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根上真気
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Novels by 根上真気

婚約してから始まる恋~炎の魔女と氷の公爵様

婚約してから始まる恋~炎の魔女と氷の公爵様

運悪く親友の修羅場に巻き込まれて刺殺されてしまったコハクは異世界の魔女に転生する。転生後、彼女はある目的のために〔魔女の里〕へとやってきた若き公爵・クローと出会う。魔女の力を目撃したクローは、病気の弟を救うために彼女を連れ帰りたいと言う。それから二人はやむを得ず婚約を交わし〔魔女の里〕を後にする。やがてコハクの心は、黒髪の貴公子(クロー)の蒼い瞳に惹き寄せられていく。そして病の美少年(クローの弟)にも出会い、コハクの恋と運命は大きく揺れ動いていくことになるのだった。
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Chapter: ep73 悩み
  【4】コンコン。コンコン。部屋のドアがノックされた。回数が多い。なんだよ煩いな、と思ったのも束の間。コハクはハッとして時計を見る。普段の起床時間を明らかに過ぎていた。理由は明白。昨夜、色々と考え事をしていて遅くまで眠れなかったせいだ。昨日の出来事だけが原因なのか、はたまた昨日の出来事がきっかけとなってこれまで溜まっていたものが爆発したのか。どちらにせよ、モヤモヤする。昨日、あれからクラリナと別れてクローと会う直前までは良かった。特に何も気にしてないと思っていた。ところが、クローと顔を合わせた瞬間、クラリナの言葉がフィードバックした。わたしも、グレーアム先生と仲良くしたいです。「コハク? どうかしたのか?」クローが顔を覗き込んできた。コハクは慌てて誤魔化した。「な、なんでもないよ」その時はとりあえず誤魔化したが、気持ちはずっとモヤモヤしたままだった。帰りの馬車の中での会話は自然と減り、屋敷に着いてからは不自然に口数が減った。さらにルーと顔を合わせると、今度はエリオット・エルガーのことが思い起こされた。以前、ルーはこう言った。魔法大学の男たちに気をつけてね、と。あの時は的外れな心配だと思っていたけど、どうやらルーの心配は当たっていたようだ。エリオット・エルガーが警戒すべき男かどうかはまだわからないが......。「コハク? どうした
Last Updated: 2026-05-20
Chapter: ep72 不安
反応に困る、とはまさにこのことと言わんばかりにコハクは返事に詰まってしまった。どういう意味で言ってるの? それは要望なの? それともただの希望なの? 「......あの、コハクちゃん?」クラリナが不思議そうに顔を覗き込んでくる、「わたし、変なこと言いました?」「あっ、いや」コハクはハッとする。そうだ。べつにクラリナの言っていることは、決しておかしなことじゃないんだ。赴任してきたばかりの素敵な先生と仲良くなりたい。そんなの、ごく当たり前の感情じゃないか。ましてやクローは美男子で、クラリナは十代の女の子だ。ある意味、当然とも言える。「わたし、コハクちゃんのこと、困らせちゃったかな......」クラリナが申し訳なさそうな微笑を浮かべる。コハクはマズイと思った。ちゃんと返さないと!「そ、そんなことないから! 大丈夫だから!」「本当ですか?」クラリナは不安そうにしている。友達を困らせてしまっていないか、本気で心配している顔だ。「本当だよ!」コハクは精一杯の笑顔を作って見せた。「今度、放課後かお休みかで、三人でお茶でもしようよ!」「いいんですか?」クラリナの目が輝いた。「もちろんだよ!」「すごく楽しみです」クラリナの笑顔が戻った。コハクはホッとする。ただ、胸の奥では、言い知れない不安が低気圧となって雨雲を作り始めていた。しかしコハク自身、それを自覚するまではしばしの時間を要するのだった。
Last Updated: 2026-05-19
Chapter: ep71 え?
