All Chapters of 国宝級イケメンの華道家は、最愛妻への情愛が抑えられない。: Chapter 11 - Chapter 13

13 Chapters

11.ドラマ指導

日本舞踊の指導が始まって本日二回目。 初回は挨拶と最終的の目標で踊る演目を見てもらって基本のお辞儀を稽古したので今日は、手の基本から始める。早く演目から練習した方がいいとプロデューサーの方に言われていたが、基本から覚えていった方が軸はブレないし安定感もある。基本的な動作ができていないといい踊りなんてできない。昔、コピーをすれば全然オッケーという生徒さんがいたけどその人はすぐに辞めてしまった。一度できても基本がわからないから少しずつズレが後からやってきた。とから入った基本からしっかり稽古していた同じ演目を練習している生徒に追い抜かれたことがきっかけだった気がするが、なんにせよ基本は大事だ。 「復習から始めましょうか、では、お辞儀から」 だが、彼らはさすが俳優さんと言うべきかもうすでに完璧だった。こんなすぐに習得できるなんて……うちに欲しくなる。それに礼儀作法やすり足の仕方と扇子の広げ方を指導して次は手の基本についてだ。 女の手、男の手があるがまずは基礎から始める。 「まず、しっかりと力を入れて伸ばして指がそり上がるようにします。親指に力は入るが反らないようにまっすぐに内側に、指は閉じます」 茉縁さんはダンスの経験と、舜也さんの方はバラエティ番組の企画で歌舞伎をやったことがあるらしく上手だった。普通のお稽古なら、女の手と男の手を両方やるがドラマで踊るのが主なので別々で教える。 まず、女の手からだ。 「先ほどやった基本の手から緩め、反った形から手の甲からまっすぐになるようにします。人差し指以外の中指、薬指と小指を軽く曲げる。そうすることで力を入れていないように見えます。これが胸元にあったり、何かを指すというときに使う動作なので自然な動きをするには大切です。握り手は、親指に人差し指が包み込むように曲げます」 「なかなか難しいですね……だけど、先生みたいに滑らかに出来ないですね。動画とってもいいですか? 練習したいので」 「もちろん大丈夫ですよ」 茉縁さんがスマホを持ってきて私にカメラを向けた。手の形の説明をしながらの見本をやってみせると「ありがとうございます」と言って練習を始めていた。 なので次は舜也さんの番だ。 「……では、男の手を。男の手は基本の形をさせて、親指を開く、指の間を少し開きます」 基本が出来ていれば男の手は簡
last updateLast Updated : 2025-04-27
Read more

12.撮影とおかえり

クランクインからひと月が経った。私は現在、撮影場所で日本舞踊監修としてのお仕事をしているが、今は見学中だ。準備期間は長かったのに撮影はもう半分は終わってる。 「なんとも贅沢だなぁ」 目の前で、俳優さんが演技をしている。普段の指導している時の彼らとは別人のようで、すごい。 本当は、日本舞踊のシーンがない時は来なくていいんだけど見たくて来てしまっている。迷惑にならないように隅っこだけれども。 「お疲れ様です! 鳳翠先生」 「茉縁さんもお疲れ様です。とっても良かったです」 「ありがとうございます。でも撮り直しですね、多分」 茉縁さんはそう言うと、監督がいる方を見た。 「納得してない顔してるから――」 「おーい里谷さん! ちょっとこっち来てー」 彼女の言う通り、監督が彼女を呼ぶ声が聞こえてそちらに行ってしまった。 それからも昼まで見学しているとスマホがブーブーと震えた。スマホの画面を見れば郁斗さんからメッセージ通知が出ていた。それをタップすると、LINEのトークページが開く。 【今、帰って来ました。テレビ局の近くにいるんだけど時間が合えば迎えに行くよ】 え!帰るの三日後って聞いていたけど早く終わったのかな。 【帰ってくるの三日後って言ってませんでした?】 【仕事は昨日のパフォーマンスで終わりだったんだ。他の仕事は急いで終わらせてきたんだ】 そうなのか。せっかくだし、迎えに来てもらおうかな…… 【じゃあ、お迎えをお願いできますか?一緒に帰りたいです】 そうメッセージを送ると、話し合いが終わった本郷くんに近づき声を掛ける。 「本郷くん、私帰りますね」 「月森さん。あ、わかりました。……じゃあ、下まで送りますよ」 「えっ、でも私勝手に見学に来た人ですし……本郷くん、さっきまで演出家の方とお話をしていましたよね?」 さっきまで監督の隣にいる演出の人と話し合いをしていたし、忙しいのではないだろうか。ただ声をかけただけなんだけどなぁ 「もう終わったから。それに早めの昼にしようと思って一階のカフェに行くから」 「それならいいんですけど……」 了承すると、本郷くんは荷物を持ってくるからと控え室に行ってしまったので私はスマホを見ると【良かった。近くに来たら連絡する】とメッセージが来ていた。 なので【了解です
last updateLast Updated : 2025-05-01
Read more

13.お茶会

ドラマ撮影が始まって一ヵ月が経ち、放送第一回目が始まる日を迎えていた。宣伝で、茉縁さんと舜也さん二人が朝から有名な情報番組【月→(から)金までmorning】にゲストで出演していた。 『本日から始まるドラマ、“花明かり”から里谷茉縁さんと舜也さんがきてくださいました――』 アナウンサーが二人を紹介し二人も「おはようございます」と挨拶をしている。こうやってみると、本当に今日からドラマが始まるんだなぁと実感する。 『どんな話なんですか?』 『えー……私が演じる美咲は普通にいるOLは求婚され入籍直前で婚約破棄をされるのですが、日本舞踊に出会って日本舞踊に魅せられていく話です』 それから予告映像が流れる。 「百合ちゃん、どうぞ」 「あ、ありがとうございます。郁斗さん」 私のいるテーブルの前にコーヒーの入ったマグカップが郁斗さんによって置かれる。さっきまでコーヒー豆の挽く音がしていたから彼が淹れてくれたのだろう。いつもならいい香りだと思うのに、今日は何故か香りがきつい、気がする。どうしてだろうか…… 「このコーヒー百合ちゃん好きだって言っていただろう? だから買ってきたんだ」 「ふふ、ありがとうございます」 私はマグカップに口をつけ、一口飲む。香りは苦手だけど、相変わらず美味しい。 「そういえば、今日はお祖母様と約束してるって言っていたよね? 本家に行くのかい?」 「はい。もうドラマのお仕事終わっているのでテレビ局には今日は行かないので。それにお祖母様にお誘いをいただいて……ドラマが放送されるお祝いだって言っていました。でも郁斗さんはお昼はお仕事なんですよね?」 「うん。結婚式を挙げたホテルでパーティーがあるから会場ディスプレイを頼まれてね」 「そうなんですか、頑張ってくださいね」 郁斗さんはツアーが終わっても大忙しで、会場ディスプレイや展覧会の花に家元としてのお稽古とお仕事がたくさんある。本当は私が付いて支えるべきなんだろうけど私も忙しかったのは言い訳か……だけど、ドラマが終わったら師範の仕事は引き継いでもらい華道の方に力をいれていこうと思っているし彼のお手伝いもできるようになるだろう。 「本家行くなら俺が送って行くよ。顔を見せようと思ってるんだ」 「ありがとうございます、郁斗さん」 「全然。それより、百合ちゃん。調子悪
last updateLast Updated : 2025-05-08
Read more
PREV
12
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status