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第4話

Autor: ベーグル
ルカは鼻で笑い、絶対の確信を滲ませた声で言った。「愛想を尽かされる?エラーラの最大の賭けは、俺に人生を懸けたことだ。心配するな。あいつが俺から離れられるはずがない。なにせあいつには俺しかいない。それ以外には何もないんだからな」

手にした銀のトレーが、かすかに傾いた。

熱い薬湯が数滴、手の甲に跳ねる。

白い肌に赤い痕が浮き上がった。

私はしばらくそのまま立っていた。赤く腫れ上がり、徐々に水ぶくれになって、ようやく痛みを感じた。

それが手の痛みなのか、胸の痛みなのか、分からなかった。

銀のトレーを持ち直し、廊下の突き当たりへと向かう。

そこには、ルカが最も大切にしているチューリップの鉢植えがあった。オランダの古い貴族の庭から掘り起こしたという、由緒ある花だ。

手首をそっと傾け、三時間かけて煎じた薬湯をそのまま土の中へ流し込んだ。

ちょうどそこへ、ミアがヤスリで削って台無しにしたメダルを、指先で見せびらかすように揺らしながら近づいてきた。

私が薬湯を流す様子を見つめ、口元に勝ち誇った笑みを浮かべる。

「エラーラ、ルカが言っていたの。主寝室の方が日当たりがいいから、体にいいって。兄が死んでから、ずっと心臓が弱くてね。今夜中に移るように言われたわ。荷物をまとめて部屋を空けておいてもらえると助かるんだけど」

私がベリーニ家の主寝室に住んで、五年になる。

ベッドサイドの壁には、ルカと私が初めて二人で撮った写真がまだ飾られている。ベッドも、化粧台も、床板でさえも、あの頃の激しい時間の名残を刻んでいた。

私は私の居場所を奪い取ろうと野心を燃やすミアの顔を見て、はっきりと頷いた。

「分かった。すぐに片付ける」

主寝室に足を踏み入れ、高価な調度品には指一本触れなかった。金庫の中の無数のダイヤモンドにも見向きもしない。

古びたトートバッグを引っ張り出し、着替えを数枚と、金庫の最奥に隠してあった身分証明書を放り込んだ。

記憶が戻って以来、ずっと手元に置いていた本物のパスポート――ロッシ家の後継者としての、本当の私の名前が刻まれたもの。

ポケットの中で暗号通信用の端末が震えた。

兄からのメッセージが画面に浮かぶ。

【「孤児のエラーラ」の戸籍と身分情報の抹消手続きを開始した。完了すれば、その人物は存在しなかったことになる。本名で、過去を捨てて、まっさらな状態で家に帰っておいで】

バッグのファスナーを閉め、持ち上げて、主寝室を後にした。

向かったのは、邸宅の北側にある人目のつかない物置部屋だ。

日の光がほとんど差し込まない場所で、空気には錆とカビの刺さるような臭いが染み付いていた。

それでも、誰にも邪魔されない。それだけで十分だった。

隅に置かれた狭いシングルベッドにバッグを放り、部屋の中にはそれ以上手をつけなかった。

脱出まで、あと十二時間。

夕暮れが近づく頃、コルヴォーナに雪が降り始めた。

ルカが闇市場での武器取引を終えて邸宅に戻ってきた。外の凍てつく寒気を全身にまとったまま、苛立たしげにネクタイを引き緩め、部屋を見渡す。私の姿がないと気づいて、眉を顰めた。

青ざめた顔で震える執事が報告した。「ドン、ドンナが本日の午後、北翼の物置部屋に移られました」

ルカの険しい表情が、今度は怒りに歪む。

長い廊下を大股で突き進み、物置部屋の扉を蹴り飛ばした。

扉が壁に激突し、轟音が響く。私は窓にもたれて雪を眺めていたが、音に振り返った。

近づいてくる彼を見つめる。燃えるような目で薄汚い部屋を一通り見渡したルカの視線が、鉄製のベッドに投げたキャンバス地のバッグへと落ちた。

「エラーラ、今度は何のつもりだ」

低く、刃のような声だった。

「ミアが主寝室を選んだからといって、使用人部屋に転がり込む許可を誰が出した?俺の顔に泥を塗りたいのか?」

私は窓枠から腰を上げ、真っ直ぐに彼を見返した。

「他のゲストルームは全部、ミアさんの荷物で埋まっていたの。空いていたのがここだけだった。どこで寝ても、私は構わない」

静かな受け答えが、ルカをとうとう限界まで追い詰めた。私の手首を掴む力は、悲鳴を上げそうになるほど強かった。

揉み合いになった拍子に、カシミヤのセーターの袖がめくれ上がった。前腕に刻まれた、銃弾を受けた醜い傷跡があらわになる。

三年前の街での暴動。彼を突き飛ばして庇い、本来なら彼の心臓を貫いていたはずの弾丸を、この腕で受けた。

あのとき私は血を流しすぎて、医者の手術台の上で死にかけた。

なのに今、ルカはその傷跡を見つめていた。労わりの欠片もなく、ただ制御を失った怒りを滾らせた目で。

「その傷を見せて、同情を引こうというのか?昔みたいに抱いて宥めてもらえると思っているのか。今日の午後、ミアはキッチンでお前に出くわして、その傷跡を見て怯えて食事が喉を通らなかったそうだ。

明日から邸宅の中ではその腕を隠せ。どうしても隠せないなら、しばらく裏の旧使用人棟に移れ。ミアの目に入るな」

残酷な言葉で私を打ちのめし、どれほど落ちぶれたかを思い知らせようとしている。赤く腫らした目で縋りついてくるのを待っているのだ。

傲慢にも、私が折れるのを、跪くのを待ち構えていた。

おそらくルカ自身も気づいていなかった。怒鳴り終えた自分の手が、小刻みに震えていることを。

エラーラの腕の傷跡は、まるで目に見えない手のように彼の心臓を締めつけ、息を詰まらせ続けた。それでもなぜか、残酷な言葉が止められなかった。

そして私は、制御を失った怒りに歪むその顔を見つめながら、深い静けさを感じていた。

心はとうに燃え尽きた灰だった。波紋の一つも立たない。

私は言い返さなかった。言い訳もしなかった。以前のように泣きもしなかった。

手を引き戻し、かがんでキャンバス地のバッグを拾い上げる。

「分かった。今すぐ行く」

バッグを手に彼の横を通り過ぎ、真っ直ぐ扉へと向かった。

ルカがついに爆発した。

期待していた涙も懇願も、返ってこなかった。私の静かな背中が、彼の目には最大の反抗に映ったのだ。

彼は大股で追いすがり、バッグをひったくり、邸宅の重い正面扉を勢いよく開け放つ。

凍てつく吹雪が、玄関ホールへと吹き込んできた。

ルカはバッグを膝丈まで積もった雪の中に投げ捨て、外へと指を向けた。

「エラーラ、そんなに出ていきたいなら、荷物を持ってさっさと出ていけ!二度とこの家に戻ってくるな!泣き虫のお前が、俺なしでこの吹雪の中、一晩でも生き延びられるか見てやろうじゃないか!」

私は薄いカシミヤのセーター一枚で、戸口に立った。

風が刃のように顔を切る。

振り返ると、ルカが食い入るようにこちらを見ていた。目が合った瞬間、その顔に安堵の色が滲んだ。

でも私は迷わず背を向け、吹雪の中へと踏み出した。

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