いもおい~日本に異世界転生した最愛の妹を追い掛けて、お兄ちゃんは妹の親友(女)になる!?

いもおい~日本に異世界転生した最愛の妹を追い掛けて、お兄ちゃんは妹の親友(女)になる!?

last updateLast Updated : 2025-11-12
By:  栗栖蛍Completed
Language: Japanese
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異世界から日本へ転生した妹のリーナを追って、兄ヒルスは彼女の親友(女)として生まれ変わる--。 最強のウィザードから女子高生に生まれ変わった芙美(リーナ)と、咲(ヒルス)のダブル女子主人公。 現世の兄・蓮と、前世の兄・咲の恋人関係に、芙美は翻弄される。 果たして地球は救われるのか──?

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Chapter 1

プロローグ 妹リーナ、異世界へ

池本真夕(いけもとまゆ)は、夫の堀田司(ほったつかさ)の浮気に気づいた。

彼はある女子大学生と浮気していたのだった。

今日は司の誕生日で、真夕は早めに料理の準備をしていた。その時、「ピンッ」と音がし、司が家に置き忘れたスマホが鳴った。真夕はある女子大学生からのメッセージを読んでしまった。

【ケーキを取る時にぶつけちゃった、痛いよぉ……うぅぅ】

その下には一枚の自撮り写真が添付されていた。

写真は顔を写しておらず、脚だけが写っていた。

写真の中の女の子は引き上げた白いソックスと黒い丸いつま先の革靴を履いていた。女子大学生の青と白のスカートが押し上げられ、引き締まった細長く美しい脚があらわになっていた。

その白い膝は本当に赤くなっていて、若く瑞々しい肉体と甘えたメッセージは、禁断の誘惑を漂わせていた。

よく聞く話では、成功した社長たちはこういうタイプの愛人を特に好むらしい。

真夕はスマホを握りしめ、指先が白くなるほど力が入っていた。

ピンッ。

女子大学生からまたメッセージが届いた。

【堀田社長、クラウディアホテルで会おうね。今夜はお誕生日をお祝いしたいの】

今日は司の誕生日で、その愛人が、彼の誕生日を祝おうとしていたのだった。

真夕はバッグを手に取り、まっすぐクラウディアホテルへ向かった。

彼女は自分の目で確かめたかった。

その女子大学生が誰なのか見届けたかった。

……

真夕がクラウディアホテルに到着し、中に入ろうとしたその時だった。

彼女は両親である池本平祐(いけもとへいすけ)と池本藍(いけもとあい)の姿を見つけ、驚いて近づいた。「お父さん、お母さん、どうしてここに?」

平祐と藍は一瞬戸惑い、視線を交わしながら目をそらして言った。「真夕、君の妹が帰国したから、ここまで送りに来たんだ」

池本彩(いけもとあや)?

真夕はピカピカのガラス窓越しに中を覗いた。そこにいる彩を見たら、真夕はその場で固まった。

中にいる彩は、あの女子大学生とまったく同じ青と白のスカートを身に着けていた。

そう、あの女子大学生は彼女の妹だったのだ。

彩は生まれながらの美人で、「浜島市の赤いバラ」と呼ばれていた。特に、彼女の脚は「浜島市随一の美脚」と評され、多くの男性がその脚にひれ伏してきた。

今、真夕の「完璧な妹」が、その脚で自分の夫を誘惑していたのだ。

真夕は可笑しくなった。そして平祐と藍に向かって言った。「どうやら、私が一番最後に知ったみたいね」

平祐はバツが悪そうに言った。「真夕、堀田社長は最初から君のことなんか好きじゃなかったんだよ」

藍も続けて言った。「そうよ真夕、浜島市中の女性が堀田社長を狙っているのよ。他の女に取られるくらいなら、妹に譲った方がマシでしょ?」

真夕は拳を握りしめた。「お父さん、お母さん、私もあなたたちの娘なのに!」

真夕はその場を去ろうとした。

その時、藍が背後から問いかけた。「真夕、教えて。堀田社長はあなたに触れたことあるの?」

真夕は立ち止まった。

平祐が鋭く言った。「真夕、俺たちが君に酷いことをしたと思わないでくれ。当初、堀田社長と彩は、公認のお似合いカップルだった。堀田社長が事故で植物状態になったから、君が代わりに嫁いだだけなんだ」

