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桐生桜
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Novels by 桐生桜

黒瀬部長は部下を溺愛したい

黒瀬部長は部下を溺愛したい

イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブショートストーリー。 ※キャラクター、イラストはAIです
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Chapter: CASE:30 おまけ②
Special Spin-off②「真夏とアイス」「慧さん、これ美味しいですよ」 休日の街を歩きながら、莉央は嬉しそうにアイスを頬張っていた。「そうか。なら良かった」 隣を歩く慧は、いつもよりかっこいい。 会社では、部下から恐れられている上司。 隙のない仕事ぶりに、鋭い目つき。 けれど今日は休日デート。 莉央と二人で歩いているだけで、慧の表情はいつもよりずっと柔らかい。 そんなことを考えながら、莉央はアイスをもう一口食べて。 ふと、慧を見る。 そして。「……はい、どうぞ」 ごく自然に、スプーンを慧の口元へ差し出した。「…………」 慧の足が止まった。「……慧さん?」「……これは?」「いらないんですか?」 きょとんと首を傾げる莉央。 その顔には、深い意味などまるでない。 ただ、美味しかったから、一緒に食べてほしかっただけ。 でも……。 慧にとっては、完全に不意打ちだった。「……いや」 いつもの冷静な声を出したつもりだった。 けれど、ほんの少しだけ間が空いた。「食べる」 慧は莉央の手からスプーンを避けることなく、そのまま口に含む。「……ん」「どうですか?」「……美味い」「よかった」 莉央がにこっと笑う。 その無邪気な笑顔を見て、慧は一瞬だけ目を伏せた。 ……ヤバイ。  思った以上に、嬉しい。 たった一口のアイスなのに。「……莉央」「はい?」「こういうこと……誰にでもするのか?」「え?」 莉央は目を丸くする。「しませんよ? 慧さんだからしたんです」「……そうか」 それだけ答えて、慧は前を向いた。 自分でも分かるくらいに顔が熱い。 さらに耳がほんの少し赤い。「慧さん?」「何でもない」「顔、赤いですよ?」「暑いだけだ」「ふふっ」 莉央が笑う。 慧はそんな彼女を横目で見ながら、小さく微笑んだ。「莉央……もう一口」「え?」 慧は自分から莉央の手を取った。「さっきの」「……アイス?」「そう」 少しだけ目を逸らしながら。「……もう一回、食わせて」「はい。どうぞ」 また自然に差し出されるスプーン。 その瞬間。 慧がアイスではなく、スプーンを持つ莉央の指先に軽く口づけた。「……っ」「何」「い、今……」「何って?」 何食わぬ顔で言う慧。 けれど、
Last Updated: 2026-11-03
Chapter: CASE:29 連れ去りたくなる
 慧に連れてこられたのはBARだった。 静かなジャズが流れる落ち着いた店内。 薄暗い照明と大きなガラスから入る月の灯かり。「素敵なお店ですね」「だろ。莉央と来たかったんだ」「慧さん、こういうお店詳しいんですか?」「いいや。たまたまネットで見たんだ」「へぇ……意外ですね」「そうか?」 案内されたペアシートのソファ。 並んで座ると目の前は夜景が一望できた。「慧さん、ネットとか携帯あんまり見なさそうなイメージだったので」「まぁ、前は……そうだったな」「前?」「莉央と付き合う前ってこと」「どうして変わったんですか?」「ん? そりゃあ……」「……?」 夜景を見ていた莉央は慧の視線に気がついた。「慧さん?」「莉央のおかげかな」「私ですか?」「ああ。楽しいも嬉しいも共有したいって思えるからな」「……さらっと嬉しいこと言わないでください」 ぽっと赤くなる莉央の頬。「本音だし。あと、覚えてるか? 約束」「約束……?」 慧は少しだけ目を細めた。「プロジェクトが成功したら、俺がご褒美をやるって言っただろ」「あ……」 そうだった。 でもまだ正式に成功したわけではない。 あくまでもプレゼンがうまくいっただけ。「でもまだ……」「大丈夫だ。必ず成功するから」 慧が自信たっぷりで微笑む。 その眼を見てると不思議と成功する気がしてしまう。「じゃあ、ご褒美……くれるんですか?」「ああ。だから次の土日、俺にくれるか?」 さり気なく莉央の手をとり、その甲を撫でる。 この優しい眼差しと、甘い態度にNOなんて言えるわけがない。「はい、もちろんです」「ありがとう」 満足そうに笑った慧はもう一度莉央の手を握り直した。 「じゃあ今日は遅くならないようにしないとな」「明日も仕事ですもんね」 慧との時間がこんなにも恋しくなるなんて。 会社で毎日顔を合わせてるのに。「こら、そんな顔しない。連れ去りたくなる」「そんな顔って……」「次の土日まですぐだ。楽しみにしてて」「はい」 莉央のどんな表情でも見落とさない慧。 こんなに幸せでいいのかと思うほど。 次の土日はきっと。 二人だけの、特別な休日。To be continued
