様子だった。
体には田中詩織の香水の香りが残っていたが、水谷苑の姿を見た瞬間、彼の心臓は激しく締め付けられた。
まるで昔の記憶が蘇ったようだった。
水谷苑が22歳の時、人混みの中で偶然自分の腕の中に倒れ込んだ。周りの人たちの冷やかしに、彼女はまるで怯えたウサギのようだった。
世間知らずの彼女は、すぐに自分の仕掛けにひかかった。
河野誠という男の自転車の後ろに乗っている彼女を見て初めて、自分は彼女が結婚生活に不満を抱いていることを知った。そして彼女を戒めるために河野誠の手を潰したが......却って水谷苑の正気を失わせた。
未だに、彼女が河野誠と一緒にいたのが本当に愛情を感じたからかどうかが、自分には理解できなかった。
しかし、もうそんなことはどうでもよかった。
もうすぐ離婚するのだから。
九条時也は手にしていた書類を置き、か弱く見える彼女に近づき、後ろから抱きしめた......
水谷苑は思わず彼の腕の中に倒れかかった。
彼女は慌てて抵抗し、彼の腕から逃れようとしたが、九条時也は強く抱きしめていた。仕方なく、彼女は小さく体を丸め、弱々しく「離して、まだ終わってないのに」と訴えた。
彼は離すどころか、彼女の体をさらに抱き寄せた。
か弱い彼女はもがく拍子に、透き通るような白い脚をチラつかせ、男の欲望をかき立てた......彼は最近忙しく、長い間、性的な欲求が満されていなかった。
九条時也は彼女を抱き上げ、二階へ向かった。
シャンデリアの光に照らされた彼の整った顔立ち、その瞳にはぬくもりの欠片もなく、ただ男としての激しい欲求だけが見て取れた。まだ離婚していない......だから肉体関係を持っても何ら問題はないと、彼は思った。
二階に着こうとした時、高橋が心配そうに「九条様!」と声をかけた。
九条時也は足