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Novels by 黒蓬

 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~

人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~

気が付くと見知らぬ場所に居た。 突然現れた観音様によると元の世界で俺は死んでしまったが、予定外のことらしく望めば別の世界で復活できるらしい。 突然のことで何が何やらだが、まだ死にたくはないし異世界で人生の続きを頑張ってみるか。 ・・・え?俺商人なのに金銭NGって冗談だろ?
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Chapter: 第72話 森の奥地の再調査依頼
呼び出しに従って冒険者ギルドへ向かうと早速応接室に通された。「良くいらして下さいました。私はここのギルド長をしているラーケスと申します。本日お呼びしたのは前回お二人が倒したシャドウウルスに関する件でして、率直に言えば、森の奥地の再調査にお二人も参加をお願いしたいのです」 「なぜわざわざ俺達に?やっぱりあのシャドウウルスを倒したからですか?」 「もちろんそれもあります。ただ一番の理由はお恥ずかしながら人手不足なのです。ちょうど学園祭が終わったところで、商人や旅行客の護衛に人手が割かれているところでして。そちらは少しすれば戻るとは思うのですが、今は少しでも早く調査が必要だと考えているのです」ある程度予想はしていたが、やはり再調査の話だったか。 あのシャドウウルスみたいな魔物が他にも居るのであれば、正直今の俺には荷が重い。あの戦闘でもほとんど役に立たなかったしなぁ。「あくまで協力要請なので無理強いは致しませんが、他にも数名の冒険者には既に受注して頂いているので、前回よりリスクは下がると考えています」俺の表情を読んだのだろう、ラーケスさんはそう補足を入れた。 まぁ本命はカサネさんの協力を得たくて、俺はおまけなんだろうな。「アキツグさん、どうします?」カサネさんも会話の意図を理解したのだろう、俺に判断を委ねてきた。 確かにリスクはあるが今回はあくまで調査だ。他の冒険者も居るみたいだし、いざとなれば協力なり撤退なりすればいいだろう。「何かあった時の撤退の判断はこちらでしていいんですよね?」 「もちろんです。むしろ危険だと判断したら直ぐに退いて下さい。下手に危険な魔物を刺激して森から出てきてしまうと街にまで危険が及ぶ可能性もありますから」 「分かりました。それなら引き受けましょう。カサネさんも良いよな?」 「はい。アキツグさんがそう判断されたのであれば私は構いません」 「ありがとうございます。それでは早速受注処理に入らせて頂きます」その後、俺達は条件や報酬などについて確認した後、クエストを受注してまたあの森に戻ってきた。心なしか前回より森が静かな気がする。恐ら
Last Updated: 2025-05-02
Chapter: 第71話 シディル邸にて
ギルドへの報告を終えて、シディルさんの屋敷へと戻ってくると1階には誰の姿もなかった。クレアさんはまだ学園なのだろう。シディルさんとロシェはまだ地下の研究室にいるようだ。「二人はまだ地下にいるみたいだ。疲れたしちょっと休憩にしようか」 「そうしましょう。私、お茶を入れてきますね」そう言ってカサネさんがキッチンの方に入っていったあと、入れ替わりで地下室からロシェが出てきた。『おかえりなさい。どうやら無事みたいね。なんだかあなたの気配が陰った気がして少し心配だったのよ。距離が離れていたせいではっきりとは分からなかったのだけれど。カサネはキッチンかしら?』俺が戻ってきたのに気づいて上がってきてくれたらしい。「あぁ、ただいま。ちょっと予想外の魔物に出くわしてしまってな。何とか倒せたけど大変だったよ。カサネさんはお茶を入れに行ってる」 「あ、ロシェさん。ただいま戻りました。ロシェさんの分もお茶入れますね」 『ありがとう。あなたは変わりなさそうね』 「あ、アキツグさんから聞いたんですか?そんなことないですよぉ。すごく大変だったんですから」改めて考えると魔法を使っていたとはいえ、カサネさんはあいつの猛攻をずっと一人で捌き続けていたのだ。流石Bランク、とんでもない実力者だよな。『あら、あなたがそんな愚痴を零すなんて本当に苦労したみたいね。アキツグ、あなたは戦いに慣れてないんだからあまり無茶はしないようにね』 「うぐっ。わ、分かってるよ。とはいえ守られるばかりっていうのもカッコ悪いからな。俺も少しは強くならないと」 『へぇ。珍しいわね、あなたがそんなこと言うの。でも、良いんじゃない?無理しない程度に頑張りなさい』 「あぁ。自分の力の無さは今日痛感したからな。無茶はしないさ」そんなことを話していると、地下室からシディルさんも戻ってきた。「おぉ、お主ら戻っておったのか。急にその子が上に戻りたがる様子を見せたから扉を開けてやったのじゃが、何かあったのかの?」 「えぇ。まぁ。魔道具のテストも兼ねて近くの森まで魔物討伐のクエストに行ってきたんですが、そこでシャドウウルス
