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晴坂しずか
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晴坂しずか의 작품

久我探偵事務所の灯りの下で

久我探偵事務所の灯りの下で

都会の片隅にある久我探偵事務所で、所長の久我は相棒の間遠と日々の依頼をこなしている。 両片想いでありながら進展しない二人だが、一方で事務員の神崎は相楽から告白され、同棲を始める。 日常の謎を解きながら、少しずつ関係を深めていく二組。 読めば心がほっこりするBLライトミステリー。
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Chapter: 守りたいもの③
 雲ひとつない晴れた土曜日の午後。 噴水広場は、家族連れや犬の散歩を楽しむ人々でにぎわっていた。 穏やかな陽光が降りそそぐ中、異様な緊張に包まれている一角があった。「よくも、よくもメロちゃんを……! この泥棒! 誘拐犯!」 依頼人の奥田美晴は、菅原夫人に向かって、周囲が振り返るほどの大きな声をあげた。 嫌な予感が当たってしまい、間遠は内心でうんざりとため息をつく。 奥田美晴は感情が爆発した様子で、顔を真っ赤にしていた。 菅原夫人の足元では、白と茶色のポメラニアン――メロちゃんが、戸惑ったように首をかしげて二人を見上げていた。「あの……本当に、私は駅前の交差点で震えていたこの子を見つけて……」 菅原夫人が落ち着いて弁解を始めると、奥田美晴はさらに声を荒らげた。「嘘おっしゃい! この子のリードは、刃物で切らなきゃ切れるはずがないのよ! どうせ身代金目当てだったんでしょう!? 今すぐ警察に行きましょう!」 今にもつかみかかろうとする奥田美晴を、間遠はあわてて制止した。「落ち着いてください!」 奥田美晴がはっとし、間遠は二人の間に割って入る。「菅原さんは誘拐犯ではありません。彼女が持っているリードを見てください」 間遠は菅原夫人が透明な袋に入れて持ってきたリードを示し、冷静に説明する。「この断面、ぱっと見はスパッと切れたように見えますが、近くで見るとガタガタになっています。 これは革が長年の使用で乾燥し、劣化して自然にちぎれた証拠です」 奥田美晴の動きがぴたりと止まった。 間遠は淡々と続ける。「メロちゃんはただの迷子だったんです。誰かに誘拐されたわけではなく、リードが切れて逃げ出してしまっただけです」「そ、そんなはずありません! 私は警察に盗難届を出したんです! なのに、何もしてくれなかった……っ」 奥田美晴の声に、怒りとともに悔しさがにじむ。「ええ、そこが問題の核心でした。菅原さんはメ
최신 업데이트: 2026-04-24
Chapter: 守りたいもの②
「お疲れ様です」 と、間遠は康人を引き連れて事務所へ入った。「お疲れ……と、そこにいるのは何だ?」 所長の|久我健人《くがたけと》がとっさに冷めた目つきになり、間遠は返す。「よく知らないっすけど、下でうろうろしてたので捕まえてきました」「ご、ごめん、兄貴」 と、康人が肩を縮こまらせ、久我はため息をつく。「そこのソファで待ってろ。まずは間遠の報告を聞いてからだ」 康人は黙って応接スペースのソファに腰かけ、間遠は久我へ今日のことを報告した。 タイミングを見て、鯉川が口をはさむ。「間遠ちゃんが送ってくれた写真、分析したら、同一の個体である可能性が九十パーセントを超えてたよ」 結局、調べてくれたのは鯉川だったようだ。しかし、間遠はそのことに触れることなく話を進めた。「ありがとうございます。じゃあ、やっぱり依頼人の犬ってことですね」「おそらくはな」 ということは、あとはあの犬をどうしたら依頼人の元へ返せるか、考えればいいだけだ。 話が一段落したところで、久我がため息をつきながら席を立つ。 そして応接スペースへ向かい、|一喝《いっかつ》した。「バカ野郎! 言い訳なら聞かないぞ!」「ごめんって、兄貴。でも、ちゃんと話をさせてくれよ」 と、康人の情けない声が聞こえる。 間遠は自分の席へ着き、パソコンを起動させた。「話って何だ? お前はレイに振り回されるのを楽しんでたんだろう?」「それは否定しない。でも、ああ見えてレイにもいいところがあるんだ」「犬をなでていたことか?」「うん。犬が好きなやつに悪いやつはいない」「ふざけんな。そんなわけがあるか!」「俺はそう信じたいんだ。猫派の健人には分からないだろうけど、レイも昔、犬を飼ってたみたいなんだ」「だから何だ?」「えっと、だから……」 応接スペースの空気は険悪だ。 久我の怒りはもっともだが、さすがに康人が可哀想な気もしてくる。
