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南野雪花
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Novelas de 南野雪花

婚約者を寝取った悪役令嬢と、なぜか仲良くなってしまいました

婚約者を寝取った悪役令嬢と、なぜか仲良くなってしまいました

マルグリットは婚約を破棄されてしまう。 婚約していた騎士のロベールが出世したため、家柄が釣り合わなくなったから、という、しごくまっとうな理由だ。 もう男など信じられないと落ち込むマルグリットの前に現れたのはレオン。白騎士の称号を持つ青年騎士だ。 自分を捨てたロベールよりはるかに地位の高い人物から差し伸べられた手に戸惑いつつ、交流を深めていくマルグリット。 そんな二人の前に、次々とトラブルが降りかかる。 さらに、婚約者を奪ったはずの伯爵令嬢まで接近してきて……。
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Chapter: 第15話 私が騎士ですか!?
 玄関に駆けつけると、悪漢扱いされていたのはレオンだった。 子供たちに囲まれてぽすぽすと叩かれている。「ああ、メグ。助けてくれ。小さな勇者たちに倒されてしまう」「仕方がないですね。魔王とは倒される宿命なのです」「なんだと! 俺は簡単にはくたばらんぞ!」 両腕を振り上げ、ゴォンゲェェ! などと謎の威嚇をする白騎士。 子供たちが、わー、きゃー、くわれるー、と笑いながら怯えて逃げていった。「魔王というか大怪獣みたいでしたね、レオさま」「なんとなく、もうなんでも良いような気がしてきた」「それにしても、もうちょっと叫び声はひねった方が良いと思いますけどね。権化ってなんですか。権化って」「とっさにそれしか思いつかなかったんだよ」 バカ話をしながら食堂にレオンを誘う。 普段ならもう少し遅い時間にくるはずなんだけとね。 主におやつの残りを食べるために。「今は公務だから供応は受けられないんだ。メグを迎えにきた」「逮捕ですか? なにも悪いことはしてないはずなんですが」 肩をすくめて私はエプロンを外す。 騎士が迎えにくるなど吉事とは思えないが、拒否するということもまた不可能なのである。「家によって、礼装に着替えてくれ」「礼装?」 それはつまり貴人と会うという意味だ。 しかも私的にではなく、公式のものとして。「なんなんです? いったい」「一応は朗報なんだけどな。俺自身がまだ戸惑っている」「というと?」「叙勲だ。メグを準騎士とすると勅命がおりた」「はいぃぃ!?」 素っ頓狂な声をあげてしまう。 いやいや。 いやいや、いやいや。 あなた、なにをおっしゃってますの?「勅命て……」 トゥルーンは王国だから、王様の意思というのはすべての法律の上に佇立する。 女性が騎士叙勲という前代未聞なできごとも、王様がやれといったら臣下は粛々と実行しなくちゃいけないんだ。「いいんですか? それ」「準騎士だからな。大臣たちからも反対の声はあがらなかった。むしろ、この人気に便乗すべしって声が大きかったな」 微妙な表情でレオンが閣議の様子を教えてくれる。 騎士位としての格式は同じだけど、準騎士と騎士はけっこう違う。まず準騎士は一代限りのもので、子供とかが相続することはない。 なので、貴族の一員であることには違いがないんだけど、むしろ純粋な武人っ
Última actualización: 2026-07-21
Chapter: 第14話 騎士の中の騎士
 その後、ちょっと有名になったスリール商店街は人でごった返すこととなった。 ただまあ、話題に乗っかって訪れた人がほとんどなので、この人たちをどう定着させるかってのは、店主たちの腕の見せどころだろう。 私たちの仕事は成功したといって良いんじゃないかな。 そこは良い。 まったく問題ない。「どうして、私が主役みたいに扱われてるんでしょうか……」 絵入り新聞を眺めげっそりとため息をつく。 なんかね、私の侠気にうたれた伯爵令嬢や白騎士、十四騎士が協力を申し出たってことになってるんだよ。「|騎士の中の騎士《ナイトオブナイツ》。いいなあメグ。