ゆみは手のひらを開いて見た。術印ははっきりとは見えなかったが、強烈な陽気が確かに感じられた。彼女は、深く息を吸い込むと素早く立ち上がった。その動作に、周囲の幽霊たちの視線が一斉に彼女に向けられた。視線を感じたゆみは、驚いて彼らの方へ顔を向けた。またこの感覚……!この扉から出られないかもしれないという恐ろしい感覚が、再び蘇ってきた。ゆみは、恐怖を必死に抑え、意を決して扉の方へ歩みを進めた。扉に近づくほど、周囲の陰気はどんどん強くなっていった。それに伴って、魂までもが押さえつけられるような強い感覚を覚えた。「姉さん、怖がらないで!!」「ゆみ!頑張って出てきて!あいつらは手を出せない。傷つけられることはないから!」「姉さん!僕も、兄さんたちも、高橋隊長も、みんな待ってるよ!」その声を聞き、ゆみの目からはぽろぽろと涙がこぼれ落ちた。彼女は歯を食いしばり、近くに見えるのにどうしても辿り着けない扉に向かって進み続けた。再び大きく息を吸い込み術印の描かれた手を高く掲げると、最後の一歩を踏み出した。すると、幽霊たちが一斉にゆみの方へ首を向けた。ゆみが扉に手を触れようとしたその瞬間、幽霊たちは一気に彼女に襲いかかった。陰気が迫ってくるのを感じたゆみは、手を掲げたまま素早く身体を反転させた。数体の幽霊が、もう少しでゆみの魂に触れるところだった。幽霊たちは、彼女の手のひらに満ちた強烈な陽気を宿す術印に気づくと、表情を一気に暗くした。ゆみは扉に背中を押しつけ、手探りで取っ手を探し当てると、すぐさま回した。扉を開けると、ゆみは勢いよく外へ飛び出した。その瞬間。病室で横たわったまま、ゆみはパッと目を見開き、はっと息を吸い込んだ。「姉さん!目が覚めたのか!?」ゆみが目を覚ましたのを見て、臨は思わず叫んだ。だが、ゆみはまるで彼の声が聞こえていないかのように、再びゆっくりと目を閉じてしまった。臨はひどく混乱し、慌てて市子の方を見た。市子は穏やかに言った。「大丈夫よ。この子はただ疲れてるだけ。今はゆっくり眠らせてあげなさい」その言葉を聞いた臨は、ようやく胸を撫で下ろした。「私たちは出ましょう。ゆっくり休ませてあげないと」臨は黙って頷き、市子の腕を支えながら病室を後にした。
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