author-banner
いふや坂えみし
いふや坂えみし
Author

Novels by いふや坂えみし

僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 続編

僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 続編

友人に誘われて入部した演劇研究会で、渡辺浩二は演劇にのめり込む。 演劇を通して成長していく姿を丹念に描いていく青春小説。 「僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編」 の続編になります。
อ่าน
Chapter: 第八十一話
 ナベがコンビニを出ると、何人かドアの近くに固まっていた。「ナベー、買えたー?」 裕子が笑顔で近寄ってくる。再びナベは香水の匂いを意識したが、さきほどよりも落ち着いていた。「うん。イカフライも変えたよ」「あー、気にしたんだ」「まあね」「ナベはもうちょっと太ったほうがいいと思うよ?」「それはちょっと自分でも思うかなぁ」「ナベはもっと太ったほうがいいよ、絶対!」 ナベがおなかをさすると、ケンが会話に加わる。ケンはちょっと小太りだった。「あ、そんなですかー?内臓には脂肪ついてるような気がするんですけどねぇ」「え、そうなの?」 ガジンも入ってきた。「うん。昔に比べるとなんか体が重くなったような気がする」「わかる!小学生の時とかさあ、ずっと走ってられてた気がする」 ケンがおおげさにうなずく。「ケンさんは痩せたほうがいいよお。将来病気になるよー」 ケンと付き合っているコロがケンの腹をさする。「え、そこまで?」「あー、もうみんないる。ごめんなさーい!」 ケンが自分の体を見下ろすと同時に、瞳と理恵、麻美と由美が謝りながらコンビニから出てきた。「お、きたきた。えー……そろった、ね。よし、戻ろう」 ケンが人数を確認し、合宿所へ戻る。 ケンは一階食堂のテーブルに全員席についたのを確認し、大袋を二つテーブルに置く。ビールの六缶パックが二つだ。「これは俺からのおごりです!一人一本持ってってー!」 わー、と拍手が起こる。ナベもお礼を言って一本受け取る。あまり好きではないが、もらえるものは何でも嬉しかった。「はいじゃあ、なんだろう。何に乾杯?何でもいいか」 ケンはプシュッと缶ビールのタブを開けて乾杯の音頭に入る。「合宿の成功を祝して!」「合宿に成功とか……まあ、あるか」 骨折の提案に山口
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-06-21
Chapter: 第八十話
「それじゃあ、みんな自分で飲みたいものと食べたいつまみ買ってきてください。突撃〜!」『わー!』 コンビニへ到着し、ケンが音頭を取ると、みんな勢いよくコンビニの中へ駆け込んでいった。 ナベはビールはあまりおいしいとは感じない。このまえの打ち上げで初めてビールを飲んだが、大人たちはみんなビールを好んで飲んでいるが苦くて好まれる理由が理解できなかった。どちらかといえば、カクテルなどのほうがジュースみたいで飲みやすかった。なので、ぶどうサワーと梅酒サワーを手に取る。炭酸も苦手なのでサワーにしないでほしいな、と思ったが安くて甘いお酒はなぜか炭酸が多かった。 振り向いておつまみコーナーを眺める。どうせみんな肉類を買うだろうとナベは予想し、野菜系のおつまみを探す。が、見つからない。野菜っぽさを求めて青豆の小袋を手に取る。青豆を見て枝豆も定番だな、と思いついて冷蔵庫の方へ移動する。冷蔵庫の前にはガジンがいた。「なに買うつもり?」「んー……豚のタン塩と焼き豚どっちにしようかって……」  ナベが話しかけると、ガジンは振り向かずに答える。ちらりとガジンの買い物かごを覗くと、ビールが三本入っていた。「どっちも買えば?」 ナベは適当にアドバイスしながら枝豆を探す。上の方の棚にあったので一つ手に取ってかごに入れる。「そうか……そうだな!」 ガジンはそう言って両方かごに入れた。「ナベは何買ったの?」「これ」 かごを前に出す。「肉がないよ、肉が!」「えー、だってみんな買うだろ?野菜が足りんなーって」「……豆って野菜?」 ガジンはかごに目を落として首をひねる。「いやー、サラダとかだとみんな取りにくいかなって考えたら豆になったんだよ」 ナベはちょっとだけ食べてあとは食べたい人がつまめばいいし、他の人からも分けてもらおうと考えていた。その方がいろいろなものが食べられるだろう。「