俺もそんな風に呼ばれてみたいぞ」「もう! からかって!」 ニヤニヤと笑うレオンにふくれっ面をしてやる。 そしたらなんと頭を撫でられた。 一応は恋人同士ってことになってるんだから、そういう親子みたいな扱いはどうかと思うんですよ。「むう……」「新聞は嘘を書いてるわけじゃないさ。俺だってイヴォンヌ嬢だって、ついでにロベールだって、メグがいたから動いたわけだしな」 うん。ロベールの扱いが微妙に悪いけど、それは事実だ。 事実ではあるんだけどさ。 私じゃあ主役として弱い。 伯爵令嬢や白騎士みたいな、誰にでもわかる権勢の象徴っぽい肩書きがないからね。「これじゃあ宣伝の効果が薄いかもしれませんね」「そうか? 俺はそうは思わんぞ」 にやりと笑う白騎士だった。※※※※ そしてレオンの予想は的中する。『スリール街の奇跡』と名付けられた歌物語は吟遊詩人たちによってうたわれ、すごく人気になった。「世の中、なにが流行るかわからないものですよね」「そう? すごく大衆が好みそうなストーリーラインだと思うわよ」 私の慨嘆にポレットが笑う。 ぜったいに面白がってますよね? 託児所での奉仕活動のときにも『スリール街の奇跡』は大いに話題にのぼった。 もう、子供たちも騒ぐ騒ぐ。「さすがは、俺の豆ぐりっとだぜ」 とか。「まんまるぐりっとは僕が育てた」 とか。 くだらないことを言う年長組の子たちは、こめかみぐりぐりの刑に処しておいたけどね。 ともあれ、人々が好むような話の筋に変えられた事実である。 ベルトランは私の家庭教師のひとりだったわけだが、奉公人だったという|設定《・・》に変わった。私の家でお菓子作りの修行
Última actualización: 2026-07-20
Chapter: 第13話 やだ、悪役令嬢が正義を語ってる……
 お祭り騒ぎになった。 スリール通り商店街に貴族の令嬢がやってくるのは初めてのことで、しかも王国の四騎士の一人である白騎士のレオンと、十四騎士の一人であるロベールまで一緒なのである。 商店街を挙げての大歓迎という話に発展してしまった。「これもお嬢様の狙い通りですか?」 来訪前日、打ち合わせにきた私に疲れた笑顔を見せるベルトランだ。 けど、疲れの種類がこないだとはまったく違う。「狙ってこれをやったなら、私は天下の大軍師になれるよ。でも、案外イヴォンヌさまはすべて計算してる可能性があるかもね」 端倪すべからざる、という言葉通りのお方なのだ。 胸に抱えた野心の量も、才覚も、行動力も、とにかく規格外すぎる。「イヴォンヌ嬢が男に生まれていたら、大臣の座に駆け上がるか、危険視されて粛正されるか、あるいは王国に反旗を翻して独立勢力を興すか。なにかとんでもないことをやらかしただろうな」 とは、私の家にきたイヴォンヌが帰った後、レオンが漏らした言葉だ。 かなりの線で私も同意見。 そしてもし私も男だったなら、喜んでその旗の下にはせ参じただろう。 人格的な求心力も桁違いだから。 女で良かったとレオンは言ったが、私としてはイヴォンヌが男に生まれていたらなあって思いの方が強いよ。 ぶっちゃけロベールにはもったいなさ過ぎる。「歓迎会は、本当にうちの店なんかでいいんですか?」 ベルトランの言葉で、私は意識を現実に戻した。 目の前に置かれた紙には当日の予定が書き込んである。 商店街の入り口からゆっくり四人で散策して、すべての店に声をかけ、いくつか店で試食や試着をする。 そして商店街が主催する歓迎会に出席するという流れだ。「アルブルを救うのが私の目的だもの。ここが一番目立たないとだめなの」「恐縮です」「師匠の為だもの」「もうお嬢様の方が、私より腕が上なんじゃないですか」 そんなことを言って笑い合う。 私がベルトランからお菓子作りを習っていたのは十二、三歳の頃だからね。さすがにあの頃より腕はあがっているよ。 託児所の子供たちもレオンも大絶賛してくれるしね。 でも、専門家に勝てるほどじゃない。「当日の様子は、吟遊詩人が王都の広場で歌う手はずになってるから」 絵入り新聞の取材ももちろんあるが、私が注目したのは吟遊詩人だ。 噂話と同じ速度で伝播
Última actualización: 2026-07-19
Chapter: 第12話 ライバルと親友は同じ意味なんだってさ!
