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Nobela ni chris_kdm_ky

いもおい~日本に異世界転生した最愛の妹を追い掛けて、お兄ちゃんは妹の親友(女)になる!?

いもおい~日本に異世界転生した最愛の妹を追い掛けて、お兄ちゃんは妹の親友(女)になる!?

異世界から日本へ転生した妹のリーナを追って、兄ヒルスは彼女の親友(女)として生まれ変わる--。 最強のウィザードから女子高生に生まれ変わった芙美(リーナ)と、咲(ヒルス)のダブル女子主人公。 現世の兄・蓮と、前世の兄・咲の恋人関係に、芙美は翻弄される。 果たして地球は救われるのか──?
Basahin
Chapter: 130.5 【番外編】サヨナラ
 ルーシャがハロンを次元隔離して一年が経った。 この短い期間で国の復旧は驚く程に進み、今この世界は平和だと思える。 けれどそんな穏やかな日々の裏で、ルーシャがターメイヤとは別の世界の未来を危惧した。 結果、その改変へと動き出したのは、ヒルスにとって大切な友と憎らしい男だ。 誰にも言うなと口止めされている。 そうするとは聞いていたけれど、いざ別れを切り出されると自分が思っていたよりショックが大きかった。「明日、行くことにしたよ」 彼に呼ばれて部屋へ行くと、アッシュは一人で酒を飲んでいた。空にしたグラスをヒルスに掴ませ、琥珀色の酒をなみなみに注ぐ。「急なんだな」 次元の外へ追い出したハロンが、今度は別の世界の壁をこじ開けて脅威に包み込むという。 それが起きるのは十七年後。知らない世界の未来の為に、彼らはこの世での生を捨てて、その世界へ生まれ変わるというのだ。 馬鹿げた話だと思う。けれど、彼らは本気でそんな馬鹿をしようとしている。 いくら考えても納得できず、ヒルスは酒をぐいぐいと流し込んで長い溜息を吐き出した。 慣れない酒はすぐに回って、頬がジンと熱くなる。「急でいいんだよ。伸ばせば気持ちが鈍るから」「それってリーナのせいか?」「どうだろうな」 アッシュは戻したグラスに酒を注いで、今度は自分がゴクリと飲んだ。 艶やかに溶ける氷がカラリと音を立てる。「だったら他に理由があるのか?」「まぁね──言わないけど」「勿体ぶるなよ。あの男は何て言ってるんだ?」「ラルのこと? アイツは使命感が強すぎて、一人でも行く気だったみたいだぜ。けど、はいそうですかって送り出せるわけないだろ? 俺だってリーナの側近なんだ。ハロンを倒せなかった責任は俺たちがとろうって決めたんだよ」「別に……残ったっていいだろ。そんなことしなくたって、この世界は平和なままなんだろう?」「お前が俺を止めてくれるの? 嬉しいね、気持ちだけ貰っとくよ。リーナに言わないで行こうって言ったのはアイツなんだ。リーナを置いていけるのは、お前が居るからなんだからな?」「何を……今更」 「くそっ」と吐いて、ヒルスは奪ったグラスを握り締めた。「お前アイツのこと嫌いなんだろ? いなくなってせいせいするんじゃない?」「あぁ、そうだよ。嬉しいよ。僕はアイツを恨んでるからね。けど……リー
Huling Na-update: 2025-09-26
Chapter: 130 黒丸と怪獣
 咲の『旗』という言葉に、三人は顔を見合わせた。「旗?」「ほら、よく昔の戦争とかで旗持って戦うのがあるだろ?」 智はクリームソーダのグラスに直接口を付けて、メロンソーダを飲んでいる。唇に付いたアイスをペロリと舐めて、「あぁ、あるね」と返事した。 芙美は最初、時代劇で見た合戦場のシーンを思い浮かべたが、別の旗が脳裏にチラついて、ハッと眉を顰める。咲が触発されただろうそれに、心当たりがあった。「咲ちゃん、それってもしかして、お兄ちゃんの部屋にある旗の事言ってる?」 お泊り会が終わってからまだ二日しか経っていないと思うと、確認するまでもない気がした。 