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神木セイユ
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Novel-novel oleh 神木セイユ

Load of Merodia  記憶喪失の二人

Load of Merodia 記憶喪失の二人

ドラゴン討伐中、空中戦から落ちたリラは、一命を取り留めるも記憶喪失となってしまう。パーティの仲間ともはぐれ、二ヶ月が経過した頃、拾われた村の酒場でステージに立つ『狐弦器』奏者のセロと出会う。リラの中で何かが覚醒し、即興での演奏を披露する事に ! リラの持つ魔法石は歌魔法の使える希少石だったのだ。セロの音色に依存したリラと 、リラの歌声に依存したセロ。 吟遊詩人としてのスタートを切るが、セロは極度の女嫌い。更に旅の資金0 !! 貧乏で純愛な異世界ミュージック︎生活。 更に元のパーティはスパダリ揃いの溺愛系ヒーロー。 リラは記憶のあった頃のメンバーの距離感とセロと旅をしてきた信頼度に悩み、溺れていくことになる。
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Chapter: 65.テザー隊長のアイデア
 無いよね。シンプルに。  プラムへ来る前に戻った。  唯一、水袋と荷袋は燃えて無かった。セロは狐弦器は手放さないし。  そう、テントだけよ。被害最小 !!「……」「……」『……』 無言で焼いたウサギを食する。  気まずい。 ガサ……「 ? 」 今の音は ?「熊 !? 」「いや、明かりが。近付いてくる」 二人で目を凝らして草陰を見つめる。「リラ様、セロ様でしょうか ? 」 現れたのはグリージオのカラーリングの馬具を付けた兵士。  この人どっかで見たような…… ?「わたしがリラです」「ああ、お会いできて良かった !  私どもはレイル様の専属兵です。隊長のテザー。彼は部下のハルです」「……もしかして……グリージオに連れ戻しに来ました ? 」「それは、順を追ってご説明を……」 馬から降りたテザーはここへ来た経緯を話し始めた。 □□□「それは……レイはリラを逃がすつもりという事か ? 」「はい。シエル様とカイ様も同意です。コハクで会えるのを楽しみにしていますよ」 そっか……レイは別に……。そうなのね……。エルからわたしを離したいんだわ。別にいいのに。 今日はもう夜更けだし、明日から馬に乗せて貰おう。予定より早く着けるわね。「あの……お二人共。我々が見張りはしますので、どうぞ就寝されて下さい……というか、テントは何故たてないのです…… ? 」「テントは……何故か縁が無くて」「縁が無い ? 」「熊に襲われちゃって……木っ端微塵になりましたね」「おぉう……そ、そうですか……」「隊長……お渡しできる予備はありません……」「……じゃあ……まぁ、寝ましょうか」 隊長、無理にでも寝かせるつもりね。多分ここまで全力で来
Terakhir Diperbarui: 2025-08-03
Chapter: 64.二度あることは……
今日はこの辺りで野宿ね。 ペースとしては悪くないけど、問題は……食料か。「セロ。狩りはわたしも行くわ。テントから100メートル内の動くものは撃たない。わたしは南に、セロは北に」「いや、駄目だ。お前を一人に出来ん」「なんでよ。リコじゃあるまいし、わたしは慣れてるわよ」「違う」『ポプ ! 』鳩がぐるぐる回り始める。「また森を焼かれちゃたまらん」「ちゃんと調節するわよ」「駄目だ。シエルに会えば魔力量を調節してもらえるんだろ ? それまでは駄目だ」「蜂の時はパニックになっただけ。今度は大丈夫。鳩、わたしと来なさいよ」『プ……』鳩……不満そう。「獲れたらすぐ戻るんだ。獲れなくとも日が暮れる前に戻ってこいよ」「はいはい」セロが不安そうに見守る中、鳩と出発。 鳥や野うさぎを狩るだけよ。□□□今までは五人分の食料を調達しながら旅してたんだし、そう難しいことじゃないのよ。