Mのいる総合病院から一番近い、病院。その警備員が何かおかしな動きに気付いた。「と、止まれ〜っ !! 」 警備員が腕を振り上げ向かってくるトラックを止めようとする。 しかし、運転手と目が合っていると言うのに、ハンドルを切ろうともしなかった。 ドガッ ! !「トラック ! 入口に突っ込んだ ! 」 パニックになった警備員が無線で叫ぶ。その声が少しずつ震えていく。 暴走したトラックの下から、真っ赤な鮮血が染み出て来ている。 もつれそうな足で下を見ると、先程挨拶を交わしたばかりの患者や看護師たちが車椅子ごと引き摺られ、潰れていた。「う、うわぁぁ ! だ、誰か来てくれ ! くそ ! おい、出てこ……」 警備員が運転手を外に出そうとしたが、既に運転手の姿は無かった。 □ 椎名は銃をとりだすと待合室へ一直線に向かう。「事故かしら ? 」「居眠りとか踏み間違い ? 最近多いわね〜」 総合病院と同規模の記念病院だ。待合室には多くの人が呆然と自動ドアの隙間から見えるトラックのグリルを眺めている。「なぁ、あれ……血じゃねぇか ? 」 一人の爺様がグリルに付いた血液と毛髪に気付く。 椎名はここへ来るまでの間、散々人混みを轢き走って来ていた。「トドメだ ! 」 パン ! 大きな銃声に人々の肩がビクッと跳ねる。「てめぇら ! 今日死ぬ ! 荷台には発破積んで来た ! 出口はねぇ ! ただし、俺の胸の中で死にてぇ奴は飛び込んできな ! 」 そういいジャケットを脱ぎ捨てる。 身体に巻かれたC4。 手には起爆スイッチ。「ヒィィィ ! 」「た、助けて !! 」 その時──一発の銃撃。 銃口から出た弾丸は正確に椎名の起爆スイッチごと指を飛ばす
Last Updated : 2025-09-14 Read more