咲も「そうだ」とあっさり認める。 お泊り会であの部屋に入った咲がどれだけ嫌な顔をするのかと思ったのに、大して驚きもしないどころか完全に蓮の世界観へ取り込まれてしまったようだ。 ヒルスは誰かに影響されやすい兄だっただろうか。あのおかっぱ髪も、リーナへの愛情も、誰に何を言われてもブレることはなかった筈だ。「リーナのアニキに何かあるの?」「うん。うちのお兄ちゃん、好きな小説に出てくる旗を部屋に飾ってて……」 言いながら恥ずかしくなって、声がどんどん小さくなる。けれど智は途端に「もしかして」と咲を振り向いた。「コーリア国騎兵団のやつ?」「えっ、智くん知ってるの?」「そこまで詳しくはないけど、人気作だから読んだことあるよ。隊ごとの旗が印象的でさ」「だったら話が早いな。僕はやっぱりあの主人公が一番好きなんだ」 途端に二人が意気投合して、本の話を始める。 芙美は横で黙っている湊にホッとして、ソフトクリームをスプーンですくった。「湊くんは、どう思う?」「別に旗作るのは問題ないけど、持って戦うのは現実的に考えて難しいんじゃないかな。邪魔でしょ?」「それは分かってるよ。だから、目印として使えればいいと思うんだ」 咲が割り込んで、話を先へ進めていく。「それで、デザインなんだけどさ」 咲は持ってきたスケッチブックの白紙のページをテーブルに広げた。「ターメイヤの国旗ってどんなのだったっけ? 僕たちの原点だし、一応参考にしようと思って」「ターメイヤの……国旗?」 芙美はスプーンを咥えたまま首を傾げる。言われるままに記憶を辿るが、全く思い出すことができない。「あれ? どんなだっけ?」「丸い感じじ
Huling Na-update: 2025-09-25
Chapter: 129 遅めのハロウィン
 昼前に降り始めた雨に今日はデートだと芙美が心を躍らせていると、どこかへ行っていた咲が教室に戻ってきた。四時限目終わりのチャイムとともに飛び出していったのはトイレか購買かと思っていたが、そうではなかったらしい。「みんな帰り空けといて」「今日?」 芙美たちが弁当を食べていたテーブルに自分の椅子を引いてきて、咲がその計画を切り出した。「そうだ。教官の許可貰って来たから、放課後は部活行かないで田中商店に集合な」「そんな急に……」「だって雨降る予定じゃなかったし、芙美だって部活行く気だったろ? いい機会だと思ってさ」 部活に行く予定なんて、雨が降り出した瞬間に抹消していたけれど。デートへの期待を崩されて、芙美は思い切り顔をしかめて見せる。「ハロン戦に向けて、ちょっと提案があってさ」 だったら晴れの日にやればいいじゃないかと反論したかったが、男子二人が「そういうことなら」と納得してしまい、言い出すことができなくなってしまう。「そういうのもやらなきゃならない時期だよな」「教官が許可した事なら、行くっきゃないか」「そうだね……」 芙美の気持ちを汲み取って、湊が慰めるように笑顔をくれた。   ☆「ハロンが来るまでもう一ヶ月切ってるし、色々準備しとかないとね」 智が足元の大きな水溜まりを跨いだ。雨は昼より強くなっている。 放課後、「先に行ってて」と言う咲を置いて、芙美は湊や智と田中商店に向かった。折角の雨なのにと思うと、最近薄れていた憂鬱さもぶり返してしまう。 店の軒下で傘を畳むと、智が扉の前にぶら下がった看板を見つけて「貸し切りだ」と眉を上げた。 ハロン戦の話をするという事で、絢が図らってくれたのだろうか。けれど、中を覗き込んだ智が「ちょ」と声を詰まらせ、くるりとドアに背を向けた。「どうしたの? 智くん」「何か変なの見た」 困惑顔の智に、芙美は湊と顔を見合わせる。 また彼女のコスプレかと予想して、レースクイーンか、チアガールかと構えると、「何してるんだ?」 時間差で現れた咲が、背後から声を掛けて来た。 「それが」と説明しようとする芙美に首を傾げ、咲は智を追い越して店の戸を開く。 店の中に耳が見えた。 湊と智の背の隙間からぴょこんと三角耳が覗いて、芙美は顔をしかめる。 そうきたか──と猫耳キャラをあれこれと想像したが、実際は
