Semua Bab 闇属性は変態だった?転移した世界でのほほんと生きたい: Bab 41 - Bab 50

80 Bab

必需品が多すぎる

 レストランを後にした俺は、先日サボンを購入した雑貨屋へと立ち寄った。 店内を見回してみると、欲しかったものを発見した。歯磨き問題を解決するものだ。 この世界での口腔ケアは、細い糸で歯の隙間の歯垢をとり、目の細かい布で歯の表面を拭いて、最後にペパミンというミントのような香りの葉を乾燥させた清涼剤を噛む。 ガムのように咀嚼すると、殺菌作用のある清々しい香りのエキスが口の中に広がるので、唾液と混ぜてぐちゅぐちゅとうがいをし、吐き出す。 糸が30本に、布が5枚、ペパミンがこんもりの虫歯予防セットで大銀貨1枚だった。 他にも部屋を掃除するための雑巾とホウキを買い、桶は洗体用と掃除用に大と中サイズのものを購入し、全部で大銀貨12枚を支払った。 両手に抱えるほどの荷物になってしまったので、一度宿に戻り、荷物を部屋にしまった。大通りから宿への移動が大変なので、近日中に別の宿に引っ越そうと思う。 カバンの中にスコップとナイフがある事に気づいたため、冒険者の店へと向かう。ついでにギルドにも立ち寄る事にしよう。 冒険者の店に着くと、前回見なかった2階を覗いてみる事にした。 金属製の胸当てがついた皮の鎧や、魔法使いが持っていそうな木の杖、今の俺では扱えなさそうなツヴァイハンダーと呼ばれる両刃の巨大な両手剣など、異世界を感じさせる様々な装備が所狭しと並んでいた。(圧巻だなぁ、これは) 黒曜石の短剣を手に取るとずしり重く、ダガーのような刃先は俺の顔が映るくらい丁寧に研がれていた。恐る恐る値段を確認すると、金貨2枚の文字が。「うん、見なかった事にしよう」 防具をつけても弱くなるし、スキルのバフを考えると、武器もよほど高価なものでないと宝の持ち腐れになってしまう。 属性の力を強めるような装備が無いか探してみたが、どうやらここには無いようだ。諦めて1階に戻る。「すみません、売りたい物があるのですが」「はい、承りますよ」 木製のスコップと骨のナイフを手渡した。「かなり綺麗ですね、未使用と言われても分からないくらいだ。二つで銀貨3枚ですね」 元が安かったしそんなもんだろう、問題ないとばかりに売り払った。そういえば、素材を入れる袋が欲しかったんだ。ついでに水筒みたいなのがあれば買いたいな。「モンスターの素材を入れる袋と、水を入れる容器が欲しいんですが」「こちらへ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-25
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思考の渦