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-06-21
Chapter: 第七十九話
 九巡目、理恵が7のペアを出して始まる。骨折はパスしたが、由美はJのペアを出す。「……パス」「やった!」 理恵がパスしたので、由美が小さくガッツポーズする。「えい!」 由美が場に出したのは7、8、9だ。「……〜、いいや。はい!」 理恵は不安そうに迷いながらJ、Q、ジョーカーを出す。骨折も由美もパスをしたが、理恵はまだ不安そうだ。 十一巡目、理恵が出したのは8のペアだ。理恵は祈るように顔の前で手を組んでいる。骨折はパスをしたが、由美はAのペアを出した。「あああー!」 理恵は悲壮な声を出した。カードは残り一枚なので当然パスだ。「上がりー!」 由美は3を出して勝ち抜けた。「……パス」 次の手番は理恵だったが、パスをした。残り一枚の状態で3より強いカードを持っていないことが判明した。つまり、いま理恵が持っているカードは3だ。「まじか……!!」 骨折はほっとした声を出す。Kを出し、場が流れる。続いて、8、7、5と一枚ずつ出していき、理恵はそのすべてをパスした。骨折は残り一枚、最後に4を出して上がる。「上がれたー!」「なんだよ、つまんねーなーお前は。一年の女子に罰ゲームさせんなよ」「勝負に先輩も後輩も関係ねー!ギリギリでも上がりゃあ勝ちだ」 山口が骨折をなじるが、骨折は意に介さない。「というわけで、罰ゲームは理恵ちゃんでーす!」「オメーが言うな」 意気揚々と宣言する骨折を山口が軽く小突く。「仕方ない!おごるからみんなついてきて!」「理恵ちゃん、かっこいー!」 やけくそに見えなくもない理恵を瞳が褒める。理恵に続いて、全員一階の自販機へ向かった。理恵は自販機に千円札を三枚入れる。「みんな好きなの買ってって!」 全員お礼を言いながら自販機のボタンを
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-06-20
Chapter: 第七十八話
 由美、山口、理恵、骨折の4人が最終戦に進むことになった。じゃんけんの結果、親は理恵になる。理恵がカードをシャッフルし、順番に配っていく。プレーヤーは四人なので、手札は一人につき十三枚か十四枚だ。プレーヤーが減ると手札が増えるので、使える戦略が多くなる。四人のカードを後ろからざっと眺めたナベは、おもしろい展開になりそうだなと予感した。 親の理恵が5のペアを出す。「最初っからフルスロットルだぜ!」 骨折が場に出したのはQのペアだ。『おおお』と周りから歓声が上がる。「えい!」 骨折が親になるかと思われたが、由美はKのペアを出した。続く山口、理恵がパスをする。「最初っからフルスロットルだぜぇ!!」 骨折は2のペアを出す。『おおおおお!!』と先ほどよりも大きな歓声が上がる。「お前、どんだけ引き強いんだよ!」 山口が驚きの声を上げる。「え、なに骨折。自爆すんの?」 観戦しているケンは適当に声をかける。「俺はここで勝負をかけるんですよお!」 全員がパスをして、骨折が親になる。「おらあ!かくめえぇええ!!」 骨折は9のスリーカードとジョーカーで革命を起こした。『おおおおおおお!』「すげえええ!」「ざけんなてめえええ!」 合宿所は歓声の渦に包まれる。誰もが何かを叫んでいるようだ。「革命返しだれかやってくれよおおお!」 山口が叫ぶが、全員がパスした。「じゃあ、これで」 骨折がAを出して三巡目が始まる。「あ、そっか。革命か」 由美はそうつぶやいて10を出す。続く山口は5、理恵は4を出すと、骨折はパスをした。その後も全員パスをして、理恵が親になる。「んーと、じゃあ」 理恵は10のペアを出すと、骨折はまたパスをする。「あれ?おまえもしかして、ペアもうない?」「いいや?そんなことねえし」 山口が煽ると骨折はシラを切る。わざとら