「そもそも、どうしてうちをイヴォンヌさまが知ってるんですか……」「ロベールから聞き出したわ」 うっわこの女、最悪だ……。 私を捨てたロベールがどうなろうと知ったこっちゃないんだけど、元婚約者の家を吐かされるというのは、なかなかの苦行だったろう。 同情する気はないんだけどね。 いい気味だ。 じゃなくて、無茶なことをする令嬢である。「顔に出てるわよ。メグ」 くすくすとイヴォンヌが笑った。「本当はロベールも連れてくるつもりだったの。どういう婚約の解消の仕方をしたのかまでは聞いてないのだけれど、もし失礼なことを言ったのなら謝った方が良いんじゃないかと思ってね」「いえ、べつに失礼ってことはなかったんですよ。家柄が合わなくなったから婚約を取りやめようって言われただけですから」 悔しかったけどね。 十四騎士も騎士も、騎士は騎士じゃないかと言いたかったけどね。「さすがに気まずいんでそれだけは勘弁してくれっていうから同行してもらわなかったけどね」「それは良かったです」 私だって、どんな顔してロベールに会えば良いか判らない。 まして、今の恋人であるレオンと顔を合わせるのは、幾重にもばつが悪いだろう。 そう思ってレオンの方を見たら、イヴォンヌを案内してきた我が家の使用人とともに退室しようとしていた。「どちらへ? レオ様」「いや、邪魔するのも悪いし帰ろうかと……」 目が泳いでる。 こいつめ……。「邪魔だなんてとんでもない」 にこにこと笑ってみせる。 逃がすかよ。「どうぞお座りくださいな」「いや……」「お座りなさないな」「……はい」 諦観しきった顔って元の席に戻るレオンだった。 やりとりを、イヴォンヌが吹き出す寸前の表情で見守っている。 私は使用人に三人分のお茶とお菓子を用意するよう頼み、イヴォンヌと向き合った。「歓待してくれるってことは、わたくしもあなたたちの計画に噛ませてもらえるってことでいいのよね」 ため息をつき、私は頷いてみせた。 ここまできて知らぬ存ぜぬは通らないだろう。「計画ってほどのものじゃないですけど、いつ気がついたんですか?」 今回の件で私のところまでくるというのは、尋常な推理力じゃない。 白の騎士団と、ヤクザ者と、商店街と、私。 これらが一本に繋がらないといけないわけだからね。「半分はロベール
Última actualización: 2026-07-18
Chapter: 第11話 次の一手は
「もうちょっと平和的な解決法はなかったんですか? レオ」 戦勝の報告にうちまで来てくれたレオンを応接間に案内しながら私は苦笑する。 アルブルで俺に任せろと胸を叩いてから、ものの数日で商店街の立ち退き問題を解決してみせた白騎士だ。 それ自体はすごく良いことなんだけど、やり方が武断的というか大げさというか。 盗賊団のアジトを精鋭部隊で急襲して一網打尽とか、話を聞いたときにあんぐりと口を開けちゃったものである。「充分に平和的だと思うぞ、メグ。ヤクザども以外、誰も傷つかない最高の一手じゃないか」 一般人の被害はゼロ、騎士団も軽傷が数人いただけで実質的な損害はゼロのパーフェクトゲームだった。 反対に盗賊団の方はチンピラが二十名以上殺され、主だった幹部は処刑場の露と消えた。 さらに、取りこぼしは盗賊ギルドが始末を付けたらしい。 王国政府へのけじめとしてね。「皆殺しのどこが平和的なんですか。あの程度の連中、軽く脅してやるくらいでおとなしくなったのでは?」「表面上はな」 人の悪い笑みを浮かべる白騎士さま。 軍学校なんかでしばしばおこなわれる弱い者いじめなどと一緒なのだそうだ。教官が叱ればそのときはおとなしくなる。 反省もしてみせる。 