「先程の素材カバンでしたら、このタイプはいかがでしょう」 瓢箪を手渡された。このタイプは保温性が高いので、中の水が長時間冷たいらしい。見た目より軽く、くびれに巻かれた紐を素材カバンにつければ、持ち運びも苦ではない。 洗う時は、ペパミンをすり潰し水に混ぜた物を中に入れる。嫌でなければ、ペパミン水として飲んでもいいらしい。 大銀貨3枚を支払い購入した。今日の買い物はこれで終了だ。店員さんにお礼を言って店を出た。「さて、今日の目標は達成したな。依頼の結果は出てるだろうか?」 ギルドに入るとアンネさんの姿が見えた、ティーダさんもいたが、昨日馬鹿にされたので見えてないことにする。   「アンネさんこんにちはー。指名依頼を受けていたのですが、結果はでてますかね?」 「あらヨールさん、今日も元気ですね。プレートをお預かりします」 プレートを渡すと、アンネさんが確認してくれた。すると、驚きを露わにし、「まあ、ヨールさん凄いです、追加報酬があります。大変珍しいことなんですよ。全部で金貨2枚になります!」「えー! ご飯食べただけですよ!?」「素晴らしい評価を頂いています、階級があがりましたよ。それと、また指名依頼がきてますね。王都より派遣されているミルフォン伯爵様からです」(へー、王都なんてあるんだねー……。階級アップ? 貴族からの指名依頼!?)「ど、ど、どういう事ですか? 色々ありすぎて混乱してるんですけど!」「どうやら闇属性をお持ちである事で依頼がきているようですね。明日の昼にお屋敷を訪ねて下さいね」「それってちなみに断ることは……?」「貴族様からの依頼を断るのはオススメしませんよ?」(ですよねー……。色々あって疲れちゃったよ、今日はもう帰ってゆっくりしよう) ギルドを後にした俺は、ラシードさんの店でパンを2つと木のコップ入りのレモネード購入した。コップは翌日返却だ。 レモネードに舌鼓を打ちつつ、今日あった事を頭の中で整理しながら歩く。宿に着くと、もうすっかり日が落ちていた。 部屋で壁にもたれ掛かりながら、パンを食べる。「はぁ、モンスターと戦うよりも疲れちゃったな」 慣れない一人暮らしと異世界での生活は、まだ社会を知らないヨールには大変なものであった。更に、あれこれと立て続けに起こったため、俺の頭はパンク寸前だ。 食事を終えて、さっそ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-25
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目標を立てる

 統一、言い表すのは簡単だが、やれと言われて出来るものでは無い。条件が、人族の統一であれば少しは希望を感じるかもしれないが、異なる4種族の統一となると話は別だ。(うーん、話し合い、戦争、宗教、経済、法。みんなが納得しないとだよなぁ……。戦争した結果人族のみが残りました、では統一ではなく単一化じゃない? 4つの国の人々が一体となって1つの国となる、これな気がする)「ヒューマニアは人族の国として統一されている、他の国もそうだろう。俺はなるべく命のやり取りが無ければいいと思っているから、話し合うことで和解のパターンがベストなんだけど」 その為には国の代表同士が集まる機会が必要だ。往来や貿易などのつながりを深めなければならない。(それぞれが納得する落とし所を見つけて……。国が1つになれば国王も1人だ。今まで国王として国を纏めていたのに納得する訳がない。やっぱり話し合いじゃ難しいのかなー……) 世界の歴史を見ても、統一には必ず大量の血が流れる。権力者は大きな変化を嫌い、自分の地位を保とうとする。「いや……、待てよ? そもそも国を一つにする必要があるのか? 全てがこの世界で暮らす仲間だという共通の認識が持てれば、それって統一じゃないか!?」 自分の中で1つの答えを見つけた俺は、更に思考の海に沈んでいく。 この世界では、種族間の争いが大なり小なり起こっている。  異なる種族、異なる思考、異なる姿、自分と違う物は恐ろしい、争いは恐怖から生まれると何かで読んだことがある。(みんなから畏怖を取り除かないと。その為には……。俺が有名になって、他種族と仲良くなって、架け橋となる?)「わたくし黒川夜、思いつきました……。題して! 『友達100人できるかな作戦』! 他の種族に会ってみたいしね、いいかも!」 世界を統一するのに安易な名前をつけて満足げな表情を浮かべながら、プランを練る。 1.冒険者のランクを上げ、有名になる。  2.他国に行っても殺されないよう力をつける。  3.他種族の友達を100人作る。 当面の目標を立てると、欠伸とともに眠気がや
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-26
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貴族の屋敷へ