「はぁー、はぁー」廊下の端までいき、コハクは立ち止まって壁に手をついた。正直、自分の行動に自分が驚かされていた。何も逃げなくてもいいのに。ボク、何をやっているんだ?「どうしよう。絶対ヘンに思われたよね。それどころか嫌われたかも。フツーに失礼だし。強引なナンパでもないのに。しかも相手はクラスメイトなのに......。クラリナも、どう思っただろ......」冷静になってくると、ますます不可解になってくる。そもそも相手に下心があるかどうかもわからない。ナンバだとも限らないんだ。純粋にクラスメイトと親睦を深めたいだけなのかもしれないんだ。ウブな乙女にもほどがあるぞ。「でも、前世で、ハヤテのナンパを散々見てきたからなぁ」それゆえに過剰反応したのだろうか。ましてや自分の場合、男から女に転生している。男側の心理もわかる分、より男に対する警戒心が強いのかもしれない。「クローは平気なのに......」そう。クローは、最初から平気だった。出会い方も関係しているだろうけど、それだけでは語れないものがある気がする。「あれ?」ここでふと、コハクはあることに気づく。そういえば、ルーのことも平気だったと。告白された時はさすがに戸惑ったけど、それでもエリオットに対して抱いたような警戒心はない。
Last Updated: 2026-04-30
Chapter: ep70 クラスメイト
  【3】一日の授業が終わり、コハクとクラリナが会話を交わそうと目を合わせた時だった。二人の視線は同時に別の方向へ移った。「インフェスさん」数名の男子学生がコハクに近づいてきていた。皆、好意的な笑みを浮かべている。「こんにちは」その中のひとりの男子学生がコハクへ挨拶する。中々の男前に見える。「こんにちは」と返しながらコハクは思い出したように立ち上がった。そういえばクラリナ以外の学生とはまだ話したことがない。「初めまして、コハク・インフェスさん。僕はエリオット・エルガーです」エリオットは好意的な微笑みを見せる。茶色い髪の毛をオシャレに整えた彼は、いかにも女にモテそうな容貌を備えたイケメンだった。コハクは一瞬、前世での親友を思い出した。「初めまして」とコハクも挨拶を返すと、二人の会話が始まる。すると、またたく間にコハクは相手のペースに飲まれていった。「マギアヘルム出身と聞いて最初はどんな女性かと思ったけど、話してみると実に親しみやすくて可愛らしい素敵な人だなぁ」
Last Updated: 2026-04-29
Chapter: ep69 疑問
誤解はすぐに解けた。さすがにクラリナも半信半疑だったようで、授業間の短い休憩時間、最低限の説明で充分だった。ただ、今回のことでひとつ問題が浮き彫りになってしまった。「でもまさか、コハクちゃんとグレーアム先生が同じ屋敷に住んでいるなんて」クラリナは素直に驚いた。そうだよね、とコハクも思った。思いながら、クローと一緒に登下校するのはマズイかも......と気づく。事情を知らない者から見れば、良からぬ想像が働くのも無理はない。ましてや学生たちは色恋沙汰に敏感な年頃だ。むしろなぜ今頃になって気づいたのか、遅きに失したと言わざるをえない。コハク自身はもちろんのこと、クローやフランツやメアリーからも言及がなかったのが不思議なぐらいだ。「と、とにかく、ボクとクロ......グレーアム先生は何でもないから」言いながら、コハクは何だか哀しくなってきた。確かに愛人関係ではない。しかしまったく男女の関係ではないと言えば嘘になる。婚約関係。それはすなわち将来の夫婦関係だ。肉体関係こそないものの、友人以上の関係であることは間違いないはずだ。「コハクちゃん?」クラリナが隣から顔を覗き込んできた。「あっ、な、なんでもないよ」あわててコハクは笑顔を作った。できたばかりの新しい友人の目の前で落ち込んでいる場合じゃない。「気にしないで」そもそも身分を隠して入学しているのだから仕方がない。言えない
Last Updated: 2026-04-28
Chapter: ep68 関係
コハクは一瞬「?」となる。それからすぐにハッとする。失敗した。距離感を間違えた。そう気づいた途端、今度は焦ってくる。せっかく仲良くなれそうなクラリナに、このままでは嫌われてしまう。「ご、ごめん。ボクたちまだそこまでの関係じゃないもんね。ボクばっか先走っちゃったね。アハハ......」コハクは精一杯に笑顔を作って返した。どうにかして気まずくならないようにしたい。「あっ」クラリナが何か重大なことに気づいたように、態度を一変させる。「ご、ごめんなさい! わたし、なんて失礼な物言いを」「全然そんなことないよ!」コハクはさらに焦り出した。「あの言い方では、まるで私がコハクちゃんのお誘いを嫌がってるみたいに聞こえて当然ですよね......」「じ、じゃあ、そういう意味ではないってこと?」コハクがおずおずと尋ねると、クラリナは必死に何度も首を振った。「も、もちろんです!」コハクはほっと安堵する。危うく華のキャンパスライフに早くも影を落としてしまうところだった。何事もなさそうで良かった。いや待て。コハクは思う。本当に何事もないのなら、先ほどのクラリナのあの反応は何なんだ? 何もないのにあの反応は逆に不自然だ。
Last Updated: 2026-04-28
転生吸血姫

転生吸血姫

遊び人男が女に刺殺されて転生したのは吸血鬼の王女。城に住み臣下がいて美少年に愛され幸せに見えたが...国の経済状況はひっ迫していた。何とかするにはある国との関係回復が必須。その国には三人の王子がいる。どれも一筋縄ではいかないイケメン王子様!絶世の美少女となった主人公が遊び人だった前世を活かし彼らを虜にして国を救う!? 男女逆転(TS)転生!ロマンスコメディ・ゴシックファンタジーが幕を開ける!
