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Home / 恋愛 / 離婚カウントダウン、クズ夫の世話なんて誰がするか! / 第100話

第100話

Author: ちょうもも
この時間、行き交う人も多く、伶の顔色があまりに悪いため、通りかかる人たちの視線を集めていた。

伶は悠良の耳元で低く囁いた。

「先に俺を部屋まで運べ」

悠良もさすがに迷っていられなかった。

もしこのまま薬が効き始めたら、こんな公の場では......

間違いなく翌日にはニュースの見出しになるだろう。

そうなれば小林家まで巻き添えを食らう。

莉子のバカ女、まさか伶に薬を盛るなんて。

彼女は伶に言われるまま体を支え、彼の案内でホテルの部屋の前まで来た。

「ルームキーは?」

「ズボンのポケットに」

今は状況が状況だ。悠良はほかを気にしていられず、伶のスーツのポケットに手を差し入れた。

メンズのスラックスのポケットは深く、彼の体を支えながらカードを探すのはなかなか難しい。

まるで底の見えないブラックホールに手を突っ込むようだった。

「......ッ、しっかり探せ、どこ触ってる」

伶は眉をしかめて低く言った。

悠良は顔を真っ赤にしながら反論した。

「変なとこなんて触ってないでしょ!てか、なんでそんな深いポケットなんか履いてんのよ!」

さらに手を動かしていると、ようやくカードらしき感触が指先に触れた。

「あった!」

悠良はルームキーを取り出し、ドアのセンサーにかざした。

ピン。

ドアが開く。

悠良は伶を中へと運び、バスルームへ向かった。

以前、彼女が広斗に薬を盛られたとき、伶がしてくれたように。

「とりあえず冷水で熱を下げて」

伶の体はすでに熱くなっていて、服越しにもその体温が伝わってくるほどだった。

彼を何とか浴槽に座らせたあと、悠良はシャワーの蛇口を探しに立ち上がった。

だが、シャワーの位置が高い。

彼女はつま先立ちで手を伸ばすが、足元が滑り、

「きゃっ――」

「......っ!」

伶は押し倒される形で小さく唸った。

同時に、頭上のシャワーから冷水が勢いよく降り注ぎ、二人ともずぶ濡れになった。

悠良はずぶ濡れになった髪を払いながら浴槽の縁に手をついて起き上がろうとした。

今すぐにでも莉子をぶん殴りたい気分だった。

顔を上げると、伶の視線とぶつかった。

彼は今やシャツ一枚、濡れた布地越しに鍛えられた腹筋が浮かび上がっている。

まさに視覚のごちそうだった。

だが彼女は理性を失うほどバカではない。

人の弱
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