 洗浄オイルをつけたサボンでいつもより念入りに体を擦る。いい感じにサボンも柔らかくなってきている。歯磨きは、まあ慣れないがこんなもんなのだろう。 ついでに洗濯もした。 桶に水をたっぷりと満たして洗浄オイルを入れる。その中でもみ洗いをするのだが、麻素材の服がそこまで丈夫とは思えない。 強く擦ったり固く絞ったりすると服が破けそうだったので、慎重に丁寧に揉み込むように汚れを落としていくと、すぐに桶の水が濁ってしまった。 皮脂やらホコリやらで気づかない内に結構汚くなっていたらしい。(洗ったはいいけどどこで干そう? 考えてなかった……) 同じ宿でよく見かける冒険者っぽい男が近くで洗濯をしていたので聞いてみる。目元が優しげだし、いきなり話しかけてブチギレられるなんて事はなさそうだ。「すみません、教えて欲しいんですが。洗濯物を干す場所ってありますか?」「ん? そんなもんねえよ。適当にほっときゃ乾くだろ」 彼が言うには、パンパンと音をさせて服を振り、空気中で出来るだけ水分を発散させたら、部屋の床に広げて置いておくのだとか。(変な臭いがするようならペパミンを混ぜた洗浄オイルを作ろう……。すでにかなり乾いてるようだし大丈夫かな?) 俺も床の上に広げて置いてみた。 床の汚れがついて服にこびりつかないだろうな? どうなることやら。 よし、次は買ったばかりの水筒を試してみようかな。 再び外に出て桶いっぱいに水を汲み、瓢箪を沈めて水を入れた。1リットルくらい入ったと思う。「さて、準備完了。そろそろ向かうか!」 素材カバンに瓢箪と初心者セットを括り付け、背中に背負ってミルフォン伯爵の屋敷へと向かう。 3時間くらいかかりそうなので、早足で行けば少し早めに到着出来るだろう。 街の北部にはお金持ち達が豪邸を建てており、その中で一番立派な大豪邸が伯爵様の家だという。貴族の家って奴をこの目に焼き付けてやろうかね。 北へ向かうにつれ、立派な家が増えてきた。
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-27
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別世界

「こんにちは! 指名依頼で伺いました! ヨールと申しますが、ミルフォン伯爵にお取り次ぎ願えますか? この時間に来るようにとギルドから言われたのですが」「よ、よくぞ参られた! 話は聞いている。しばし待たれよ!」 俺の姿を見るなり落ち着かない様子。  門を開けると全速力で屋敷へと走って行った。(まさか急いでる? もしかして……俺もっと早く来るべきだった!?) 鎧を着た成人男性が風になる姿を見て、いささか不安を感じる。貴族と合う時は1時間前行動が基本とか……ないよね?  ……あるの? よし、もう一人の門番に聞いてみるか。「あの、もしかして俺来るの遅かったですか?」「約束は昼の鐘が鳴ったらと聞いているが、まあそうだな。少し遅かったかな。普通はね? もう少し早く来るよね?」(あわわ。やらかしてしまったぞ。大分早めに来て客間で待ってなきゃいけないやつだ! 初手謝罪のパターンだよこれ……) 暫くすると、門番が走って戻ってきた。まるで体全体が大きな肺になったかのように、大きく肩で息をしている。  知らなかったんだ!  ごめんよ門番!    その様子を見て、別の門番が口を開く。「では、私が案内しよう。ついてくるように!」 話終わると同時に振り返り、屋敷へと物凄い勢いで走っていく。身体能力が低い俺は、トテトテと追いかける。(ダッシュだ! 時間やばいんだ多分!) 風を掻き分ける門番の後ろを必死で走るが、どんどん距離を離される。ごめんよ門番! 屋敷へ着くと、客間へと通された。メイドさんが汗を拭くようタオルを渡してくれた。ウール生地のような肌触りで気持ちいい。  すると……カラーン カラーン お昼の鐘の音と同時に執事がやって来た。  なるほど、こりゃ門番も急ぐわな。「ヨール様、ミルフォン伯爵がお待ちです。こちらへ」 通されたのは体育館ほどはある広い食堂だった。中央のテーブルには、煌びやかな衣装に身を包んだ家族がこち
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-28
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師匠