Huling Na-update: 2025-09-24
Chapter: 128.5 【番外編】試されているのかもしれない
 休日の部活は昼前に終わった。 今日は午後から蓮と会う約束をしている。広井町まで一緒に行こうと誘ってくれた芙美を断ったのは、湊に遠慮したわけではなく、単に身体が砂まみれで汗だくだったからだ。こんな薄汚れた状態では、蓮に会うどころかあの人だらけの町に下りることなどできない。 電車一本分早く蓮に会えるのを我慢して、咲は一度帰宅した。 家で待ち構えた姉の凜が、頼んだわけでもないのにシャワー上がりの咲を捕まえて、自分好みのデートスタイルへ仕上げていく。咲はされるがままの状態で、優雅にオレンジジュースを飲んでいた。自分でやっても姉がしてくれるようにはならないし、凜も楽しんでやっているのだから利害は一致している。 今日のコーディネートはいつもより甘い感じだ。緩く巻いた髪に少しだけフリルの付いたスカートという見慣れない自分に困惑してしまう。「咲ちゃんはこういうのも似合うだろうって、私ずっと思ってたのよ」 凜は満足げに頷いて、仕上げに咲の唇へピンク色のリップを引いた。「ちょっと赤すぎるんじゃないか? 気合入れてるって思われちゃうよ」「このくらい、みんなしてるわよ。彼は喜んでくれるんじゃないかしら? できれば服に合わせて大人しくしてた方がいいんだけど……」「できるわけないだろ?」「言葉遣い!」 凜の注意に押し黙って、咲はその格好のまま電車に乗り込む。慣れない姿に周りの視線が気になって仕方なかったが、結果、毎度のことながら蓮の反応は良かった。「今日の咲もお姉さんのセレクト?」「あぁ。何かヒラヒラしてるし、服に合わせて黙ってろって言われたぞ」「別にいつも通りで十分だよ」 「可愛い」という彼の笑顔に照れながら、咲は手を引かれるまま歩いていく。 今日は久しぶりに、彼のおじさんのマンションへ行く。長期出張中で普段使われていない部屋は、蓮が自由に使える秘密の場所だ。 初めて彼と夜を過ごした時から、ここへ来るのは二度目だ。あの日のままの光景に記憶が蘇って緊張しながらソファへ座ると、蓮は突然おかしなことを言い出した。「今日はキスの日らしいよ」「えっ……そうなのか? 今日は十一月……」「まぁ、細かいことはいいから。だからさ、今日は咲が俺にキスしてくれる?」「はあっ? 何でそうなる?」 仰天して腰を浮かせる咲に、蓮は「そんなに驚く?」と笑った。「何でって、
Huling Na-update: 2025-09-23
Chapter: 128 ワインは一気飲みするもんじゃない
 薄暗いウォーインクローゼットに、青白い光がパッと広がる。並んだ洋服ラックの隅に小さい机があって、その上に置かれた直径20センチ程の円柱型の瓶が、中條の当てた懐中電灯の明かりに照らされた。 海底を思わせる液体の中でプクプクと泡を立てる黒い塊に、絢は「ちょっと」と眉をしかめる。「何で今まで言わなかったのよ」「勿体ぶって見せなかったんですよ」 中條はニコリと笑って、切り揃えられた髪をかきあげた。「そういうのを趣味悪いって言うのよ。他の部分はどうしたの? これだけじゃないでしょ?」「残りはキッチンで焼いて、ゴミと一緒に出しました」「はぁ? 焼いたって。まさか貴方、アレを食べたんじゃないでしょうね?」 光は液体を抜けて、背後の壁に青い波を漂わせる。 黒い塊は、拳程度の大きさだ。ゴツゴツといびつな形をして瓶の底に張り付いている様子を見ると、思ったより質量があるらしい。「そんな趣味はないですよ。匂いもおかしかったですからね」 中條はライトを消すと、「さあ」と絢の背中に手を置いて部屋の外へと促した。 