Last Updated: 2025-05-01
Chapter: 第70話 戦うこと、守ること
「お、終わった・・・よな?」 「えぇ、何とか倒せましたね」 「あ~終わったぁ。上手くいって良かった。死ぬかと思った」 「確かに。あそこまで強いとは思っていませんでした。以前に一度シャドウウルスと戦ったことがあったのですが、あれとは別物の強さでしたよ」 「カサネさん、本当にごめん。あんな奴の相手をほとんど一人で任せてしまって」 「いえいえ、謝らないでください。引き受けたのは私ですから。それに最終的にはアキツグさんの機転のおかげで倒せたんですから」 「いやでも、ずっと危険な役回りを任せっぱなしっていうのは・・・」 「これでもこの世界の冒険者としては先輩ですからね。まぁ今回は少し焦りましたけど、、それでも気になるようであれば強くなって今度は守って下さいね?」そういうとカサネさんは戦う前と同じように悪戯っぽい笑みを浮かべた。 強くなる・・・か。今まではあまり戦うことなんて考えてなかったけど、仲間を守りたいのであれば守れるだけの力は必要だよな。いや、俺の場合はまず自分の身を守れるようにするところからか。 幸いにもそのためのスキルも、道具も俺は手に入れることができている。あとは使いこなせるように努力して経験を積んでいかないとだな。「そうだな。いずれは俺が守れるように頑張ってみるよ」俺の言葉にカサネさんは一瞬きょとんとしたような表情を見せた後、「期待してますね」といってまた楽しそうな笑顔を浮かべた。 思わぬ乱入者が現れたが、魔道具のテストと魔物の討伐依頼は問題なく終わらせることができた。 後は冒険者ギルドに戻ってシャドウウルスの件も含めて報告すれば完了だな。 そう考えて倒したシャドウウルスの死骸をマジックバッグに仕舞おうとしたところであることに気づいた。「カサネさん、これ」 「傷跡・・・ですね。何かの獣に噛まれた跡のようですが、そんなに古いものではなさそうです」それはシャドウウルスの背中にかなり深い傷跡を残していた。「もしかするとその何かから逃げてきたのかもしれませんね。ということは・・・」 「こいつよりもさらに強い何かがこの近くにいるかもし
Last Updated: 2025-04-30
Chapter: 第69話 突然の遭遇戦
「いっっ!い、今のは?」 「あれは・・・シャドウウルス!?ここには危険な魔物は居ないはずじゃ?」振り向いた先に居たのは真っ黒な熊の様な魔物だった。左右の手には鋭い刃のような鉤爪が付いている。先ほどはあれで攻撃されたのだろう。ハクシンさんから貰っていた斬撃耐性がなかったらもっと深手を負っていたかもしれない。「アキツグさん、大丈夫ですか?」 「あぁ、傷はそこまでじゃなさそうだ。戦うのに支障はない」 「分かりました。私があいつの気を引きますからアキツグさんはサポートをお願いします。シャドウウルスは陰に潜む能力がありますから、気を付けて下さい」 「気を引くって、そっちこそ大丈夫なのか?さっきまでだって結構な数を倒してたのに」 「私これでもBランク冒険者ですよ?これくらいの危険は慣れてますから」カサネさんは悪戯っぽい笑顔を浮かべてそう言うと、俺から離れてシャドウウルスに魔法を放ち始めた。シャドウウルスもカサネさんの方を脅威と判断したのだろう。俺からカサネさんの方に視線を移した。 森の中であるため火属性の魔法は使えない。カサネさんは氷や風の魔法をメインに攻撃しているが、シャドウウルスは体格に似合わない素早い動きで魔法を躱し、勢いのままにその鋭い鉤爪を振り下ろしてきた。 しかし、カサネさんもその動きは予想していたのか目の前に土の壁を生み出し、自身は横に飛びながらさらにシャドウウルスの側面に向けて氷の槍を撃ち出した。 シャドウウルスは片手を土の壁に埋めており素早い回避は不可能な状態だ。当たるかと思われた氷の槍は、しかしその背後の木に突き刺さった。 シャドウウルスが木の影に潜り氷の槍を躱したのである。本能的なものかもしれないが判断力も高いらしい。 その後、俺も隙を見て魔銃で援護をしようと試みてはいたのだが、まだ扱いに不慣れなのを差し引いてもシャドウウルスの素早さと影潜りの能力の高さにその悉くが躱されていた。 カサネさんもそんなシャドウウルスを相手に魔法を巧みに操って攻防を繰り広げているのだが、流石に身体能力の面ではシャドウウルスが有利な上に俺達は先ほどまでも別の魔物を倒していて疲労が残っている。少しずつだが押され始めていた