최신 업데이트: 2026-04-22
Chapter: 守りたいもの①
 庭にある犬小屋は薄汚れており、中をのぞくとひどい異臭がした。「見てください、このリード。誘拐犯にカッターか何かで切られたんですよ!」 依頼人の奥田美晴が憤慨した様子で主張し、|間遠桜《まどうさくら》は残されたリードを観察する。 革製のリードだった。直線的な切り口から、一見すると鋭利な刃物で切られたように見える。 間遠がハンカチを使って持ちあげると、表面がぼろぼろとはがれ落ちた。「うーん」 断面をよく見るとガタガタになっている。刃物ではないな、と間遠は思った。 庭はほとんど手入れされていなくて、雑草が伸び放題になっていることから、リードが劣化していたのは事実だろう。 間遠がそっとリードを地面へ戻すと、奥田美晴はたたみかけるように言った。「お友達が教えてくれたんですが、隣町にうちの子そっくりの犬を飼ってるお宅があるんです。 きっと、その人がうちの子を誘拐したに違いありません!」 六十歳を超えた依頼人は、どうにも感情の制御ができないタイプのようだ。 間遠は困惑を内心に留めて、穏やかに問いかける。「そのお宅の住所は分かりますか?」「ええ、もちろんです」 その場で奥田美晴はスマートフォンを取り出し、地図アプリで示してくれた。「ここです」「ありがとうございます。メモさせてもらいますね」 と、間遠はその住所をさっとメモ帳に書き留めた。「ちなみに、そのお宅には行かれましたか?」「ええ、怖かったけど行ってみました。でも留守だったので、その後で警察へ行ったんです」「でも窃盗扱いのため、緊急性が低いと判断されたんでしたね」「ええ、そうです。もう嫌になっちゃうわ」 と、奥田美晴はむすっとした。 ペットは法律上、物として扱われるため、誘拐されても窃盗にしかならない。「それでは、さっそく調査を開始させていただきます。進展がありましたらご連絡しますので、それまでお待ちください」 間遠は丁寧に言ってから、依頼人宅を辞した。 最初に向かったのは、依頼人が誘拐犯と目してい
최신 업데이트: 2026-04-20
Chapter: レンズの向こう③
「どういうこと?」 理解できない鯉川へ久我はため息をつき、椅子に座り直した。「あいつはレイに振り回されるのを楽しんでいたんです。 それを察したレイは、嫌になったのか分かりませんが、狙いをこちらへ戻した。おそらくそういうことです」「つまり、弟のせい?」「そうなりますね。ったく、あのバカは……」 と、久我はいつになく不機嫌な顔で腕を組んだ。「っつーことは、やっぱり犯人はレイで、璃久ちゃんを巻きこんだ、と。で、俺はどうすりゃいいんだ?」 首をかしげる鯉川へ、神崎が言った。「やり返せばいいのでは?」「え、やだよ。相手が悪すぎる。如月データソリューションズにハッキングなんてしたら、捕まっちゃうよ」「そうなんですか?」「俺が前にいた会社の競合だったんだ。あの頃はかろうじてこっちが優勢だったけど、今や逆転しちまった。 最近だと、官公庁や警察関係のシステムなんかもやってるらしいし、一般人が手を出していい相手じゃない」 と、鯉川が息をつくと、不機嫌なまま久我は言った。「道理で警察の動きを知っているわけです。 ですが、レイのやっていることは許せません。どうにかして迷惑行為をやめさせないと」「それはまあ、そうなんだけど」 しかし、いいアイデアは浮かびそうにない。 事務所内が沈黙したのもつかの間、神崎が聞く。「鯉川さん、隠しカメラはまだそのままにしてあるんですよね?」「ああ、外してくるの忘れてたわ」 と、鯉川が立ち上がると、神崎は片手を出して制止した。「待ってください。その隠しカメラ、音声は入るタイプでしたか?」「いや、映像だけだ」「それなら、隠しカメラを通じてレイにメッセージを伝えるのはどうです?」 神崎の提案に鯉川はまばたきを繰り返した。「えっと、たとえば?」「こちらにダメージが入っていないことを伝えるとか」「つまり、効いてないよってか?」「ええ、そうです。効いてないことをアピールできたら、レイはム