藍は真夕を見下すように眺めた。「真夕、自分の姿を見てごらん。結婚してから三年間、ずっと夫の世話しかしてない主婦だよ。でも彩は、今やバレエ団のプリマなんだよ。白鳥と醜いアヒルの子ってことよ。あなたがどうやって彩に勝ているの?さっさと堀田社長を彩に返してあげなさい!」

その言葉はナイフのように真夕の心に突き刺さり、涙目のままその場を去った。

……

真夕は別荘に戻った。外はすっかり暗くなっていた。彼女は家政婦の美濃(みの)に休みを与えていたため、家には誰もおらず、電気もついておらず、真っ暗で寂しかった。

真夕は暗闇の中、一人で食卓の前に座った。

料理はすでに冷めきっており、自作のケーキもあった。そこには「旦那様、お誕生日おめでとう」と書かれていた。

真夕はそれを見て目が痛くなった。それら全てが、彼女自身と同じように、ただの笑い話のようだった。

司と彩は、社交界で公認されたお似合いカップルだった。誰もが、浜島市の赤いバラである彩が司の心の中の女神だったことを知っていた。しかし三年前、突然の事故で司は植物状態となり、彩は姿を消した。

その時、池本家は真夕を田舎から呼び戻し、代理で植物状態の司と結婚させた。

結婚相手を彼女が愛してきた司だと知って、真夕は心から望んで嫁いだ。

結婚後、司は三年間植物状態が続いた。その間、真夕は寝食を忘れて彼の世話をし、外出もせず、社交も断ち、必死に彼の治療に尽くし、彼のために完全な家庭主婦になり、最終的に彼を目覚めさせた。

真夕はライターを取り出し、ケーキのろうそくに火をつけた。

薄暗い光が投射され、真夕は鏡の中に家庭主婦としての自分を見た。地味な白黒のワンピース、古臭く、色気もない。

一方で、彩はすでにバレエ団のプリマとして、若々しく、生き生きと、美しく輝いている。

彼女は「醜いアヒルの子」で、

彩は「白鳥」だった。

目覚めた司は、再び白鳥のような妹の手を取り、醜いアヒルの子を捨てたのだった。

ふっ、三年間の努力は、ただの独りよがりだった。

司は彼女を愛していない。けれど、彼女は司を愛していた。

人は恋愛において、先に好きになった方が負けだという。今日、司は彼女を完全な敗北させたのだった。

真夕の目に涙が浮かび、ろうそくの火を吹き消した。

別荘は再び真っ暗になった。

その時、外から突然ヘッドライトの光が注ぎ込み、司の高級外国車が芝生に滑り込んできた。

真夕のまつげが震えた。彼が帰ってきたのだ。

彼女は、彼が今夜は帰ってこないと思っていた。

すぐに別荘の扉が開かれ、冷たい夜露を纏った高貴で整った男性の姿が視界に入った。司が帰宅したのだった。

堀田家は浜島市の名門である。司はその跡継ぎとして、幼い頃から非凡な商才を持ち、16歳で海外の名門大学で修士号を2つも取得し、後にアメリカで初の企業を上場させて一躍有名になった。帰国後、彼は堀田グループを引き継ぎ、浜島市随一の富豪となった。

