蓮司はドアを開けようとする手を止め、横を向いて否定した。
「そんなことはない」
「ふふ、誰を騙せると思ってるの?あなたは明らかに彼女を愛してしまったから、もう私のことが好きじゃなくなって、私を追い出そうとしてるんでしょう」
美月は拳を固く握りしめて言った。
蓮司は眉をひそめ、無表情で答えた。
「お前を好きではないことと、透子を好きかどうかということには、何の関係もない。言ったはずだ、お前と俺は二年前に終わってる。
お前がお金のために俺を裏切り、俺のもとを去った時点で、俺たちに未来はなくなったんだ」
美月はそれでも信じようとしなかった。蓮司が透子を愛してしまったから、自分を愛せなくなったのだ、と。
「私が帰国したばかりの頃、あなたは気にしていないって、理解できるって言ってくれたじゃない」
美月は泣きながら言った。
「あの時、どうやってお爺様に逆らえたっていうの?お爺様は私を脅して追い出そうとしたのよ、私にどうしろというの?京田市から追い出されたかったとでも?」
蓮司は唇を引き結んだ。
「気にしていないというのは、普通の友達としてならやり直せるという意味であって、恋愛関係をやり直すという意味ではない」
蓮司は後になって反省もした。
美月とはまだ近づけたかもしれないが、結局最後の一歩を踏み出せない。
同時に、透子に対して後ろめたさと裏切りを感じてしまう……
だから、元々自分が美月を好きだと思っていたのは、ただの「思い込み」に過ぎず、実際にはもう好きではなかったのだ。
「そんな言葉遊びをしないで!普通の友達ですって?友達がキスしたり、奥さんの部屋で寝たりするっていうの??」
美月は怒りに声を震わせ、嘲るように言った。
「あなたはまだ私を愛しているのに、どうして認めないの?私たちには三年間も一緒にいた時間があるのよ。たった二年離れたくらいで消えるはずがないわ。
あなたが最初から本気で私を好きじゃなかったというなら話は別だけど」
美月は挑発するように言った。
「海外へ行ったことは、あなたに申し訳なかったと認めるわ。でも、私にも選択肢がなかったのよ!私だって被害者なんだから!
もしあなたが私を愛していたなら、あの時一緒に海外へ行くべきだったのよ。お爺様が私を脅した時に、私を守るべきだった。
何もできずに私が出て行くのを見ているだけで