「……」またいた。 銃口をツノウサギに向け、狙いを定める。既に腰には一匹捕獲済。パンッ !乾いた音が響き、同時にウサギが倒れる。「よし」調整もミスなし。 魔力の出力を限界まで抑えて水魔法で攻撃する。放たれた水撃は鋭く、獣の身体を射抜くけど弾が残らないのが利点。「二匹ゲット ! コハクまでそう距離はないし、保存食の分までは要らないかな ? 鳩、もう戻ろっか ? 」見上げると、上空を飛んでいた鳩がぼんやりと北を見ていた。「鳩 ? 鳩ちゃん ? おーい」北はセロが向かったのよね ? 何かあったのかしら ?「戻ろうっか」『ぽ ! ゥポポポ ! 』「何よ、うるさいわね」テントの焚き火にはある程度薪を入れて来たから、まだまだ煙は一
Terakhir Diperbarui: 2025-08-02
Chapter: 63.ワクワク
「我らを守りたまえ、水の守護よ ! 」 薄い水のヴェールが馬たちを包む。 シエルはそのまま前方へ杖をもう一度傾け詠唱に入る。 馬車街道の固い土がベキベキと、砂煙を上げながらニョロリと割れていく。 ビュッ !!「っらァ !! 」 シエルに飛びかかった何かを横からカイが切り落とす。 地面に落ちグネグネと動くのは、土竜種の仲間で目や体毛がない魔物である。「加勢します」 馬から降りたレイの兵隊が、シエルに剣を持つことを制止される。「いえ、多分行かない方がいいです。 カイって周り見えて無いから……」 地面から突き出てきた5mはある灰色の触手に、カイの双剣は魔力を纏う。「行くぜ ! 雷神 !! 」 刃が放電してパリパリと音を立てる。 カイの使える属性攻撃魔法はただ一つ。雷撃である。 魔石では無く。武器に使用した魔物の素材だ。魔法を使う魔物から、そのコアを手に入れ武器を作る。カイの双剣は電撃を放つ魔物由来の属性付与があるのだ。 この技法はカイの出身地 アカネ島の伝統技法である。精霊魔法とは違い信仰や魔石が無くても使える。「最後ぉっ !! 」 剣を十字にハサミのように構え、突っ走る。 最後の一匹が飛び込んできたが、横に大きく振りかぶった刃にミミズの胴体は裂かれ、雷撃の熱で異臭を放つ。「……うえぇぇ !! 腐った蒲焼き ! 」 ペーパーで剣の汚れを拭きながら顔を顰めて戻ってくる。その姿に隊員が呆気にとられていた。「つ、強い……。ものの数秒で……」「あれ、どこにでもいますからねぇ〜。戦い慣れてるのもあります」 シエルが隊員に答える。「カイ様の武器はコアを使ってるんですね。シエル様の魔法は精霊魔法ですか ? 」「精霊も使うけど、今の水魔法は龍神の力。魔法は契約した
Terakhir Diperbarui: 2025-08-01
Chapter: 62.衣装チェンジ
「魔物に狙われない ? 」「そうみたい」「ふーん」 メル達と別れた後、早速セロに言ってみた。  でもなんだか、どうでも良さそう。何故 ?「まぁ仕方ないわよね。ヴァンパイアだって魔族だもの。確かに魔物から見たら上官みたいなものよ。そりゃ襲われないわけだよね。  何日も歩いて、更には木の実で行き倒れたのに、魔物が寄ってくる気配も無かったし」「あ……でも、蜂はいただろ。あれが無かったら森は消えなかった。脅威だった」「あの蜂は魔物との共存生活…… ? だかで、一緒にいて魔力を浴びた、ただの虫って聞いたことあるわ。幼虫には魔力ないんだって」 別に狙われたいわけじゃないけどさ。なんかこう、いよいよ自分が人間じゃない事実についていけない。「……」「セロ ? 」 なんだろ。やっぱり、流石のセロもそろそろリコが恋しいんじゃないの ? 魔族と狐弦器奏者って、今のわたしたちどんなパーティよ。そりゃセロの弓の腕前も認めたけどさ。魔物なんか出てくるどころか……これから先会わないんじゃ、余計にわたしがセロといる意味ないわ。「……じゃあ、ほぼ戦闘は無いと言うことか…… ? 」「……理屈上はそうかもね。でもリコに戻ったら襲われるわけだけど」「しかし、戦うとなるといつもお前が表面に出てくるよな ? 」「リコがアテにならないし、反応が鈍いせいかな ? そういう時は、何故か意識がはっきりしてきて、視界も広がって、もうヤバいって思い始めると……人格が入れ替わってるんだよねぇ」「つまり、戦うのはリラ。リコでいても危険があればリラになる。リラは魔物に襲われない……」 そうですね……。「よし ! 今すぐ着替えよう」「はぁ !? 」「もう衣装を着て歩こう ! 」「やだよ ! 」 衣装って ! こいつがリコに選んだあの衣装って、魔法使いの装備とドレスをくっ付けたみたいなヒラヒラしたやつでしょ !?「あれ、谷に