司は長い脚を踏み入れ、低くて艶のある声で言った。「なんで電気つけないの?」

パチッ。

彼は手を伸ばして壁のライトを点けた。

明るい光が真夕の目を刺し、彼女は一瞬目を閉じたが、再び司を見つめた。

司はオーダーメイドの黒いスーツを纏い、端正な顔立ちと抜群のスタイル、生まれつきの冷たく高貴なオーラを放っていた。彼は多くの女性たちの夢に登場する存在だった。

真夕は言った。「今日は、あなたの誕生日でしょ?」

司の表情は無感情で、目だけでテーブルに一瞥を送った。「次からは無駄なことをするな。俺はこういうのが嫌いだ」

真夕は赤い唇をわずかに上げ、問い返した。「こういうのが嫌い?それとも私と過ごすのが嫌いなの?」

司は彼女を見たが、その眼差しは冷たく、まるで時間を無駄にしたくないというようだった。「勝手にしろ」

そう言って、階段を上り始めた。

彼はずっと彼女にこうだった。

どうしても彼の心を温められなかった。

真夕は立ち上がり、彼の冷たい背中に向かって言った。「今日は誕生日だから、プレゼントをあげたいと思って」

司は足を止めず、振り向きもしなかった。「いらない」

真夕は笑った。赤い唇をゆっくりと引き上げて言った。「司、離婚しよう」

階段に足をかけていた司は、急に動きを止め、振り返った。深い黒い瞳が、真夕をじっと見据えていた。

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柴田来知
柴田来知
なろうからきえててびっくりした
2026-03-28 13:18:49
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プロローグ 兄ヒルス、異世界へ
 ただ水の音だけが広がる沈黙の中で、ヒルスはルーシャに背を向けたまま呆然と立ち尽くしていた。「貴方、良く堪えたわね。後追いでもされたらどうしようかって内心ヒヤヒヤしてたのよ?」「する気だったけど、アンタを信じたんだ。別の世界に行く穴は1人分だったんだろ? アイツは……リーナはちゃんと向こうへ行けたのか?」 ルーシャが滝壺へと構えた杖を引いて「勿論よ」と答える。彼女が空中に描いた藍色の魔法陣が宙に溶けていく。 ヒルスは項垂れた背をゆっくりと起こし、もう二度と会えない妹を思って自分の肩をそっと抱きしめた。「リーナのさっきのアレは何だったんだ?」 彼女が最後に耳元で何を話したのか、ヒルスには聞き取ることが出来なかった。言葉だと言われればそんな気もするし、魔法だと言われれば魔力のないヒルスは『そうなのか』と納得せざるを得ない。「アイツはもう魔法なんて使えない筈だろう?」「彼女にも色々と事情があるのよ。必要になる時が来たら教えてあげるから、今はまだ我慢して。リーナは貴方の妹だけれど、この国の大切なウィザードでもあるんだから」「……ウィザード様ね。そんなの分かってるんだよ」 今まで何度もそれを納得しなければと思って生きて来た。 妹である前に彼女はこの国にとって大切な魔法使いだ。いつも側に居るのに、間を隔てる壁は厚い。「けど、リーナが幸せだと思えるなら、それでいいのかな。どうせならこっちの事を何も思い出さないで転生する方が幸せなんじゃないかって思うのは、僕の我儘なのか?」「それじゃ何のために行くのか分からないでしょ? 先に行った二人は、あの子が追い掛けてくるなんて夢にも思っていないでしょうね」「アイツらが恨めしいよ。けど、本当にアッシュは死ぬのか?」「死ぬわよ」 杖の先についた黒い球を撫でながらキッパリと肯定したルーシャに、ヒルスはその意味を噛み締めるように唇を結んだ。閉ざされた運命を辿る友を思うと、引いたはずの涙がまた零れそうになる。「彼女はアッシュの武器を引き継いで、ラルと一緒に異世界を救う覚悟で崖を飛んだの。お兄ちゃんがそんな顔してたら、彼女の想いが無駄になってしまうわ」「無駄になんてさせるかよ……」「えぇ。そして貴方はやっぱり彼女と同じことを私に聞いたわ。貴方も異世界に行きたいんでしょう?」「――えっ?」「さっきはあぁ言ったけど、
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7 恐怖の大怪獣が現れる
