All Chapters of 人生の続きは異世界で~交換スキルの代償は金銭NG!?~: Chapter 181

181 Chapters

最終話 旅路は続く

朝陽が王都ハイロエントを金色に染め上げる頃、城門近くに一行の姿があった。黒竜との戦いから数日が経ち、傷ついた者たちの多くは治療を終え、それぞれの日常へと戻りつつあった。 一方で、俺たちは旅立ちの準備を整え、新たな目的地へ向かうところだった。「予定通り、フォレストサイドの街に行くんでしょ?」エルミアが隣を歩きながらそう聞いてくる。「あぁ。今回はとんだ寄り道になってしまったけどな。それに、この大陸に居ると・・・」 「あ!あの人、カサネ様じゃない?」 「おぉ、あの人が私達を救ってくれたのか」 「隣にはエルミア様もいらっしゃるわ」 「救世主様だー!」周囲からそんな声が聞こえてきた。カサネさんは苦笑いしながらも軽く手を振っている。これで三度目である。国王であるモルドナムが民を安心させるために黒竜討伐の発表をし、その際に討伐者としてカサネとエルミアの名を上げたことで、二人は街で英雄扱いを受けていた。「どんどん話が大きくなっていきそうだからさ」 「まぁそうね。これじゃ気楽に旅もできないでしょうし。向こうの大陸まで話が広がってないと良いわね?」 「本当にな」俺、アキツグはそう答えながら、ロシェの背中を撫でた。彼女は目を細めて気持ちよさそうに喉を鳴らしている。相変わらずのマイペースぶりだ。「この様子じゃカルヘルドも避けたほうが無難かもね」エルミアが柔らかい笑顔で提案する。その表情はどこか晴れやかだった。彼女はこの数日で何度も民の前に立ち、王女としての務めを果たしてきた。守るべきものを守れた安堵感と、仲間たちへの信頼が、彼女の目に力強い輝きを与えている。 城下町を歩くと、あちこちから人々の笑顔が見られた。俺たちを見ると、口々に感謝の言葉をかけてくれる。その中で特に子どもたちが興味津々な様子で近づいてきた。少年はカサネさんの前に立つと頬を赤らめながら、「ぼく、カサネさんみたいに強い魔法使いになりたい!」と声を張り上げた。その言葉にカサネは思わず微笑み、少年の頭を優しく撫でた。エルミアも人々と挨拶を交わしながら、一つひとつの声を真摯に受け止めている
last updateLast Updated : 2025-08-18
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