Terakhir Diperbarui: 2025-07-25
Chapter: 61.エンカウントと囁かな嘘
「最終地点、どこから来たの ? 」「スカイの町です」 アリアの東か。「川沿いからアリアを目指そうとしたんですけど、川に到着した直後、魔物は強いわ温樹茶を飲む暇もないわで」「俺たちもう三日、寝てないっす」「ずっと戦いっぱなし ? 」「はい〜」 頷き、半ベソをかく勢いで草むらに尻を付く。「二人とも !! 」「メル !! 」「良かった ! 」「リコさんとセロさんよ。彼女たちが助けてくれて…… ! 」「本当にありがとうございます ! 」「あざっす ! 」「いえ。たかだか二、三匹ですけど……お役に立てて良かったわ」 飲まず食わず、寝る暇もなく魔物に会い続けた ? このパーティが弱いから狙われた ? いいえ、関係ない。 プラムでヴァンパイアに言われた通り。 わたしからは魔族の匂いがするのね。 だから魔物には襲われない……襲われそうになったのも全てリコの時だわ。 全部、偶然かと思ってたけど……多分違う……。「ここどこだ ? 」「川からは随分離れたよな ?」 この先はヴァンパイアの巣窟。でも、あの村ならきっと、人を襲うことはないかな。 コデみたいなのも居たけど……この子供たちを野放しには出来ないわね。「ここから引き返すと……」「いや、魔物のレベルを考えると南下した方がいい。遠くはあるが、ここから直下するとゴルファって町がある。そこを目指した方がいい」 セロが急に話し始める。 地図を広げて全員で確認する。確かに危険難易度レベルの色分けは、この辺より一ランク下。けれど、どう見てもスカイやプラムの方が距離的には近い。「プラ
Terakhir Diperbarui: 2025-07-24
Chapter: 60.メルのパーティ
「わたしはリラ。こっちはセロ。喋れるんだけど凄い……あの、あれよ。シャイなの。面倒臭い奴」「い、いえ。そんな !  わたしはメルと言います。ライムランドから来ました」「ライムランドってどこ…… ?」「この大陸の東隣です。アカネ島を経由してこの大陸に入りました」 アカネはカイの出身地だわ。ここから行くのでもかなりの距離。「東にある大陸か。でも、アカネ島からここまで来るだけで、B級まで上がりそうだけど ? 」「いえ〜。あはは。初心者で出発したので、E級スタートで〜。体力も無くて馬車なんかを使いまくって……」「尚更ちゃんと調べて道を選ばないと……。お金があるなら馬車旅も止めはしないけど……経験値は徒歩の冒険者の方が統計的には上がりやすい」「ですねぇ」 遭難したわたしも人の事言えないけれど……。「それで……どうしてアリアに ? 」「ライムでは雪が降りませんので……雪が見たくて ! 」 道理で薄着なわけだわ。  この辺りはもう温樹茶は必要ないくらいだけど、プラムの直前までは凍えるように冷たい風が吹いてた。「雪山の装備は揃えて来たの ? 」「あ……いえ。こんなに寒いと思わなくて……。結局、アリアの手前で引き返す判断に」「懸命ね」「けれど魔物との遭遇率が ! とてもじゃないけど、捌き切れなくて……。村にも辿り着けなかったので、何も補充しないまま連戦で……」 補充ねぇ。わたしたちも荷物失ってフラフラだった。変な実を食べてヴァンパイアに救われたなんて口が裂けても言えないわね。これはあまり説教出来ないわ。「えと……襲われたのはこの先です」 プラムからそう離れてない……。そばの木に登れば多分、アナの屋敷の屋根が見えるくらいじゃないの ? そういえば……わたしたち、敵に襲われてないな……。  雪山の山賊は…… ? あれは人だしね……。  アリアを襲ったグラスボーン……あれも村を襲いに来ただけ。