「ええええっ!」 驚愕に満ちた芙美の声が店中に響いて、ラジオの音すら掻き消される。他のテーブルから視線が一斉に集まって、咲が「すみませぇん」と可愛く手を合わせた。 智は視線が散らばるのを確認して、困惑する芙美を宥める。「そんなに驚くとは思わなかったな」「だって。ここに魔物が来るなんて言うから……」「大丈夫だよ、俺たちが仕留めて見せるから」 さっき智が言った『映画に出て来る大怪獣』というワードが頭から離れない。地球に飛来する大怪獣が街を一瞬で炎に包むシーンを、身近な風景に重ねてしまう。 背中に触れた咲の手に緊張を解くことが出来ないまま、芙美は智を見上げた。 彼の言った言葉を要約すると――つまり、二人の居た世界を脅威に陥れた『ハロン』という魔物を『次元の外』へ追い出した。それで一件落着したと思ったのに、ハロンは何故か、地球の、日本の、しかもこの町に現れるというのだ。「今年の12月って言ったよね? 今度の年末ってこと?」「そういうこと」 彼等の話を信じたいと思うのに、否定したい気持ちが先に出て現実味が沸いてこない。咲も「すごい話だけど」と首を捻った。「東京とかならまだ――いや、百歩譲って広井町なら分かるけど。こんなド田舎にピンポイントで現れるなんて話、信じろって言うのか?」「だから、信じるかどうかは任せるよ。ハロンがこの町を選んだんじゃない、たまたま辿り着くのがここなんだ」 「な」と顔を見合わせる智から引き継いで、湊が咲に声を掛ける。「海堂も怖いの?」「そりゃ、か弱い女子だからな」 咲は素直に認めるが、怖がっている様子はまるでなかった。組み替えた足にミニ丈のスカートがピラリとめくれて、芙美が慌てて手を伸ばす。「見えるよ、咲ちゃん」「いいんだよ。見た奴には千円ずつ払ってもらうから」「はぁ?」 「ふざけるな」と湊が目を逸らすと、智は「あっはは」と笑って芙美を振り向いた。「芙美ちゃんはどう思う?」「本当のことなんだよね……?」「うん。俺たちはまたハロンと戦う為に、ルーシャの力でこの世界に生まれ変わったんだ」「生まれ変わったってのは、俗にいう異世界転生してきたってやつだろ?」 咲の言う例えに、芙美はうんうんと頷く。アニメや漫画の設定でよくある話だ。湊も「まぁ、そういうことだ」と否定はしない。「異世界転生なんて言葉はこっちに来
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8 苦手なものはたくさんある
 田中商店の店員で体育教師の絢が、パンの4つ乗った大皿をテーブルの真ん中に置いた。「育ち盛りの若者が昼にクリームソーダだけなんて、身体に良くないわよ。これ今度店に出そうと思って焼いてみたんだけど、食べてくれない?」「差し入れですか? ありがとうございます!」 咲が「やったぁ」と笑顔になって、パチリと手を合わせる。高さのある丸いパンは、中心に描かれた黒い渦に白い砂糖がコーティングされたシナモンロールだ。焼き上がったばかりのようで、他のテーブルにも配られたそれがスパイシーな香りを漂わせている。「あ、俺これ好き。ここで焼いてるんですか?」「そうよ、転校生くん。私の趣味みたいなものだけどね」 男子二人が「いただきます」と手を伸ばした所で、咲が険しい顔をする芙美に気付いて声を掛けた。「あぁ、シナモン苦手だっけ」「うん──」 芙美は両手で鼻と口をを押さえたまま、「ごめんなさい」と絢に謝る。「気にしないで。シナモンって好き嫌い別れるわよね。じゃあ特別に別の持ってきてあげる。アンパンなら食べられる?」「はい。ありがとうございます」 絢はカウンターの向こうから丸いパンを取って来て「どうぞ」と芙美に渡した。「転校生くんたちはどう? 美味しい?」「はい。芙美ちゃんの分も頂いていいですか?」「構わないわよ。口に合ったなら良かったわ」 芙美の分のシナモンロールを半分にして、男子二人があっという間に完食する。絢が満足そうに微笑むと、咲も「めちゃくちゃ美味しいですぅ」と笑顔を広げた。 絢は隣のテーブルから空いた椅子を引いてきて、興味津々な顔を4人の間に突っ込む。「で、さっきは何の話してたの? 人生相談なら乗るわよ。それとも恋愛相談かしら?」「あ、いえ。そういうのじゃないんです」 アンパンにかじり付きながら、芙美は慌てて手を横に振った。どうやって誤魔化そうか考えていると、咲がニコリと悪い笑みを浮かべる。「絢さぁん。この二人ったら、トラックに轢かれて異世界転生してきたとか言うんですよ? 笑っちゃいますよね」「ええっ? なにその話」「おかしな事言うなよ。トラックにも轢かれたなんて誰も言ってないからな?」 湊が「オイ」と睨むが、咲はケラケラと笑うばかりだ。もちろん絢も冗談だと思ったらしく、それ以上追求せずに呆気なく席を立った。「楽しそうな話してるなら、
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