晋太郎は何も言わないまま指で机を叩き、この件をどう対処すべきか決めかねていた。「今焦っても仕方ないよ。はぁ……こんなに苦難を乗り越えてきたのに、紀美子が問題で結婚できないかもしれないなんて」晴は嘆いた。「開けない夜はい。今はただタイミングが合わないだけだ」晋太郎は低い声で言った。「どういう意味だ?」晴は理解できなかった。「何事も始めるのにはきっかけが必要だ。今はそのきっかけがまだできていないだけ。彼女が今結婚したくないのに、無理強いするつもりはない」「いやいや」晴は言った。「結局、結婚するのか?しないのか?お前らの結婚を待ってる人間もいるんだぞ!!」「待つ」晋太郎は唇を緩めた。「……」晴は黙って考えた。つまり、自分の結婚式も延期になるってことだ。夕方、晋太郎は翔太とレストランで会う約束をした。「晋太郎、久しぶりだな」到着すると、翔太は疲れた表情で彼の前に座った。「最近忙しいのか?渡辺グループは今は安定しているはずだが」晋太郎は眉を上げて彼を見つめ、お茶を一口飲んで言った。「会社の問題じゃない」翔太は苦々しい表情で首を振った。「で、用件は?」「紀美子のことだ。彼女は心的外傷に加え、ストレス障害があるかもしれないんだ」晋太郎は言った。「大体予想はつくが、あんたが紀美子と結婚しようとして、断られたんだろう?」晋太郎の言葉を聞いて、翔太はしばらく黙ってから尋ねた。「ああ」晋太郎は湯呑みを置いた。「あんたが俺の立場だったら、どうやって彼女を説得するか聞きたい」「俺なら説得しないな」翔太は晋太郎の目を見て、真剣に言った。「彼女が出した決断を尊重する。あんたの話からすると、紀美子は婚約のことでトラウマがあり、抵抗しているんだろう?なぜ無理にストレスに直面させようとするんだ?」晋太郎は翔太に相談を持ち出したことが間違いだったと感じた。佑樹と念江が妹を甘やかしているのは、完全にこの叔父から受け継いた性格なのかもしれないとさえ思った。「つまり、あんたは彼女が結婚せずに俺と一緒にいることも許すのか?」晋太郎の表情は曇った。「お互いに愛しあっているのに、なぜいけないんだ?」翔太は言った。「あんたには今、親からのプレッシャーもないだろ
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