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Chapter: おまけ
「リザさま。おはようございます」起きるなり若くて美しい侍女がやさしく声をかけてきた。「おはよう。マデリーン」リザレリスが応えると、マデリーンは満面の笑みを浮かべた。「本日も朝からリザさまはとってもお可愛くていらっしゃいます」「マデリーンのほうこそ朝から美人だな」元遊び人らしくリザレリスも調子良く返した。するとマデリーンの顔がトロけるようにほころぶ。「そ、そんな、リザさまからそのようなお言葉をいただけるなんて」気をよくしたリザレリスは、マデリーンの頬にそっと手を触れる。「こんな綺麗な侍女がいてくれて、俺...わたしは幸せだぜ」「はあ!」マデリーンは膝から崩れ落ちた。「まったく朝から何をやっているんですか」後ろからルイーズが呆れながらやってきた。
Last Updated: 2025-07-07
Chapter: ep101 エミルとルイーズ
【25】夜、皆が帰っていった後。リザレリスが自室に戻っていってから、居間でエミルはルイーズに訊ねた。言うまでもなくマデリーンについてのことだ。確かに彼女は、まるで人が変わったようにリザレリスへ従順になった。しかし彼女がリザレリスを傷つけたことは事実。それなのに侍女として彼女を迎え入れたのはどういうことなのか。「もちろん無条件に受け入れたのではありません。マデリーン・ラッチェンは、私の課した試験に合格したので採用しました」これがルイーズの回答だった。そして彼女はこうも付け加えた。「マデリーン・ラッチェンは、何もかも正直に話してくれましたよ。その上で彼女はリザレリス王女殿下の侍女になりたいと申しました。そんな彼女に対し、私は通常よりも遥かに厳しく試験と審査を行いました。しかし彼女は合格しました。ハッキリ言いましょう。彼女は優秀です。今後、彼女は必ず役立ってくれると私は判断しました」その説明は、エミルを納得させるに余りあるものだった。ルイーズという人間のことをエミルはよく知っている。彼女の課す試験と審査というものが、どれだけ厳しいのかを知っていた。エミルにとって彼女は、真の信頼に足る人物だった。彼は彼女を尊敬もしていた。「ルイーズさんがそう言うなら、そういうことなのでしょう」エミルが納得して見せると、ルイーズは口元を緩めた。
Last Updated: 2025-07-06
Chapter: ep100 サプライズ
こうしてすっかり楽しい雰囲気となった彼らへ、サプライズが起こったのは夕食の時だった。食卓に着いた彼らのもとへ、ルイーズの指示に従い侍女が料理を運んでくる。最初は誰も気にしなかったが、ふと皆の視線が彼女に貼りついて固まった。ルイーズが満を持してといった具合に、咳払いをひとつする。「彼女は、本日から新しく侍女として入って参りました。マデリーン・ラッチェンです」侍女姿となったマデリーンは、リザレリスたちに顔を向け、挨拶する。「改めまして、本日よりリザレリス王女殿下の侍女としてこちらに勤めさせていただきます、マデリーン・ラッチェンです。どうぞよろしくお願いいたします」部屋に沈黙が訪れる。誰にも理解が追いつかない。皆が口を半開きにする中、フェリックスが吹き出した。「これは参ったな。さすがに僕にも予想外だったよ」笑い声を上げるフェリックスに、マデリーンが体を向ける。「フェリックス様の温情ある措置があったからこそ、今の私があります。本当にありがとうございました」彼女の謝意に対しフェリックスが会釈した時、ようやくリザレリスたちも一斉に声を上げた。「えええー!?」
Last Updated: 2025-07-05
Chapter: ep99 王女のおかげ
