一部の隊員はヘリの中で特殊な赤外線サーモグラフィーを装備して捜索している。その機器は生きている人間や動物だけを検知できる。奏がすでに亡くなっているなら、その装置では反応は得られない。もう一方の隊員たちは山麓の各エリアに配置され、寸分の狂いもなく地面を探している。朝から捜索が始まり、二時間ほど経ってヘリは山へ戻り、とわこを降ろした。マイクは彼女の姿を見た瞬間、理性を保てず叱りつけたくなるのを堪えた。「下は地形が険しい。峡谷や藪が多くて、人の姿は簡単に見つからない。とわこ、もし見つからなければ、彼は死ぬ。どうすればいい」彼女はめまいを感じ、頭をマイクの肩に寄せる。その体温にマイクはたちまち熱を感じた。「熱があるぞ、とわこ。命の心配はしないのか」マイクは持ってきた解熱剤を取り出し、無理やり彼女の口に押し込む。「薬を飲め。下山して休め。捜索はプロに任せるんだ。奏が生きているかどうかは君の力だけで決められるものではない」とわこは薬を飲み込み、黙ったまま涙を流し続ける。「泣くな。先に連れて帰る。熱が下がったらまた来よう」マイクは情に負けて言う。「頭が痛い……割れそう」マイクは彼女を抱きかかえ、車へと向かう。「熱があるから頭が痛いんだ。帰ってよく寝ろ。目を覚ましたら、もしかしたら奏は見つかっているかもしれない」そうとは思えなくても、マイクは取り繕ってそう言う。山で二時間周囲を見回したことで、彼はほぼ断定するに至る。奏が生存している可能性は低い。現実は小説やドラマではない。死人が生き返るような奇跡など滅多に起きない。ホテルに戻ると、マイクはとわこをベッドに運び、毛布を掛けて熱が下がるのを待つ。部屋の中を行ったり来たりしながら、彼は考える。病に乗じて彼女を連れ帰るべきかどうかを。奏はもう間違いなく死んでいる。これ以上探しても結果は得られないだろう。長引かせるよりも速い痛みを選ぶべきだという考えが頭をよぎる。誰かが厳しい役を演じる必要があるなら、それを自分が引き受けようか。病院では、今日は奏の手術後四日目だった。通常、手術後二十四時間で意識は戻る。だが四日目の朝になっても、彼は眠り続けている。この状況に剛は激怒している。朝食を済ませると病院へ向かい、院長や執刀医、担当看護師を徹底的に叱責する
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