リビングの蛍光灯に目を細め、絢は背後の瓶を振り返る。何度もこの部屋に来ているのに、今までその存在を疑ったことすらなかった。「回収してたのは知ってるけど、まさか飼ってるとは思わなかったわ」「研究熱心だと言って欲しいですね」「まぁ、そのお陰で事態を確証できたんだものね」 絢はリビングのソファに座って、乱れたスカートの裾を直した。 今日のスカートはやたらと足にまとわりつく。着替えてこようかと思ったが、彼が開口一番に「素敵ですね」と言ったので、絢はそれだけで満足していた。 注がれたワイングラスを鳴らして、絢は最初の一杯目を一気に飲み干す。そういう気分だったという訳ではなく、いつもの事だ。「ワインはもっと大人しく飲むものだと思いますが」 今更ながらに注意する中條に、絢はしかめ面を向けた。「貴方、何年私と一緒に居るのよ。そんなルール関係ないわ」「ルールではないんですけどね。嗜んでみてはどうかってことですよ」 二杯目に注がれたワインを口に含んで、再びウォークインを一瞥する。あそこで瓶詰にされていたのは、つい先日倒したばかりの黒いハロンだ。あれは湊の折れた剣で止めを刺したと認識していたし、中條の持ち帰ったものはただの抜け殻の筈だった。 なのにその殻に
Huling Na-update: 2025-09-22
Chapter: 127.5 【番外編】見たくもないツーショット
 過去の記憶を夢に見るのは久しぶりだ。 咲がまだヒルスで、兵士として城に勤めていた頃──あれは確かターメイヤにハロンがやって来る一年ほど前だったと思う。戦後の穏やかな平和を噛み締めながら、ヒルスは日々の訓練に明け暮れていた。 そんなある日、城の一階にあるリーナの私室を尋ねた時の事だ。「リーナ」 部屋の前に来たところで、中からアッシュの声がした。 側近である彼がそこにいるのは何ら不思議な事ではないが、いつになく甘い雰囲気を感じ取って、ヒルスはそっと中を覗き込む。予感というのは当たるもので、中庭へと繋がる外扉の向こうに背の高い金髪のアッシュと華奢なリーナの頭が並んでいた。「何回も言うけどさ、俺リーナの事好きだよ。今度二人きりでどっか行かない?」 晴れ渡った昼下がり、アッシュは絶賛リーナへ猛アタック中だ。 アッシュの告白など見飽きているし、もはやリーナも挨拶のように返事を返している。「ありがとう、アッシュ。私、アッシュの事は嫌いじゃないわ。けど、好きとかまだ良く分からなくて……」 彼の言葉を真に受けて『どうしよう』とヒルスに相談してきたのは、もう何か月も前の事だ。 そんなことを繰り返しながらも二人は仲良くしているようだが、主人と下僕という関係を無視して親友の妹に手を出そうとするアッシュが、ヒルスには気に食わなかった。 リーナの側に居たくて自分も試験を受けたけれど、受からなかったことをヒルスは根に持っている。魔法が使えないヒルスは剣で試験に挑んだが、圧倒的な実力の差にその願いが叶う事はなかったのだ。「リーナはお前にやらないって言っただろ?」 気持ちを抑えられなくなって、ヒルスは半開きの扉を乱暴に開けて中へと踏み込んだ。「よぅ、ヒルス」 アッシュが振り返ると、リーナも「兄様」とホッとした表情を見せた。 彼女の着る水色のヒラヒラしたワンピースは、ルーシャが仕立てさせたものだ。たまに際どいものを着ていて驚かされることもあったが、毎日そのまま帰宅して披露してくれるのをヒルスは楽しみにしていた。 ヒルスは顔の前に流れた髪をピシャリと後ろへ払うと、外へ繋がる出口の壁に拳を置いて二人に説教した。「リーナもリーナだ。気を持たせるようなこと言ったら、コイツがつけあがるだろう?」 「えぇ?」と困惑するリーナに、ヒルスは「男はそういうものなんだよ」と人差
Huling Na-update: 2025-09-21
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