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第508話

Auteur: 小春日和
「……そうかもしれませんね」

「本当に……私の両親を殺した人物が誰なのか、ご存じないのですか?」

その問いに、佐藤茂は一瞬だけ沈黙した。だが、やがてゆっくりと口を開いた。「……存じません」

真奈は静かに眉をひそめた。そして無言のまま、佐藤茂を車まで送り届けた。運転手が佐藤茂を後部座席に丁寧に乗せる。そのあと真奈も車内に入ったが、胸の中にはなお拭えぬ疑問が渦巻いていた。

この夜は、眠れぬ夜になるだろう。

「……瀬川家の本家まで、送っていただけますか?」小さな声で真奈は言った。

「ご住所を」

真奈はスマートフォンを取り出し、瀬川家の本家の住所を佐藤茂に送信した。

それを確認すると、佐藤茂は運転手に静かに命じた。「出発だ」

「はい、旦那様」

瀬川家の本家――そこは家の決まりで、基本的には正月にしか戻ることが許されていない場所だった。父が亡くなってから、真奈は瀬川叔父の家に身を寄せ、本家には一度も戻っていなかった。

それに、そこは本家とは名ばかりで、実際に暮らした者は曽祖父の代までさかのぼる。それ以降、誰もそこに住み着いた者はいない。

真奈にとって、その場所はただの見知
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