최신 업데이트: 2026-04-17
Chapter: レンズの向こう②
 カフェが開店して間もなく、鯉川は店内の調査を開始した。「Cafe in the Pocket.」はミニチュアをテーマにしており、店内にはいくつものミニチュアが展示されている。 そうした可愛さから来るのは女性客が多いが、男性が入りにくい雰囲気の店ではないため、二割程度は男性客が占めていた。 料理が美味しいこともあり、特にランチタイムは男女かまわず客がやってくる。「おっと、さっそく発見だ」 電波検知器が反応を示したのは、ウォールシェルフに飾られたミニチュアだ。 よく見るとウォールシェルフの下に、無線式の隠しカメラがテープで固定されていた。 鯉川はすぐにその場を離れて、カウンターにいるオーナーの長島透子へ近づいた。「あそこの棚の下にひとつ、ありました」「いつの間に……」 ショックを受ける彼女へ鯉川は言う。「ここ、Wi-Fiありますよね。おそらくそれを使用しているものと思われます。 これから映像データがどこに送られているか調べたいんですが、長時間いてもいい場所ってありますか?」「それなら、裏でお願いします。狭いですけど、更衣室があるので」「ありがとうございます」 透子の案内で鯉川は裏へ入った。 男女別の更衣室が設置されており、男性更衣室の隅でノートパソコンを開く。 カフェのWi-Fiに接続し、Witesharkを起動した。プロミスキャスモードでパケットキャプチャを開始する。「お、これかな」 数分後、特徴的なトラフィックが目に留まった。 一定間隔で、暗号化されたHTTPSパケットが、店内のIPアドレスから外部の固定IPへと大量に流れている。 ポートは443。普通のウェブ閲覧ならあり得るが、データ量が異様に多い。 鯉川はフィルタをかけ、そのセッションだけを抽出する。 送信先IPをWhoizで調べると、海外のVPSプロバイダに登録されたサーバーだった。 所有者名はダミー会社。典型的な隠しカメラの配信パターンだ。 さらにパケットの中身をのぞくと、定期的
최신 업데이트: 2026-04-15
Chapter: レンズの向こう①
「こんにちはー。ちょっと相談があるんですけど、今大丈夫ですか?」 と、事務所へやってきたのは|名城璃久《なしろりく》だ。 今日は仕事が休みらしく、ショート丈の白いダウンジャケットに茶色のチェック柄のキュロットスカート、中に厚手の黒タイツを履いた私服姿だ。「ああ、大丈夫だよ。どうかしたか?」 すぐに所長の|久我健人《くがたけと》が席を立ち、|鯉川宗吾《こいかわそうご》はパーテーションから顔を出して様子を見守る。 璃久はスマートフォンを取り出し、画面を見せながら言った。「これ、ボクだと思いますか?」 久我は「うーん、これは……」と、悩ましげにうなってから振り返った。「鯉川さん」 手招きをされて鯉川は足早に歩みよる。「どれどれ」 と、璃久のスマホをのぞきこんだ。表示されていたのは画像だ。 人物の目の部分をのぞいてぼかし加工がされており、色や形から察するに裸のようだった。「ディープフェイクか? けど、これだけじゃあな……」 鯉川がつぶやくと、璃久はため息をついてスマホを持った手をおろす。「一昨日の夜、急に送られてきたんです。 迷惑メールだと思って無視したんですけど、透子おばさんに見せたら、ボクに似てるって言われて」 鯉川は久我と軽く目を合わせてから質問した。「そのメールには、他になんて書かれてた?」「いえ、特に文字はなかったです。ただ、画像だけが送られてきてて」「うーん、判断が難しいな。どう思うよ、久我ちゃん」「そうですね、元の画像が分かれば判断できるんですが」「よっしゃ、いっちょおじさんがやってみっか」 と、鯉川は璃久へ視線を戻した。「璃久ちゃん、スマホを貸してもらっていいか? すぐに復元するよ」「あ、はい」 璃久のスマホを受け取り、鯉川は自分の席へ戻った。 画像を保存し、パソコンへ送ってからAIの力を借りてぼかしを除去する。 ほんの数分で元の画像が復元できたが、鯉川はため息をつい
최신 업데이트: 2026-04-13
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