Last Updated: 2026-10-20
Chapter: CASE:28 よくやったな
 ついにやってきたプレゼン本番。 会議室には役員を含めたプロジェクト関係者が並んでいた。 会社にとっても重要なプロジェクトであり、莉央にとっては初めて任された大きな仕事。(ふぅ~……大丈夫、絶対成功させてみせる!) 資料を持つ手に、少しだけ力が入る。「……大丈夫」 小さく呟いた、そのとき。 会議室の一番奥。 腕を組んで座る慧と目が合った。  ほんの一瞬だったけれど。 慧は何も言わず、ただ小さく頷いた。『大丈夫だ』 そう言われてるような気がして気持ちが落ち着いた。 莉央はゆっくり息を吸う。「それでは、時間になりましたので始めます」 滑り出しはは順調だった。 寸分の隙も無い市場分析。 練りに練った企画内容。 削減できるところは削った予算。 そして今後の展開。 想定していた質問にも、落ち着いて答えていく。 けれど最後に役員から予想していなかった質問が飛んできた。「この企画が失敗する可能性については?」 一瞬、空気が止まった。 視線が集まり莉央の心臓が大きく鳴る。(っ……だめ、弱気になっちゃ……ここまで頑張ってきたんだもの。逃げるわけにはいかない) 莉央は顔を上げた。「もちろん、リスクはあります」 正直に答える。「ですが、そのリスクを想定したうえで、こちらの対策を用意しています」 画面を切り替える。「成功することだけを考えた企画ではありません。失敗する可能性まで含めて、最後まで責任を持って運用できる企画にしました」 莉央は続ける。「しかし私は、このプロジェクトを失敗させるつもりはありません」 まっすぐ前を見る。「そのために、最後まで責任を持ってやり遂げます」 言い切った。 数秒の沈黙のあと、役員が頷いた。「分かりました。期待しています」「この企画で進めてください」「はいっ! ありがとうございます!」 その瞬間。 莉央の胸に、熱いものが込み上げた。 その日は定時で上がった。 なぜなら……。『退社後、裏出口で待ってて』 慧からプレゼン後にきたメール。 もちろん『はい』と即レス。「お疲れ様でーす」「お疲れー。白石ちゃーん、今度祝賀会しようぜ~」「ふふ、楽しみにしてます」 足取り軽く莉央は会社の裏出口へ向かった。 すると……。 「お疲れ」 背後から声がした。 振り返る
Last Updated: 2026-10-06
Chapter: CASE:27 これで我慢するから
「さっきトイレに行った」「そうなんですね」「何か用か?」「いえ、ちょっと確認したいことがあって」 出て行く気配のない部下に慧は続けた。「だったらオフィスで待ってろ。おそらくこっちにはもう戻らない」「そうですか。わかりました、ありがとうございます」「ああ」 バタンと扉が閉まり部下が出ていった。「……」「……」 棚の陰から、莉央がそっと顔を出す。「……焦りましたね」「かなりな」 慧が小さく笑う。「心臓、止まるかと思いました」「俺も」 そう言いながら、慧は莉央の髪を優しく撫でた。「でも」「……?」「あと少し遅かったら、隠せなかったかもしれない」「え……?」「俺はいつバレてもいいと思ってる」「え……」 さらりと言ってから、慧は少しだけ笑う。 「俺は莉央が俺の恋人だって、隠す必要なんてないと思ってる」「も、もう……!」 慌てる莉央を見て、慧は楽しそうに笑う。「安心しろ。莉央が望む間は、ちゃんと秘密にする」「あ、りがとうございます」「うん」 莉央のペースで決して無理強いはしない。 慧のそんな優しさに、その言葉に、胸が熱くなる。「その代わり……」「はい……?」  慧は莉央を腰から抱き寄せ繋いだ手に、指を絡める。 「二人きりのときは、ちゃんと俺の彼女でいて」 そう囁かれて。 莉央の胸は、また大きく跳ねた。「……はい」 再び近づいてくる慧。「これで我慢するから……キスさせて」「慧さ、んっ……」 軽く啄むキス。 慧の手がそっと莉央の首筋に触れる。「っ……ん、っ……」 指先から伝わる熱。 絡まる吐息。 すべてに溺れそう。「ぁ、はぁ……」 啄むキスから深い口づけへ。「んんっ……」 そして不意に離れる唇。 でもまた近づいてきて……。「莉央……」 甘い声と囁き。「慧、さん……」 熱くなった身体と潤む瞳で慧を見上げる。「っ……無理、可愛すぎ」「……ンッ」 そのまま深く唇を奪われて。 余裕のない本気のキス。「ん、はっ……ン、慧……さん」 息も忘れるくらい甘く蕩かされて、莉央は慧の肩を掴んだ。 すると慧が、唇を重ねたまま低く笑う。「責任取って。煽ったの、そっちだから」「アッ……」 数分後。 会社でのキスは禁止、と莉央の通達がでたのは言うまでもない。To b