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-06-20
Chapter: 第七十七話
 骨折が7、ケンが9、麻美がQを出す。「パス」 ナベはまだ2を出すわけにはいかなかった。だが、そろそろカードを減らさないとまずい。このあと全員パスをしたので、麻美が親になる。 九巡目、麻美が3を出して始まる。ナベは7を出す。出せるカードがあってホッとした。理恵が8、骨折が10、ケンがJ、麻美が2を出し、全員パスしたので再び麻美が親になる。 十巡目、麻美が5のペアを出したので、ナベはここしかないと思い、9のペアを出す。親になりたいが、9だと弱いだろうかと不安になる。「勝負!」 理恵はパスしたが、骨折がQとジョーカーのペアを出してしまった。親になりそこねたのは悔しいが、ジョーカーがこれで二枚出たので、2が最強のカードで確定したのは良かった。 十一巡目、骨折が8を出して始まる。続いてケンがKを出すと、麻美はニヤリと笑ってAを出す。「上がり!」「えええ!?まだあったか、くそ」 ケンの悔しがる様子を見て、残りの手札はそれほど強いものではないかもしれない、とナベは予想した。「ケンさーん、がんばれー」 コロがケンを応援している。もし裕子から応援されたら嬉しいが気恥ずかしさのほうが勝ってしまうな、とナベの脳裏に余計な思考が挟まる。ナベは自分の残りのカードを見る。3、10、J、2。2はまだ出せない。全員がパスをする。おそらくだが、全員もうA以下しか持っていないはずだ。麻美が上がったのでナベが親だ。ケンも骨折も残り一枚。勝ち抜けるのは残り二人。ケンはKより弱い手札しか持っていないはずだ。骨折はわからない。なら、Jを出しておくべきだと判断する。 理恵がQを出し、骨折がパスをしたのでQより弱い手札しか持っていないと確定する。全員がパスし、理恵が親になった。理恵が6を出す。「……パス」「あれ?もしかしてもしかして?」 骨折はパスし、山口が煽る。骨折のカードは6以下だとわかり、ナベは少し安心する。「よっしゃ、上がり!」 ケンがJを出して上がってしまった。まずい、とナベは焦る。残り一人し
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-06-19
Chapter: 第七十六話
 次のゲームは、理恵・骨折・ケン・麻美・ナベ・久美子がプレーヤーだ。『親決めじゃんけん、じゃんけん、ぽん!』 じゃんけんの結果、親は麻美になった。麻美がカードをシャッフルし、順番に配っていく。ナベの前にも9枚のカードが配られ、いいカードが来ることを祈りながらめくる。3、6、7、9、9、10、J、A、2の9枚だった。可もなく不可もなくといった感じだ。欲を言えばジョーカーがあればよかったが、そう都合よくはいかないものだ。「それじゃあ、私から」 麻美が4を二枚場に出す。次のナベは9のペアを出すことができたが、ゲームの終盤で上がりを阻止するために使ったほうがよい。そう判断し、パスすることに決める。「……パス」「ナベ、いきなりパスかぁ?」 ガジンに心配、というよりも煽られている意味合いのほうが強いだろうか。「まだ始まったばかりだよ」 順番を考えなければ最後にパスばかりしてしまうことになる。だからナベは特に焦りを感じることもない。「ラッキー。ナベありがとー」 続く由美が5のペアを出す。ちょっと失敗したかもしれないとナベの頭によぎるが、久美子に親が移ればどのみち同じことだ、と考え直す。 