真依は洗面所に着くと、眉をひそめて言った。「紗月が私に損をさせようと思っていないのは分かってるわ。ただ、この件は確かにもうちょっと考えたほうがいい」みんなこの業界で生きているのだから、敵を作るのは今まさに上昇期にある氷月にとって何の得にもならない。「いっそ、真依と宮野さんの事務所とまた話し合ってみたら?ちなみに、私たちの証拠は完璧だし、動画も音声も含めて全て揃っているわ。宮野さんの事務所が真依を不利な状況に陥れようとしても、そうはいかないわよ!」紗月は真剣な声で真依に相談した。真依は「うん」と頷き、紗月との電話を切った後、紗月が教えてくれた電話番号にかけ直した。しかし、何度かけても、電
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