(大丈夫なのこれ……?)「食事をしながら自己紹介としようか。始めてくれ」 伯爵の合図とともに食事が運ばれてくる。 銀の食器にレースが敷かれ、その上にまた銀の食器が置かれてスープが入っている。(1つの料理に皿が2枚!?) 絶対美味しいやつだなと感じとったが、この場で騒いではいけない。落ち着け、フリじゃないぞ、絶対だぞ。 頭の中を料理の感想が次から次に駆け巡るが、必死に自制する。頑張れ俺。 その後も温野菜のサラダや肉料理と続くと、「私はこの街の管理を任されているミルフォン・ジェイクウッド。こちらは妻のルイーダ。長男で9歳のミカエルに長女で7歳のイザベラだ」 ルイーダさんは銀糸のような美しい輝きの長髪に、垂れ目でおっとりとした印象の美人だ。 ミカエル君は父親譲りのプラチナブロンドの髪を短く切りそろえ、母親譲りの垂れ目が可愛らしい。 イザベラちゃんは銀髪を肩まで伸ばし、クリクリとした大きな目と長いまつ毛が特徴だ。 2人とも大人になったらさぞかしおモテになるでしょうな。「お初にお目にかかります。シルバー2階級冒険者のヨールと申します」「ふふ、緊張せずともよい。まずは食事を楽しんでくれ」(そりゃ無理ってもんですぜ旦那……) 最後に紅茶? とデザートが出てきた。英国式のアフタヌーンティーセットのような、3段プレートの食器に焼き菓子が乗っていた。 自分の暮らしとかけ離れた目の前の光景についていけず、言われるがままされるがままで、頭の中は真っ白だ。 食事を終えると、伯爵がゆっくりと口を開く。「今回の依頼なんだが、子供達と遊んでやってほしい。これから家庭教師が来るので、魔法の授業を一緒に受けてくれればいいよ。珍しい闇属性を見たいと言うのでね」「謹んでお受けいたします」 その後俺は、執事に案内され子供達の部屋へ案内されると、ミカエル君が話しかけてきた。「ヨールと言ったな、レベルとステータスを教えろ」 流石貴族、上からきや
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-29
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あの病気

「ヨール、あなたまだまだね。全然ダメダメなのだわ。それじゃあ魔法を使いこなしているとは言えないじゃない。はぁ……先生が来たら師匠の私が教えてあげるから」 どうやら魔法を使う奥義のようなものがあるようだ。もしかすると、貴族に伝わる秘伝とかなのかもしれない。  スキルに関しては何の知識も無いので、ガキとはいえ師匠を持ったのは幸運だったかもな。楽しみになってきたぞ。「ミカエル師匠、イザベラ師匠、ご指導のほどよろしくお願いいたします」 子供相手にヘコヘコしていると、仲良く? なれたようだ。  冒険者としての仕事や、俺の魔法の事など、その後も暫く他愛のない話をしていると、扉をノックする音が聞こえた。  どうやら家庭教師の先生がやってきたらしい。「ミカエル様、イザベラ様、ごきげんよう。ヨールさんだったかしら? 私は家庭教師のナナです。よろしくね」 とんがり帽子に黒いローブ、右手には長く歪な形の木製の杖。魔法使いのイメージそのままだ。杖の先端には小さな籠があり、その中に鈍く光る魔石が入っている。(いや、そんなことより……) ナナ先生は胸が大きくて可愛らしい。そう、胸が大きくて可愛らしいのだ!「ヨールです、よろしくお願いします!」「「ナナ先生、よろしくお願いします!」」 どうやら今日は、森でモンスター相手に実戦形式の訓練をするらしい。護衛に伯爵お抱えの騎士を2人連れ、馬車で向かう。なんて贅沢な授業だろう。「おいヨール、お前弟子なんだからちゃんと俺達から見て学べよな」(おやおや、技術は盗めと。手厳しいこって)「はい、ミカエル様! 弟子として恥じぬよう学ばせて頂きます。イザベラ様の華麗な魔法も大変楽しみでございます!」「期待しているのだわ、ヨール!」「あら、ミカエル様もイザベラ様も弟子をお取りになったんですのね。ふふふ」 なんだかんだで結構楽しみな俺がいる。この授業で俺も成長出来るかもしれないしな。 1時間程経った頃、馬車が動きを止める。「さて、授業を始めますよ。」
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-03-30
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みんな違ってみんないい