Terakhir Diperbarui: 2025-07-23
PSYCHO-w

PSYCHO-w

葬儀屋の息子 涼川 蛍は、ある日謎の組織にデスゲームとして監禁される。富豪の狂乱として観覧される中、どんどん猟奇的なものへと加速する。 更にゲームマスター ルキは早々に蛍のサイコパスを見抜いていたが、蛍には人に言っていない犯行が存在する事を知らない。傾いたまま続いていく関係の二人のサイコパス。 数多くのサイコパスを飼い慣らしてきたルキと少年猟奇殺人犯の蛍。 果たしてどちらが本当のサイコパスなのか。
Baca
Chapter: 4.運命共同体
「は、はい。ブラックね」「ありがとう真理さん」 ルキは真理をMの妻として礼儀をわきまえていた。 それを大人の自分から裏切る。 毒殺という方法で。 だがカップに唇が触れる寸前。 ルキは微笑み、真理をまっすぐ見詰めた。「僕が、Mといると不安なの ? 」「え ? ……な、なんで ? 」「だって、死んで欲しいって事は、そういう事じゃん」「……」 匂いだけでバレてしまった。 何故 ? 鼻がいいのか。だとしても訓練は必要なはずだ。訓練…………。誰がルキに教えてるのか…… ? だとしたら、それはM意外にありえない。「あの人は……あなたと二人で出掛けて、何をしてるの ? 」「こういう時にうっかり飲まないように、とか ? 必要な毒の味は覚えた。耐性も付いてきたよ。痛みには元々強いしね。 他にも色々……。あとは土地、株、銃器の扱い……」「子供にさせることじゃないわ ! わたしが言ってあげる ! 」「…… ??? 真理さん。言ってることとやってることが合ってないよ」「あ……。 そうよね……ごめん。そのコーヒー、捨てて。ごめん……」 真理は今、殺すはずの獲物に同情したのだ。 相反した心理。自分でも知らずのうちに、ルキに情が湧いていたのだ。「……あの人が、分からないの……」 Mはルキを跡継ぎにしようとしている。「本当に……ごめんなさい」「別にいいよ。僕の母さんはもっと危険な人だった。真理さんみたいな人が母親だ
Terakhir Diperbarui: 2025-08-02
Chapter: 3.毒婦
 十六年前。 ホテルの窓から大通りを見下ろすと、現地のアジア人とは違う、どう見ても日本人であろう観光客がちらほら見えた。広いホテルだが、そう階数の高い建物ではなく、いつにも増して真理は街の様子を眺めていた。 Mと確かな愛を育みながらも、真理の生活はすっかり制限されたものになっていた。 消えたアイドル。 それが街中で見つけられたら……。マスコミが怖い。何もかもをそのままに日本を出た真理を心配する者も多かった。しかし今から顔を出す気も無い。 このままで幸せなはずと自分に言い聞かせ、いつも目深に帽子を被り、夜間だけの外出。 ショッピングがしたい。部下に頼むお使いの品ではなく、気ままに街を歩き、屋台で食べ物にかぶり付き、日差しを浴びてビーチで肌を焼き自然を感じたい。 Mの仕事が立て込むと、それがどんどん遠のく。 顔を変えるのにMは必要ないと真理を説得し、少ないスキンシップも姫のように丁重に扱われた。 危険な場所に飛び込んだ真理にとって拍子抜けするほど、Mの周囲は統制が取れており、身内に入った真理が危険な目にあう事は一度もなかった。 そんな時、Mの腰巾着であったクロウの一人が、ホテルから出ていくのが見えた。ビア樽の様な腹のペンギン姿。不愉快な事に、小児性愛の男だった。 忌々しい気分で見下ろす真理の視界の中、ペンギンに近付いて来た白いドレスの少女が走り出したのが見えた。「あら ? スリかしら ? 」 ペンギンの体に張り付いたかと思ったら、次の瞬間ペンギンが倒れ込む。周囲の少年達も一瞬だった。 少女の頭からウィッグが落ちる。「何あれ……っ !? 奇襲 ? 」 真理は慌てて部屋を出ると黒服を呼ぶ。「敵が ! ホテル入口よ ! 子供の姿をしている ! 油断しないで ! Mは !? 護衛はいるんでしょうね !?」「真理様、落ち着いて下さい。Mはそのお子様を……」「何っ !? はっきり言いなさい !! 」