理恵はパス、骨折は8のペアを出した。手番が移るたび、骨折は「頼む、頼む」とぶつぶつつぶやき、山口は「久美子、出せ」などと骨折の負けを願っていた。一巡目は全員パスをして、親が骨折に移った。「っしゃっ!」 と小さく骨折がガッツポーズし、二巡目は骨折の出した6から始まる。続くケンは9、麻美はJを出す。2が残っているのでナベはAを出した。これで親になれればいいが、と祈る。祈りは通じ、全員がパスする。「よし!」 思わずナベの口から声が漏れる。3は上がりのときに出せばよいので、6を出した。続く久美子はいきなり2を出した。「ちょっと、久美子さんやめてくださいよー!」 叫んだ理恵はまだ一枚も減っていない。このあと全員がパスをして、久美子が親になる。「ごめんね、理恵ちゃん」
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-06-19
僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編

僕は僕が欲しいものなんて知らない 聖北学院大学演劇研究会 入学編

大学一年生の渡辺浩二は流されるままに演劇研究会に入部する。 人生の中で演劇に関わるなんて考えたこともなかった。 けれど一ヶ月後の公演を控えた演劇研究会での活動に徐々にのめり込んでいく。 自分の変化に戸惑いつつ、大学での日々は過ぎていく。
อ่าน
Chapter: 第四十八話
 僕は着替えてから店をあとにした。とてもお腹が減った。きのう説明されたが、いまは時給が六三〇円で研修期間が終わったら時給六四〇円になるらしい。今日は二時間働いたので一二六〇円稼いだ。だいたいパン十個分くらいだ。でも携帯電話の契約をしたいので無駄づかいするわけにはいかない。携帯電話の月額利用料はだいたい四千円くらいだ。携帯端末の本体も購入する必要がある。月額利用料に含まれているプランもあるみたいだが、多めに考えておいたほうがいいだろう。 僕は週三日、午後五時から午後十時まで一日五時間働く予定だ。六四〇✕五で三二〇〇円、だいたい月十三日くらいの勤務なので、月四万円くらいの給料になる。まあ、携帯電話代くらいは払うのに問題はなさそうだ。「おかえり。どうだった?」 「うん、疲れた」 「二時間しか働いてないでしょ」 「そうだけど」 「まあ、がんばんなさいよ」 「うん」 帰宅して昼食を食べながら母とそんな会話をした。それから約一ヶ月のあいだで研修を終えた。だいたい仕事のやり方と流れは覚えることができた。 毎月の給料は翌月の上旬に銀行振込される。僕はアルバイト先で店長から給与明細を渡されたので、家に帰ると預金通帳とカードを財布の中に入れて近くのスーパーへいった。入口にATMが設置されているからだ。主婦が二人並んでいたので最後尾につき、早く自分の番にならないかとそわそわして待つ。 待機列が途切れたのでATMの前に行き、一万円だけ引き出す。預金通帳に印字された「コンビニ24 8ガツブンキユウヨ」という文字を見ながらニマニマした。研修期間中はだいたい一日の勤務が二時間とか三時間だったので、最初にもらった給料は二万円にもならなかった。けれどお年玉や小遣い以外で初めて自分で稼いだお金なので嬉しい。あまりむだづかいはできないが、スーパーでふだん買わないお菓子を買って帰った。 自分で使いたいけど、家族に何かプレゼントをしたほうがいいだろうな。初めてだから自分のためだけに使うのはもったいない気がする。お寿司の出前とかなら全員にプレゼントできるな。給料が出た次の日曜日、僕は寿司の出前をとることにした。日曜日のお昼にそのことを両親に伝えた。「いいんだよそんな。自分で使いなさい」 「そうだぞ。自分で働いたお金なんだから」 「いやまあ、初任給とかって親に感謝するものだからさ。
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-01-29