放課後、肩を落として校舎から出てくるリザリレスを待っていたのは、レイナードとフェリックスだった。このタイミングでこのふたりが待っていたということは、理由はひとつだろう。「リザも聞いていると思うけど」とフェリックスは前置きして、リザレリスの反応を窺ってきた。リザリレスは無言で頷く。それを確認すると、彼は申し訳なさそうな顔を浮かべた。「彼女が自分自身で決めたことだから、これ以上は僕にもどうにもできない」そんなフェリックスに、レイナードは言う。「いや、兄貴は最大限のことをやってくれた。俺なんか最初からなんもできてねえ」レイナードは悔しさに唇を噛んだ。空気が重くなっている彼らを、周囲の生徒たちは不思議そうに眺めていた。いったい王子ふたりが一年生と何を話しているんだろう、という目で。マズイと思ったエミルとクララが視線を交わし合う。「早く参りましょう!」エミルとクララに促され、リザレリスたちは歩き出した。一行が乗り込んだ馬車がリザリレスの屋敷に到着すると、クララが遠慮がちに口をひらく。「ほ、本当に、私までよろしいんですか?」「当たり前じゃん。こんな日だからこそ今日はみんなで楽しみたいんだよ。クララもいてくんなきゃ困る」
Last Updated: 2025-07-04
Chapter: ep98 決めたこと
人気のない校舎の裏庭までやって来ると、マデリーンが立ち止まり、こちらへ振り向いた。彼女は周囲を見まわしてから、クララへ顔を向ける。「巻き込んでしまって、本当にごめんなさい」自分への謝罪にびっくりしたクララは、慌てて手を横に振った。「わ、私は、むしろ加害者側で」「違う。貴女も私の被害者よ。それに貴女がいなければ本当に取り返しのつかないことになっていたかもしれない」「そ、そんな、私は」「ごめんなさい。そして、ブラッドヘルム王女様を救ってくれてありがとう」「わ、私は、できることをやっただけです」クララは複雑な胸中で恐縮するが、マデリーンの様子には安堵していた。それからマデリーンは、改まってリザリレスの方へ向く。「ブラッドヘルムさん。いえ、リザレリス王女殿下」「は、はい」やけに畏まった様子にリザリレスはやや戸惑うが、このあとさらに困惑させられる。マデリーンが跪いてきたのだ。「この度は、多大なご迷惑を
Last Updated: 2025-07-03
Chapter: ep97 焦燥の悪役令嬢
【24】シルヴィアンナと取り巻きは、教室で呆気に取られていた。あの日の翌日以降、リザリレスが何も気にしていないからだ。怒るでもなければ怖がるでもなし。文句すら言ってこない。ただ何事もなかったように、教室でも外でも普通に明るく楽しく過ごしている。「どういうことなんでしょう......」取り巻きが言うと、シルヴィアンナはふんと鼻を鳴らす。「それよりもラッチェン先輩の停学処分が気になるわ。あの人、いったい何をやったの?」「さあ。あのあと私たちはそのまま帰ってしまいましたから......」「そういう約束だったからそれは仕方ないわ。ただ、あの人の停学処分の理由がわからないと、何となくわたくしたちも大人しくせざるをえないじゃない」マデリーン・ラッチェン停学については、一年生の間でも噂が広がっていた。何せマデリーンは第二王子の恋人だった女。その彼女が停学処分となったのだから、何かと勘ぐられ、囁かれてしまうのは仕方がないことだろう。ただし噂はどれも憶測レベルで、信憑性に欠けるものだった。 「し、シルヴィア様の、おっしゃるとおりです」おずおずと取り巻きは答えた。そうとしか答えようがなかった。シルヴィアンナは苛立ちを滲ませる。
Last Updated: 2025-07-02
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