Search
Library
Home / 恋愛 / 離婚カウントダウン、クズ夫の世話なんて誰がするか! / 第47話

第47話

Author: ちょうもも
伶はソファに腰掛け、コーヒーを飲みながら悠良の企画案の問題点を指摘していた。

骨ばった男の指先が資料の中のデータを示しながら言う。

「この数値のまま上に提出したら、コストが高すぎるって思われる。中の経営権を取るつもりなら、白川社より安い価格を提示しなきゃダメだ。商売人にとって重要なのは利益だけだ」

悠良は思わず眉をひそめた。

「でもこの数値、何度も計算して出したものですよ。これ以上下げるなんて不可能」

「もし俺がこの数値をもっと下げられたら、どうお礼するつもり?」

伶は指先でペンをくるくると回す。

悠良は、彼が回すそれさえも美しく見えるのが不思議だった。

「......ご飯、ご馳走する」

食事以外に、彼に渡せるものなんてない。

だけど、この男は本当に抜け目がない。

そもそも彼女はこの企画書を無償で渡している。

ただただ「オアシス」の設計に関わりたい、それだけが彼女の望みだった。

配当すら求めていない。

つまり、伶はほぼタダ同然で利益を手にすることになるのだ。

彼は背もたれに体を預け、両手を後ろに組み、長い脚をテーブルの上に無造作に投げ出した。

「俺、『酔仙』がいいな」

酔仙!?

悠良は驚いた。

あそこで食事をしたら、1回で軽く6桁はいく。

よくそんな図々しいことが言えるなと心の中でツッコむ。

もし伶にそれなりの名声がなければ、彼女は本気で「この男、実は貧乏なんじゃないか」と疑っていたところだ。

でなきゃ、こんなに彼女を搾り取ろうとはしないだろう。

伶は悠良の顔に浮かんだ迷いを見て、片眉を上げた。

「何?金が惜しいのか?」

悠良は、彼がオアシスの経営権を取れば、史弥との衝突も避けられないことを思い、これはその労をねぎらうつもりで、と自分に言い聞かせる。

「いいでしょう。一週間以内なら」

伶は目元を薄く持ち上げ、どこか茶化すような口調で言った。

「そんなに俺に飯おごりたいのか?」

悠良はその挑発に乗らず、淡々と返す。

「その時ちょっと予定が詰まってて、時間取れるかわからないので」

「OK、じゃあそのうち連絡するよ」

悠良は時計を見て、もう遅いと感じ、急かすように言った。

「で、どうやってコスト下げるのか教えてください」

データが高ければ、それだけ後々の単価が上がる。

誰だって利益は多く欲しい。

伶は
Continue to read this book for free
Scan code to download App
Locked Chapter
Explore and read good novels for free
Free access to a vast number of good novels on GoodNovel app. Download the books you like and read anywhere & anytime.
Read books for free on the app
SCAN CODE TO READ ON APP