Chapter: 第四十七話
 店内に入ると、お客さんは数人いるくらいだった。篠原さんはモニターで込み具合を確認したのかもしれない。いままでレジの機械をじっくり見たことはなかったが、ボタンの多い計算機みたいだ。篠原さんから説明をしながら操作方法を教わる。一度聞いただけでは覚えきれないのでやりながら覚えていくしかなさそうだ。「それじゃ渡辺さん、レジ打ちしてみてください」 「はい」 お客さんが一人レジの前に来てカウンターにかごを置いていた。「いらっしゃいませ。一二〇円が一点、二三八円が一点、五〇円が一点、合計四〇八円のお買い上げになります」 お客さんは財布を取り出して五百円玉を出した。その間にレジ袋をカウンターから取り出して広げる。「五百円お預かりいたします。九二円のお返しになります。ありがとうございました。またお越しくださいませ」 お客さんに一礼する。「基本は大丈夫ですね。あとカウンターの下にはしとスプーンとフォークがあるので、必要そうな商品を買うお客様には確認してください」 「はい」 「それと、よくお客様からたばこないですかって聞かれることが多いんだけど、この店には置いてないです。理由を聞かれたら、近くにタバコ販売店があるからって答えてください」 「そんなルールがあるんですね」 「そうなんです。そこの交差点の向かいにタバコ屋あるのが見えるでしょう?」 「あー、ありますね」 「タバコがほしいお客さんにはあの店を案内してください」 「はい、わかりました」 「他にも、自動販売機が店を出て左に行くとすぐあるので、まあそっちの方が近いですね」 「了解です」 続けて、日付管理について教わった。おにぎり、パン、弁当、サンドイッチなどの食品には賞味期限が印字されている。商品が売れると売れた商品のスペースに隙間が生まれる。それを埋めるために奥の商品を前に出す必要がある。その時に日付を見て期限が近いものを前へ並べる。この仕事をフェイスアップと呼ぶらしい。「弁当のフェイスアップも、食欲を刺激するように工夫するんですよ。例えばそうですね」 篠原さんは弁当の陳列棚の弁当を並べる。全ての棚にいろいろな弁当が一段ずつ並べられた。弁当の数が少ないのでそうなる。「いまの時間帯は朝のラッシュが終わって昼の商品が届いていない状態なので、品数がありません。こんなふうに並べると弁当が少ないよう
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-01-29
Chapter: 第四十六話
 二日後。僕は朝七時すぎに目が覚めた。一応バイトの時間に寝坊したらいけないので目覚ましをかけていたが、それよりも早く目覚めた。「おはよう」 「おはよう、早いね」 母が朝食の準備をしている。父はその奥でヒゲをそっている。「うん、なんか起きた」 「浩ちゃん今日何時だっけ?」 「十時だよ。お父さんおはよう」 「おはよう。早いな」 父はT字かみそりを持ったまま振り向いた。口の周りにシェービングフォームがついている。朝食の準備ができるまで僕は新聞を読むことにした。居間のテレビではNHKのニュースが流れている。僕の家ではいつも朝はニュースだ。 新聞を読んでいると、ドタドタと哲ちゃんが階段をおりてきた。一番上の兄で、名前は哲也だ。「あんた、間に合うのかい?もっと早く起きなさいよ」 「大丈夫、間に合う」 台所でいつものように哲ちゃんが母に怒られている。父はすでに朝食を食べ始めていた。僕も立ち上がって手を洗いにいく。「浩ちゃん、淳ちゃん起こしてきて」 「ん」 次男の淳ちゃんはまだ寝ていた。いつものことだ。僕は手を洗ってからのろのろと階段を上がり、淳ちゃんに声をかける。それからごはんを食べ始めると、母も食卓についた。「淳ちゃん起きてた?」 「起きたよ」 少しすると淳ちゃんがおりてきて、父と哲ちゃんは食事を終えた。職場は違うが、二人とも同じバスに乗って出勤する。僕も朝食を食べ終わってテレビを見ていると、すぐにバイトの時間になった。 