(お、次はイザベラちゃんの番か。くるぞくるぞー!) イザベラは両手をスライムに向け突き出す。「風を司る大いなる精霊シルフよ 我が名はイザベラ 汝の力をこの身に宿すもの 敵を斬り裂く刃をお貸し下さい くらえ! ウインドエッジ!!」 イザベラの前に現れた半月状の風の刃は、突風の如き速さでスライムを横半分に切り裂いた。 しかし核を外してしまい、スライムは再生してしまう。「今だ、ヨール!」(へ? 俺!? それじゃあいっちょ真に拗らせた男の力を見せてやりますか!) 俺はスライムの方へ駆け出す。「我が右手に宿りし邪悪なる闇の力よ 黄泉の門を切り裂く漆黒の刃よ 敵を灰塵に帰せ! デスブリンガー!!(シャドークロー!!)」 右手にシャドークローを発現させ、スライムの体表を削る。爪の先端が核に到達しようかというその時!「ヨール、離れるのだ! 先生、トドメを!」 サッとバックステップをし、俺はスライムから距離を取る。 ナナ先生が杖を天高く掲げた。「あぁ 大いなる大地よ……」(せ、先生……?) 先生の顔を覗き込むと、とんがり帽子の長いつばで隠れていたが、その顔は少し赤くなっていた。「あぁ 天高く広がる大空よ……」(さっき詠唱要らないって……) 俺が疑問に満ちた視線を向け続けた為、既に先生の顔は真っ赤だ。「ズドリーチェ ビビダーニア ロルッカ!」(何それ!? 何語!? 先生あらかじめ考えてたよね絶対!)「ウインドトルネード!!」 巨大な竜巻がスライムを飲み込む。無数の風の刃は、暴風に飲み込まれ平衡感覚を失ったスライムをズタズタに切り裂いた。オーバーキルだ! 戦闘を終えると、各々の詠唱を褒め称える謎の会議が開かれた……。 その後は馬車に乗り込み屋敷へと戻る。今日の授業は終了だ。道中イザベラちゃんが話しかけてきた。「ねえヨール、あなたのスキルはシャドークローよね? デスブリンガーとはなんなのかしら?」「ふふ、お嬢様。デスブリンガーの方がカッコイイではありませんか!」「やるではないかヨール! ふむ、ファイヤーバースト、メギドフレイム、ヘルファイア……」 2人の子供と何故か胸の大きな女性までもが、屋敷に着くまでぶつぶつと何か呪文を唱え続けていた。 屋敷に到着すると、依頼完了となった。伯爵から、子供達がまだ話し足りないということで夕食にも招
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-03
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次に向けて