Last Updated: 2026-09-22
Chapter: CASE:26 俺が今したいこと
 慧が体調を崩してから、数日。 すっかり元気になった慧だけれど、二人は相変わらず忙しかった。(最近、全然話せてないな……) プロジェクトの準備で忙しく、二人きりになる時間はほとんどない。 仕事中に交わす言葉は、上司と部下としてのものばかり。「黒瀬部長、これ確認お願いします」「ああ、わかった」 テキパキと仕事をこなす慧。 あの日、熱にうなされながら莉央の手を握っていた人とは思えない。(やっぱり……夢みたいだったな) 少し寂しく思いながら、自分のデスクへ向かう。 その時。 「白石。この資料、資料室にあるから取ってきてくれ」「はい」 頼まれた資料を探しに、莉央は資料室へ向かった。 人気の少ない資料室は紙の匂いでいっぱいだ。「早く見つけて戻ろう。もうすぐお昼だし」 目当ての資料は数年分。「これ、1人で持っていけるかな……」 そんな不安を抱きながら資料を集めていると……。 ガチャ、バタン! 「え?」 振り返ると。「……慧さん?」「静かに」 さっきよりも少し優しい表情。「仕事は?」「終わらせてきた」「じゃあなにか問題でも? どうかしたんですか?」 純粋な莉央の質問。「2人きりになりたくて」「えっ……」 急な距離の詰め方に莉央は不意打ちを食らったみたい。 一歩近寄った慧がふわりを彼女を抱き締める。「ちょ、ちょっと。今仕事中ですよ!」 誰もいないけど小声で慧を止めようとする莉央。 だけど……。「嫌? 少しでいい」「っ……それだめって言えないの分かってて言ってますよね?」「さあ?」「もう……」 ふわりと香る慧の匂いと、ほどよい体温が莉央を誘惑する。(ほんと慧さんの香り、落ち着く……)「はぁ……落ち着く」「え?」「莉央とこうするの、俺の安定剤」「ふふふ……私も今、おんなじこと思ってました」「そうか……じゃあ俺が今したいこと、わかるか?」「え……っと」 耳元に顔を寄せられる。「莉央……」「……っ」 顔が一気に熱くなる。「わかった?」「……」 顔を真っ赤にしながら見上げると、慧の顔が近づく。 唇が重なる。 久しぶりのキス。 嬉しくて莉央がそっと慧のスーツを掴んだ、そのとき。 ガチャガチャ……。 扉の向こうに誰かがいる。「慧さん、誰か入ってくるかも」「……こっち」
Last Updated: 2026-09-08
Chapter: CASE:25 明日、後悔するぞ
 中に入ると寝室以外は真っ暗だった。「慧さん、熱測りますよ」 ソファにもたれて座る慧に体温計を渡す。 その姿はいつもと違って少し弱々しい。 ピピッ…ピピッ…「見せてください」「ん……」「38.8!? 慧さん、ベッドで横になっててください」「ふふ……わかった」 素直に寝室に向かう。 莉央もついていき、ちゃんと横になるまで見守った。「少し寝ててください」「ああ……」「薬は?」「解熱剤は飲んだよ」「じゃあ効くまで休んでてください。起きたとに何か食べれそうなもの用意しときますね」「悪いな……」「いえ、嬉しいんで大丈夫です」「そっか」「はい」 いつもなら余裕の笑みを浮かべる慧なのに。 今日はどこか幼く感じてしまい笑みが零れる。「じゃ、寝ててくださいね」 そう言って莉央はベッドから離れた。 でも。「待って」 慧の手が莉央の手首を掴んだ。「慧さん?」「手」「え?」「少しだけ……繋いでて」「ふふ……いいですよ」 莉央はそっと手を握った。 熱い掌。 大きな指。「いつもと逆ですね」「そうか?」「今日は私の番です」「ありがとう。頼ってもいいんだ?」 その言葉に胸が熱くなる。「もちろんです」 しばらく手を握っていると慧から心地よい寝息が聞こえてきた。 起こさないように部屋を出てキッチンに向かった。 3時間後。 様子を見に行くと慧がちょうど目覚めたところだった。「あ、慧さん。目が覚めました?」「あぁ。今何時だ?」「夜10時前です」「ごめん。寝すぎた」「謝らないでください。寝るのが一番の薬なんですから。ご飯食べれます?」「ああ……お腹空いたな」「待っててくださいね」 莉央が作ったたまご粥を持って寝室へ戻る。「はい、慧さん」「……自分で」「あーん、してください」「……子供じゃない」「病人ですね」「……」「はい、あーん」「……」 少し迷った慧だが、口を開けた。 その姿がおかしくて、可愛くて。 莉央は思わず笑ってしまう。「笑うな」「すみません」「後で覚えてろ」「元気になったらですね」 すると慧は少しだけ目を細めた。 莉央の温かい気持ちと一緒に、慧はたまご粥を平らげた。「ありがとう、莉央」「いえいえ。早く良くなってくださいね」「うん……じゃあ、こっち」 ポ
Last Updated: 2026-08-25
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