自転車をこいで三十分、コンビニ24地下鉄北二十条駅前店に到着する。コンビニの中へ入り、僕より少し年上の女性店員に声をかける。「おはようございます、今日からここで働かせていただくことになりました、渡辺浩二です」 「おはようございます、よろしくお願いします。それじゃあ、ついてきてください」 僕は女性店員のあとに続く。「店長、新人の渡辺さんがいらっしゃいました」 「はい。ああ、渡辺さん。おはようございます」 「おはようございます、本日からよろしくお願いします」 「ええ、よろしくお願いします。じゃあ、まずこれですね。制服を貸し出しますので、汚れてきたら洗濯して使ってください」 店長から制服を二着渡された。見覚えのある赤い制服だった。コンビニ24のロゴマークが入っている。「あと名札ですね」 安全ピンのついた透明
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-01-29
Chapter: 第四十五話
「どうも、よろしくお願いします。店長の斉木です」 店長は小太りで長めのスポーツ刈りをした三十代くらいのメガネをかけた男性だった。「渡辺浩二と申します。よろしくお願いします」 何回か面接を受けるうちに慣れてきたのかもしれない。それほど極端に緊張したりせず、受け答えすることができるようになっていた。けれどそれは家の近くのコンビニで面接を受けたときもそうだった。とくに気になるところもなく面接を終えたが、受かるかどうかわからない。落ちたことしかないので自信なんてなかった。 面接の四日後にコンビニから電話が来た。「先日は面接お疲れさまでした。店長の斉木です。面接の結果ですが、採用させていただきたいと思います」 うれしくて少し興奮した。「はい、ありがとうございます。よろしくお願いします」「雇用契約を結びたいので、今日もし暇なら来ていただきたいんですけど、大丈夫ですか?」「はい、大丈夫です」「いつごろ都合いいですか?」「いつでも大丈夫です」「そうですか。じゃあ、午後一時すぎくらいにシャチハタ以外の認印を持ってきてもらえますか?」「はい、わかりました」「それで、雇用契約書に保護者のサインも必要なので、それを書いてもらってまた今日か明日持ってきてください」「はい」「それで、初日の勤務なんですが、明後日の午前中とか大丈夫ですか」「はい、大丈夫です」「そうですか。それじゃあ、明後日の十時から、靴はスニーカー、ズボンはジーパンで来てください」「はい、わかりました。ありがとうございます」 あー、よかった。これで夏休みを無駄にしなくてすむ。スニーカーもジーパンもあるのでとくに用意しなければならないものはない。「お母さん、アルバイト決まったよ」「そう、おめでとう」「うんありがとう」「今日の午後一時すぎに雇用契約結んで、明後日から勤務だって」「そう。じゃあ、早めにお昼の準備しなきゃね」「ありがとう」 僕は階段を上がり、今日は家にいる二番目
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-01-28
Chapter: 第四十四話
 アルバイト情報誌をめくっていると、コンビニ店員の募集が多い。時給はだいたい六三〇円でほぼ最低時給だが、人が足りていないので募集しているのだろう。もうコンビニでいいかな。時給が安いってことは仕事も楽なのかもしれない。コンビニなら家の近くにもどこにでもたくさんある。 家から歩いて十分ほどの距離にあるコンビニで運よく店員を募集していたので応募してみたが、不採用だった。面接した結果、採用したいというレベルではなかったのかもしれないし、それともふだんから少年漫画誌を立ち読みしているからかもしれない。顔を覚えられていて迷惑客と思われ、というかまあ、迷惑客でしかないわけだが。コンビニの商品は割高だからあまり買わない。だから敬遠された可能性はある。実際のところは定かではないけれど。 