Terakhir Diperbarui: 2025-08-01
Chapter: ケイの犯行についての分類について
ケイはシリアルキラーなのか シリアルキラーっていうのはいわゆる連続殺人犯。 定義は、複数の被害者がいること。 犯行後に一定期間が空き、また犯行を始める。 被害者が三人以上いる事。 これらが判断基準です。ゾディアックやアンドレイ・チカチーロがこのタイプかと思われます。マスマーダーってのもあって、大量殺人犯の事です。 一日に四人以上殺す者を言うんです。通り魔なんかが町中で大量殺人を犯すのがこのタイプ。 チャールズホイットマンがまさにそうでした。鐘楼からライフルで撃ちまくる……。 ふらっと出かけてさっくり殺るケイに、このタイプには当てはまりません。 三章で蛍は、一度に中野を含めた四人を殺めましたが、動機や何を主体に動いたかは連続殺人犯の衝動的な波によるものです。多く殺ろうとか、そういう意思は無関係です。 シリアルを食べるようにお手軽に犯行を犯してしまう、という事でシリアルキラーという事ですね。スプリーキラーってのもいて、それは短時間で場所を移動しながら殺し回る者である。津山三十人殺しがそうです。マスマーダーに近いかと思われますが、場所を移動しまくる、という点が違いますね。シリアルキラーの中でも分類があって、オーガナイズド型とディスオーガナイズド型があります。後者のシリアルキラーは衝動的で、その場にある物を使いったり、遺体を隠そうともしない。一匹オオカミタイプで友人も少なかったりする。しばしば精神障害があったり、犯行に決まった手口ないといった具合。で、しばしば過剰な暴力と、ときに屍姦などの性的暴行を伴う……と。 そうなると、蛍はシリアルキラーであり、ディスオーガナイズド型ということになるのかもしれませんね。ナイフは愛用してますが、無ければこだわらないし、性倒錯からの犯行でもあります。あくまでフィクションですから「混合型です」と言ってしまえば早いのですが、少しプロファイルや社会分類などの文献を参考にているので、折角なので書いてみました( *´꒫`)
Terakhir Diperbarui: 2025-07-25
Chapter: 2.白い烏
「ニューヨークのライブスタジオで歌ったことがあってね。その日、舞台裏でマネージャーが殺されたの。強盗が入って……わたしがステージで身に付けてた宝石が目当てだったそうよ。 事情聴取も英語がままならないし、四苦八苦でさぁ〜。やっと日本語の分かるお巡りさんが来たけど、強盗が来たって全然信じてくれなくて。マネージャーと仲が悪かったから余計に。わたしがギャングに殺しを依頼したんじゃないか〜とか、馬鹿な事を疑われてさ。 やっとこ宿泊してるホテルに戻れたんだけど、もうフラフラで……」「そこでMに ? 」「そう。エレベーターホールで『お嬢さん、大丈夫ですか ? 』って。わたしもスタッフと離れてて、食べてないし寝てないし一人だし、憔悴してたのね。話の流れで、顔も知らないその男に、めちゃくちゃ愚痴ったのよ〜ふふふ。 食事を奢って貰ったの。それがさ、とにかく凄くゴージャスだったの。でも、わたしもまだ子供だったのね。品なくガッツいちゃったのよねぇ ! あははっ ! 思い出すだけで恥ずかしいわ ! スタッフも警察から開放されて……その直後、わたしたちを取り調べてた分署に、盗まれた宝石と、強盗の生首が送られてきた……」「首…… ? 余計に疑われそうですけど…… ? 」「だよねー。 でも仲間を殺られたギャングも同じ。わたし達が強盗を探して殺した、と思ったんでしょうね。ギャングのリーダーの逆鱗に触れて、わたしは誘拐されたの」「……」「全て失ったと思った。女性としての何もかもが奪われると覚悟してね。 死体が出れば幸運。バラバラにされて捨てられるんだろうなって思った頃、鉄のドアを思い切り蹴り開ける足が、光と共に入ってきた……。白いスラックスに、長い足と革靴……今でも忘れない」「Mがギャングのとこに助けに来たの ? 自分で ? 」