しかし、目の届かない場所で継続的におこなわれるし、むしろより陰湿になっていくものらしい。 私は学校というものに通ったことがないからよく判らないが、そういうものなんだろうか。 で、この場合も同じ。 白騎士が一喝すればチンピラどもは震え上がって、もうしませんので許してくださいと地面に頭をこすりつけるだろう。 そしてレオンが帰った後、ふたたび営業妨害を始める。 今度は自分たちの仕業だとバレないように。巧妙に、狡猾に。「具体的には悪い噂を撒いたり、仕入れ業者を脅したりだな」 唇をゆがめてレオンが説明を続ける。 こういう嫌がらせって、守る側がはるかに大変なのだ。 嘘八百の悪評ですら、流されたら評判が傷つく。 辛抱強く守り続けたとしても、いつしか商店街には人が寄りつかなくなってしまう。「それでは結局店をたたむことになるからな。できるだけ早く始末を付ける必要があったんだ」「すごいですね、理に適っています」 彼の理路整然とした説明に私は深く頷いた。 チンピラは反省なんかしないし身を改めることもない。だから徹底
Última actualización: 2026-07-17
Chapter: 閑話2 悪役令嬢の悪だくみ
 ある日、ダウンタウンの裏を仕切っている盗賊団のひとつが壊滅した。 突如として本拠地を包囲され、問答無用に攻撃されたのである。 しかも王都守備兵ではなく、正規軍の最精鋭部隊のひとつである『白の騎士団』によって。 圧倒的な戦力差に戦闘と呼べるような事態にはならなかった。ただの駆除である。 頭目をはじめとした幹部たちは瀕死の状態で捕らえられ、即決裁判の後に首を晒された。 それ以外の小者はその場で斬り捨てられた。 罪状は、騎士家と縁のある商店街に手を出したことである。 知らなかった、では済まされない。 無頼漢ごときが軽々に触れて良い領域ではないし、王国政府としても無原則に寛大な笑顔で許してやることはできないのだ。 そして王国の四翼と呼ばれる精鋭部隊のひとつが動く。 このような事態を招いてしまったことに関して、盗賊団を束ねる盗賊ギルドから秘密裏に謝罪があった。 これを王国側が受け入れ、この件は手打ちとなったのである。「どう思いますか? ロベール」「民は快哉を叫びました。歓楽街なんか作るために善良な人々を苦しめていたヤクザ者が一網打尽にされたのだから当然でしょうね」 婚約者の問いかけに、十四騎士の一人であるロベールは薄く笑った。 じつにわかりやすい構図だ、と。「で、本音は?」 イヴォンヌもまた笑っている。 自分では邪悪だと信じている顔だということをロベールは知っているが、口に出すと怒られるので何も言わなかった。「助けられた商店街のなかにベルトランの店がありました。となると真相が透けて見えてくるかと」 独自に集めた情報に彼自身の解釈を交えて披露する。 ベルトランというのは、かつてルグラン家で家庭教師をしていた。 ロベールの元婚約者が菓子作りを学んでおり、しかもよく懐いていたことを彼はよく憶えている。 そういう人物がヤクザ者に苦しめられているとき、黙って見ているようなマルグリットではないことも、よく知っているのだ。 良くいえば義理堅く筋を通す性格であり、悪くいえばお節介な娘である。 窮地の知人を助けるために、一肌脱いだことは疑いようもない。「ただ、白騎士どのの力を借りて、という部分に少し違和感を憶えますが」 騎士団で本拠地を急襲するなど完全に武人の発想だ。 つまりこれは白騎士レオンの作戦だろうこと、疑う余地もない。 とな
Última actualización: 2026-07-16
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