Twisted Cravings

Twisted Cravings

last updateLast Updated : 2026-08-11
By:  Tyna MorrinOngoing
Language: English
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Twisted Cravings is a collection of dark, provocative stories where forbidden attraction, dangerous choices, and complicated desires collide. Behind every closed door lies a secret. Behind every temptation is a reason to walk away… and a reason to stay. From forbidden connections to powerful figures who challenge every boundary, each story explores the darker side of longing, obsession, and the choices people make when desire battles against reason. They are complicated. They are irresistible. They are the kind of temptation you know you shouldn’t want… But can’t stop thinking about. Enter a world of forbidden desires, twisted emotions, and unforgettable cravings.

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Chapter 1

Part 1— A~♡HOSTEL MATE( Hot Ryan.)

夫の南条怜司(なんじょう れいじ)が、ある夢を見た。

夢の中で彼は、会員制ラウンジで働く女性スタッフのために藤崎千夏(ふじさき ちなつ)を裏切り、彼女を傷つけるようなことを、次々としてしまうのだという。

それを聞いた瞬間、千夏の胸が理由もなく、ちくりと痛んだ。

けれど、それは本当に一瞬だけだった。すぐに平静を取り戻した千夏は、笑って怜司をからかった。

「それで?」

「それで?」

怜司は千夏を腕の中に閉じ込め、恨めしげに彼女の耳を軽く噛んだ。

「それで君は、俺が気づかないうちに離婚協議書にサインさせて、気づいたときにはもう、どこにもいなくなってたんだ!」

怜司は、口では「そんなことが起こるはずのない悪夢だ」と言いながらも、自分の手元に回ってくる書類を一枚残らず細かく確認するようになった。とりわけ、千夏から渡されたものには念入りだった。

友人たちと集まるのが何より好きだった、あの会員制ラウンジにも二度と足を運ばなくなった。女性スタッフとは徹底して距離を置いた。

真夜中に突然飛び起きることもあった。千夏が何事もなく眠っている顔を見て、ようやく安心し、また眠りにつくのだ。

怜司はひどい分離不安に陥り、一時期はカウンセリングを受けなければならないほどだった。

千夏は呆れるやらおかしいやらだったが、怜司に少しでも安心してもらうため、自分も以前より彼を好きで、彼を頼っているように振る舞った。

やがて、あの夢のことは二人の記憶から薄れていった。

怜司が援助している、あの女子学生が現れるまでは。

……

四度目の結婚記念日。

本来なら、二人で盛大に皆から祝福を受けるはずの日だった。

だが千夏は記念日のケーキを食べたあと、アナフィラキシーを起こした。原因は、そのケーキが、彼女にとって重度のアレルゲンであるマンゴー味だったからだ。

白いワンピースを着た森野茉莉(もりの まり)は、病室の隅に追いやられるように立ち、不安そうに怜司を見つめていた。

「申し訳ありません、南条社長。わざとじゃないんです……

マンゴーなんて、田舎で育った私たちにとっては、めったに口にできない高級品で。毎年一度だけ、弟が食べ終えた種の周りに残った果肉を少しもらうくらいしかできませんでした。こんなにおいしいものにアレルギーがある人がいるなんて、本当に思いもしなくて……」

誰もが、茉莉はお終いだと思った。

以前、あるレストランのシェフが、うっかり千夏のデザートに小さなマンゴーの角切りを二粒入れてしまったことがあった。千夏はそのデザートを口にしてすらいなかった。

それでも怜司は厨房に乗り込み、そのシェフを引きずり出して殴りつけた。

それから間もなく、そのレストランは海都から姿を消した。

皆が茉莉の行く末に息をのんでいた、そのときだった。

低く抑えた男の声が響いた。

「千夏、茉莉はわざとやったわけじゃない」

「え?」

病床の千夏を含め、その場にいた全員が固まった。千夏は信じられない思いで口を開いた。

「私はショックで死にかけたのよ。それなのに、わざとじゃないって言うの?」

怜司の体が、ほんのわずかに強張った。彼は困ったようにため息をついた。

「ただ、どうでもいい人間のせいで、俺たちの記念日を台無しにしたくないだけだ。今は、どうするつもりだ?」

「もちろん、彼女を解雇して」

千夏は冷たい顔で言った。胸の奥で、怒りがじわじわと熱を帯びていく。

茉莉の顔から血の気が引いた。

「社長、私……」

怜司は茉莉を一瞥もしなかった。甘やかすように千夏の髪を撫で、優しい声で言った。

「分かった。全部、君の言うとおりにする。会社でまだ用があるんだ。あとでまた顔を出す」

病室を出る直前、彼はうつむいたままの茉莉に目を向けた。

「君は戻って、退職願を書け」

茉莉がしおれたような背中で去っていくのを見て、友人たちは口々に羨ましがった。

「びっくりした。怜司があの子を見逃すつもりなのかと思ったよ。なんだ、冗談を言っただけだったんだね」

「この森野茉莉って子、解雇だけじゃ済まないでしょ。怜司なら、この街で二度とまともに働けないようにするはずだよ。せっかく田舎から出てきたのに、これで人生終わったね」