 伯爵のお屋敷から出ると、夜空には月と星が輝いていた。 この世界にも星座があるのだろうか。そんな事を思いながらヨールはギルドへと向かう。 大通りは酒を飲んで陽気になった人々の騒がしい声で溢れていた。「いけない! ラシードさんの店にコップを返却しないと!」 昨日買ったレモネードの木製のコップを返し忘れていたヨールは、大慌てで駆け出す。 目的のパン屋へ到着すると、店仕舞いの準備をするラシードの姿が見えた。「ラシードさん、ごめんなさい遅くなりました! コップの返却に来ました」「やあヨール君、こんばんは。いつもありがとうね。そうだ、売れ残りなんだけど良かったら食べて」「ありがとうございます! また来ますね!」 わざわざ麻の袋に入れてくれたフランスパンとジャムパイを貰い、礼を言う。ラシードの優しく微笑む顔は、どこか父親のエミルを彷彿とさせ、村での生活が懐かしくなる。 落ち着いたらまた村へ遊びに行こうと心に誓い、ギルドへと向かった。「こんばんはー!」 挨拶と共にギルドの扉を開くと、カウンターに頬杖をつくジンバの姿があった。「おやあんたかい、マシューとリッキーはあたしとギルド長で絞っといてやったよ!」 どうやら、先日ヨールを襲ったスキンヘッドと出っ歯のコンビはブロンズ級へと降格処分を受けたようだ。 更に、初心者講座からやり直しとなり、次に問題を起こすと冒険者資格剥奪となるため、これを機に更生するだろう。「まあ、あんたがまた襲われる事は無いだろうけどね。あんたに絡んだら目が見えなくなって、あちこち転んで怪我したらしいよ? 朝まで騒いで大変だったとさ。自業自得さね。さ、プレートを貸しな」(そういえば昨日は驚きの連続で報酬を聞き逃していたんだ……)「おや、凄いじゃないか。追加報酬があるよ! 金貨3枚だ。指名依頼で2回連続高評価とは大したもんだね。ランクアップだよ! この早さは過去一番かもね」「本当ですか! ちなみにゴールド級になるためには何をしたらいいでしょうか?」「なんだい、もうゴールド級に興味があるのかい? 3階級上げるのは大変だよ。最低条件ですらレベル30以上、小ダンジョンの踏破が必要だからね」 Ⅳ階級の条件は、トレント、ストーンリザード、羽狼、サーベルベアのどれかを25体討伐する事。 Ⅴ階級の条件は、4階級の条件を満たしたモンスター
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-03
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生活の質

 昇級条件のモンスターについても教えてくれた。 トレントは木のモンスターで、森の中で擬態しているため、周囲の木と見分ける事が難しい。枝を鞭のようにして獲物に襲いかかり、根を足のようにして移動する。火属性に弱く、武器に火炎を纏わせるスキルや、ファイヤーボール等の魔法が効果的だ。 ストーンリザードは、石のような鱗を持つ巨大なトカゲで、威力の低い魔法やスキルは鱗に弾かれてしまう。斧やハンマーなどの攻撃力の高い武器を使用するか、鱗をものともしない高火力の魔法やスキルで倒す必要がある。先端に棘のついた尻尾を振り回したり、棘を飛ばしてくるので注意が必要だ。 羽狼は、毛の代わりに羽毛が生えた狼で、見た目はモコモコとして可愛らしいが、非常に獰猛で、群れをなして集団で襲ってくる。表情や吠え声により、リーダーが群れに指示を出し統率しているため、真っ先にリーダーを倒す事が重要になる。 サーベルベアはその名の通りサーベルのように大きく鋭い牙を持った熊で、筋力も生命力もオークの比ではなく、1頭が迷いこんだ村を壊滅させたという例もあるほど恐ろしいモンスターだ。タンク役と火力役に分かれ、時間をかけて倒すのが基本だ。「なるほど、勉強になりました。明日ダンジョンに行きたいのですが、予約はできますか?」「いいけどあんた、パーティーは組んでるのかい?」「パーティー……」「浅い階層で無茶をしなければ大丈夫だとは思うけど、普通は3人以上で行くもんだ。あまり許可はしたくないね」「では、無理そうならすぐ諦めて帰ってきます。目眩しのスキルもあるので逃げるのは得意なんです」「そうだったね。危ないと思った時には、もう手遅れだってことを忘れないようにね。他の冒険者の側で戦い方を学ぶくらいならいいかもしれないね」 馬車と入ダン料合わせて大銀貨5枚を支払い、許可証代わりの木札を貰った。 ゴブリンダンジョンへは1日2回馬車が出る。片道3時間だ。 始発は掲示板に依頼が貼り出されると同時に発車するが、なるべく早く集まるのがマナーだ。 最終は馬車は陽が暮れる前に街へと帰れるよう
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-04-04
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