早いところ働き始めなければ夏休みが終わってしまう。もう十日以上たってしまった。僕が夏休み中していたことと言えば小説や漫画を読んでいるかアニメを見ているかしかしていない。それはそれで不満ではないのだけれど。だけどこれからわりと居酒屋に行ったりカラオケに行ったりお金を使う機会は増えていく気がする。なにより携帯電話がほしい。すこし焦りを感じ始めていた。 僕は大学へ通うとき、自転車で三十分くらいのところにある地下鉄まで行く。その地下鉄駅の近くにあるコンビニで店員を募集していたので、そこへ面接の応募をした。そのコンビニはふだん僕が使っている地下鉄の入口から少しだけ離れていたので、ほとんど入ったことはないはずだ。ふだんはコンビニの前を自転車で通り過ぎているだけだったので、そこにあることは知っていた。 四日後、そのコンビニへ面接を受けに来た。モップがけをしていた店員に、面接に来たことを伝えると、店員はレジカウンターの奥にある扉の向こうへ入っていきすぐに戻ってきた。「お待たせしました。こちらから入ってください」 僕は店員の後へ続き、レジとは反対側にある冷凍庫の近くにあるドアを抜ける。中に入ると狭い通路に棚が設置してあり、棚にはいろいろなお菓子の段ボールが収納されていた。通路の奥にまたドアがあり、そこに入ると小さな事務室になっていた。「面接の方をお連れしました」 店員は事務室の奥にいた男
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-01-28
Chapter: 第四十三話
 三日後。自転車で寿司屋へ向かう。約束していた時間の十分くらい前に着き、店の中へ入る。いまは営業時間外らしく、客はいない。一人だけ午後の開店準備をしているらしい店員がいたので、面接に来たことを伝えると、バックヤードの方を示された。「店長は奥にいるので、入って待っててください」「はい、ありがとうございます。失礼します」 僕はバックヤードに入って中の通路を進む。奥にドアのない部屋の入口があり、光がもれていた。「失礼します、面接に来ました」 僕が声をかけて中に入ると、店長らしき中年男性のひざの上に、僕よりは年上の若い女性が座って密着していた。女性は僕に笑いかけ、ひらひらと手を振る。「……」「まだ時間じゃねえ!外で待ってろ!」「……失礼しました」 あまり人から怒鳴られたことがないので驚いたが、店長の人格には問題があるな。ええと、愛人か何かだろうか?僕はバックヤードの入口付近まで戻った。これは落ちたな、というよりここで働きたくないな。履歴書渡さずにもう帰りたい。というか、本当にこんなことがあるんだな。珍しいものを見た。 数分後、ひざの上に乗っていた女性が薄笑いを浮かべながら僕を呼びに来た。僕は事務室に入って座る。「言われるまで座んじゃねえよ、非常識だな」「あーはい、すいません」 全然気持ちがこもらない謝罪をする。勤務中にいちゃついてる人に常識をとやかく言われたくない。ひざの上なら勝手に座ってもいいのだろうか。気持ち悪いので座りたくないが。「じゃ、面接始めます」「はい」「志望動機は?」「はい、家から近いのと、時給がわりと高いからです」 なんだろう、ぜんぜん緊張しない。受かる気がまったくないからだろうな。早く面接終わらないかな。どうせ向こうも採用する気ないんだろうし。「それだけ?」「それだけです」「……長所と短所教えて」「長所は倫理観が高いところで、短所は正直すぎるところですね」
ปรับปรุงล่าสุด: 2026-01-27
สำรวจและอ่านนวนิยายดีๆ ได้ฟรี
เข้าถึงนวนิยายดีๆ จำนวนมากได้ฟรีบนแอป GoodNovel ดาวน์โหลดหนังสือที่คุณชอบและอ่านได้ทุกที่ทุกเวลา
อ่านหนังสือฟรีบนแอป
สแกนรหัสเพื่ออ่านบนแอป
DMCA.com Protection Status