Terakhir Diperbarui: 2025-07-25
Chapter: game-4 1.隠れ家
トツン……  軽い音を立てたドアに気付き、蛍は目を覚ました。  暗いが大きな出窓から、月明かりが部屋を照らしていた。  真理の家の三階。  屋根裏の三角形の部屋。そこにはシングルベッドと少しの家具、消耗品だけしかない。  寝る前に軽食でトーストを真理に用意され、二人はこの部屋に通された。 □『まさか本当にアイスを買いに行かせられるとはね。いつも我儘なんだよ』『お疲れ様。寝ていい ? 』『ああ。昨日は車だったからね。ゆっくり休もうか。  俺も隣に。はは。あったかい』 掛け布団の中で笑うルキを、蛍は戸惑った気分で見詰める。  どうしてそんな笑って自分といられるのかと。『おやすみ、ケイ。お父さんにはいつまで美果ちゃんといることになってるの ? 』『シルバーウイーク中は……ずっと……』『なんだ……あと二日かぁ……』 ハンガーにかかっている上着と武装コルセット。コルセットの重みに、針金がしなっている。それほど重い装備と、キツく締める為のバックル。以前から長く付けているのだろう、現にルキの腰は細く身長ほどの厚みが無い。  今、ルキはシャツ一枚で目の前にいる。その腰つきは、蛍は獲物を見たような妙な気分になるのだ。  目を閉じようとするルキの腹をそっと撫でる。『なんだよケイ……ふくく。くすぐったいってば』『細いなって……』『それだけ ? ケイ、素直じゃないな』 そう言い、布団の中へ潜って行く。『はぁ ? 違っ ! そんなつもりじゃねーよっ ! 』『アダッ !! 』 暴れた蛍の膝が、ルキの顔面にヒットしてしまった。『あ……ごめ……』『痛ったァ〜。てっきり、そうかと思うじゃん』『思わないよ。寝るってば。おやすみ』 固く目を閉じる。自分から寝てしまったら、もう何も気にならない。そんな蛍を胸に抱き寄せ、そのままルキも目を閉じる。(なんだよ
Terakhir Diperbarui: 2025-07-24
Chapter: 43.乳母
ルキが片足をあげて、踵から靴の中の水を流す。「ぐっちょぐちょ。靴くらい脱がせてくれてもいいでしょう。高いのにー」「知ったことじゃないわ。なんなのその格好。相変わらずおかしな事してたんでしょ……」「仕事だからさ」「あんた昔から嘘が下手よね。その血は仕事じゃないでしょ ? ケイくんかぁ。可愛いわね〜。 いい事考えた ! あの子を連れて隠居しちゃえば ? 」「彼も仕事の……半分は仕事の付き合いですし……彼には彼の生活がありますよ」「あ〜ヤダヤダ。その隙の無い返事。 それじゃあ、いつまでもあの子と恋人にならなくない ? あんたに恋人が必要とは言いきれないけど。 だいたい何 ? なんでゴースト ? あんなのおっさんが乗る車じゃん。趣味悪 ! マセラティにしなさいよ」「言いたい放題ですね……」 真理は一度煙草を消すと、今度はミントタブレットを口の中に流すようにしてボリボリ噛み砕く。「ふん。あんたがあたしの生活を奪ったんだもの。恨みたらたらよ」「貴女をMから離したかった。仕方が無かったんです」「別に……頼んでないわ。あんたをこんな馬鹿なイベント担当にだけはさせたくなかった」「……引退する時、御自身が暴れて過激なショーをしたせいでしょう ? 俺はそのままのスタイルを引き継いだだけです。 ……ケイには真理さんの事は言わないで置こうかと思ってたんです。でも気が変わって……」「ふぅーん。珍しい事もあるものね。あんた、他人に執着するんだ。 ねぇ……あの人も日本に来てるの ? 」 不意に真理の表情が曇る。「ええ。でももう日本を発ちましたよ。十日前です」「そう……
Terakhir Diperbarui: 2025-07-23
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