千夏は友人たちに合わせて笑った。

けれど胸の内には、不安がじわじわと広がっていた。

そのとき、スマートフォンが鳴った。

怜司からのメッセージだった。

【今夜、『ナイトカラー』で会おう】

目ざとい友人がそれを見つけ、笑いながらからかった。

「怜司って本当に気が利くね。きっと記念日をやり直してくれるつもりなんだよ」

千夏は少し照れた。同時に、さっき感じた違和感はただの気のせいで、自分が少し心の狭いことを考えてしまっただけなのだと思った。

夜、千夏は「ナイトカラー」へ向かった。

扉を開けようとしたそのとき、彼女の目に飛び込んできたのは――

解雇されるはずだった茉莉が、満面の笑みで怜司の隣に座っている姿だった。茉莉の前には、マンゴー味のスイーツがテーブルいっぱいに並べられていた。

「怜司さん、奥さんには茉莉を解雇するって約束したんでしょう?解雇していないどころか、社長特別補佐にまで昇進させたって知られたら、奥さんが騒いだとき、どうするんですか?」

千夏はドアノブを握る手に力を込めた。

その言葉とともに、胸が深く沈んでいく。

怜司は甘やかすように茉莉の髪を撫で、落ち着き払った声で言った。

「千夏に知られることはない。君たちも余計なことは言うな。茉莉は純粋だから、千夏の前で騒いだりもしない。茉莉は大学を卒業してすぐ俺についてきたんだ。これ以上、つらい思いはさせられない」

千夏の顔から、一瞬で血の気が引いた。

茉莉が大学を卒業したのは一年前。

つまり一年前にはもう、怜司は彼女を裏切っていたのだ。

千夏は口を開いた。けれど喉を何かにきつく締めつけられたようで、唾を飲み込むことさえ苦しかった。

友人の一人が口を閉じる仕草をしてから、それでも堪えきれずに尋ねた。

「でも怜司さん、怖くないんですか……前に見たあの夢が、現実になることが」

その一言で、賑やかだった部屋は一瞬にして静まり返った。

怜司の端正な顔立ちは暗がりに沈み、指先の煙草の火だけが明滅していた。

茉莉は頃合いを見計らったように、おびえた不安そうな表情を浮かべた。けれど入口に立つ人影を見た瞬間、その唇にかすかな笑みをのせた。

茉莉はマンゴーケーキをひとさじすくい、怜司の口元へ差し出した。怜司は顔を下げてそれを口にし、勝ち誇ったように笑った。

「あれはただの夢だ。

茉莉は、夢に出てきた偽善的で性根の腐った女性スタッフじゃない。俺も、夢の中のように何の備えもしていなかった俺じゃない。

夢の中では、千夏が離婚成立後に実家に匿われた。だから俺は一時的に手が出せなかっただけだ」

「でも、もし……千夏の実家が破産したら?」

「後ろ盾を失えば、千夏は二度と俺のそばを離れられない」

シャンデリアの光が、怜司の瞳に宿る決意と残酷さを照らし出した。彼はゆっくりと、美しい煙の輪を吐き出した。

「それに、君たちは千夏がどれほど俺を愛しているか知っているか?

あの夢のことを正直に話したあと、千夏は前よりずっと俺に甘えるようになった。前よりずっと俺を愛するようになった。誰よりも、あの夢が現実になることを怖がっていた。

そんなにも俺を愛している千夏が、俺のほんの一時の気の迷いくらいで、俺のもとを去るはずがないだろう?」

その言葉に、友人たちは羨ましさを隠せず、笑いながら彼をからかった。

「やっぱり愛されてる側は強いな!」

千夏は扉の外に立っていた。

胃の奥から、すべてがこみ上げてくるようだった。

彼女はよろめきながら外へ出た。心臓はまるで凍りついた湖のようで、外へ向かって一歩踏み出すたびに、誰かに穴を穿たれ、ひび割れが広がっていく音が聞こえる気がした。

そのとき千夏はようやく気づいた。

この「ナイトカラー」こそ、怜司が夢を見て以来、近づくことさえ避けていたあの会員制ラウンジだったのだ。

今、彼はまたここへ戻ってきた。

千夏は魂の抜けた人形のように、目的もなく街を歩き続けた。

気づけば、自分の実家へ戻っていた。

両親は彼女の真っ青な顔を見て、ぎょっとした。

「千夏、今日は記念日のお祝いに行くんじゃなかったのか?まさか怜司のやつに泣かされたのか?」

千夏の母は、思わず怜司をかばった。

「変なことを言わないで。怜司は当時、私たちを安心させて千夏を嫁がせるために、前もって離婚協議書にサインまでしてくれたのよ。あの子が千夏を怒らせるわけ……」

「離婚協議書?」

千夏は夢から覚めたように顔を上げ、切迫した声で言った。

「お母さん、今すぐそれを見せて!」

最後のページに、見慣れた筆跡で書かれた「南条怜司」の四文字を見た瞬間、胸につかえていた石がようやく落ちた。

同時に、その石は彼女の胸に大きな穴を穿った。

押し寄せる巨大な悲しみに、千夏は今にものみ込まれそうだった。けれど彼女は深く息を吸い込むと、自分の名前を書いた。

彼女と怜司は、やはりこの結末へたどり着いたのだ。

千夏は協議書を弁護士に確認してもらい、有効であることを確かめてから、両親に事の一部始終を話した。そして二人をなだめながら、決断を下した。

「会社はもともと海外市場の開拓を進める予定だったわ。資産をそのままM国へ移しましょう。10日後に離婚が成立したら、すぐに引っ越すの」

怜司が自ら、夢と同じ道を歩き始めたのなら。

彼女は一歩ずつ、この悪夢を現実にしてやる。

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