Last Updated: 2025-04-29
Chapter: 第68話 新装備!魔道具の試し撃ち
シディルさんの依頼を受けたことで、数日はマグザの街に留まることになった。 宿に関してはシディルさんの屋敷を使わせて貰えることになったため、エフェリスさん達に礼を告げて場所を移していた。 エフェリスさんは「気にしなくて良いのに」などと言ってくれていたが、流石に理由もなくお世話になり続けるのも悪いし、なるべくロシェの近くに居たほうが良いだろうという判断でもある。ちなみにミルドさんとエリネアさんは片付けが終わったらまたロンデールに戻るらしい。 とはいえ、四六時中側についていても仕方ないし何より俺もカサネさんも特殊なスキル持ちだ。シディルさんの研究室がどんなものかは分からないが、俺達が中に入ることでそれに感付かれるとまた話がややこしくなる気がしたので、ロシェとは別行動をとることになった。 ・・・カサネさんは調査に興味があるみたいで少々残念そうにしていたが。 そして俺達は今、街外れにある森に来ていた。 冒険者ギルドに森の魔物の討伐依頼が出ていたので、とある魔道具のお試しも兼ねて受けてきたのだ。このあたりには強い魔物は出ないのだが、最近森の魔物が増えてきているらしく、定期的に冒険者に依頼を出しているらしい。 とある魔道具というのはロシェの調査依頼の報酬として受け取ったシディルさん特製の魔道具である。俺達からすると何もしていないのに報酬だけ受け取っている感じなので申し訳なさはあるのだが、当のロシェ自身に『気にせず行ってきなさい』と言われてしまっていた。 森の奥に進んでいくと確かに怪しい気配が増えてきた。魔物同士が争っているような音も時折聞こえてくる。「この辺で良さそうですね。あまり奥に行って囲まれたりしても困りますし」 「そうだな。俺はここでもちょっと怖いくらいだけど」 「ふふっ、すぐに慣れますよ。アキツグさんの魔法の腕も上がってきてますから」 「そう願いたいな。戦わずに済むならそのほうが良いんだけど」そう話しつつも、俺は早速魔道具を近づいてきた魔物に向けて狙いを定めた。気を落ち着けて慎重に引き金を引くと、魔道具から雷の弾丸が撃ち出された。 弾丸は撃ち出された勢いのままに魔物の胴体を貫通し、その魔物は
Last Updated: 2025-04-28
Chapter: 第67話 ハイドキャットの生態調査依頼2
そこまでする必要はなかったかもしれないが、何となく屋敷の中だとシディルさんに聞かれてしまうのではないかと思ったのだ。 それにしても調査依頼か、ロンディさんの時を思い出すなぁ。理由が魔道具の発展のためだったり、こちらが弱みを握られてるっていうところも同じだし。違いは対象が俺じゃなくてロシェってところだけど。「さて、どうしようか。シディルさんも話した感じ友好的だし、断ってもロシェのことを言いふらしたりするような人ではなさそうだけど。調べられた結果ロシェ達に不利益な情報が広まる可能性もあるよな?」 『無いとは言い切れないでしょうね。私達を見つけるようなものが作れたりするのかもしれないし』 「そうだよなぁ。姿を消せる原理を知ろうとしているわけだし、それを応用すればそういうこともできそうだよな」 「そうですね。当然リスクはあると思います。ただ分からないところはこちらで悩んでも仕方ないですし、聞いてみれば良いのではないですか?」 「・・・そうだな。もう少し色々聞いてみてそれでも危険だと思ったら悪いけど断わろうか」結論が出たところで屋敷に戻り、シディルさんに先ほど話していたリスクについて聞いてみることにした。「ふむ。ハイドキャットという種の優位性へのリスクのぅ。ハイドキャットの仲間がいるお主達からすれば当然の懸念じゃな。では、調査結果やその後の研究の成果は世間には公表しないということでどうじゃ?わしが個人的に研究する資料とするだけであれば、ハイドキャットたちに危険が及ぶこともなかろう」 「えっ?それでいいんですか?魔道具の発展のための研究なのでは?」 「もちろんできるのであればそうしたいところじゃが、それではお主達は納得せんじゃろう?それに一番の目的はわしの探求心を満たすためじゃからの。わしは今でこそ学園長なぞやっておるが、もともとは魔道具の研究者での。若い頃に解明できなかった姿隠の原理が未だに心残りで、今でも趣味で細々と研究を続けておったのじゃ。じゃからそれでお主達が納得してくれるのなら安いものよ」シディルさんは昔を懐かしむように自分の過去の話をしてくれた。 隣で聞いていたクレアさんは驚いたような納得したような表情をしている。
Last Updated: 2025-04-27
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