All Chapters of 離婚後、元夫の溺愛が止まらない: Chapter 381 - Chapter 390

真依は頷いたが、何も話さなかった。残念ながら、前回綾乃が電話で話していた時の様子を録音しなかった。それに、録音しても無駄だったかもしれない。彼女は他人がなりすましたと言い張るだろう。何しろ彼女が電話に使ったスマホ番号が誰のものか、真依もはっきりしないのだから。「もちろん、好き嫌いは君の自由だ。ただ、一度だけ表面的な形だけでもいいから、彼女を安心させてあげられないか？」雅義の目には少し期待が込められていた。「彼女は君が嫌っていないと分かれば、立ち去るだろう」真依は心の中で思った。雅義はまだ綾乃のことを見誤っている。もし彼女が譲歩すれば、後で無限の面倒事が待っている。なぜ彼女が菩薩様

真依が寝ようとした時、突然家のドアがノックされ、スマホも鳴り響いた。宅配業者からの電話だった。真依は非常に戸惑った。宅配を注文していなかったのに......電話を出ると、真依は口を開いた。「もしもし」「氷川真依様ですね？あなた宛ての宅配があります」宅配業者は元気いっぱいに言った。「宅配を注文した覚えはありません」真依は冷静に答えた。「お友達が注文したものでしょう。玄関に置いておきました。次の配達があるので」宅配業者はそう言い終えると、電話を切った。真依はどのお友達がこんな夜中にこっそり宅配を注文したのか分からなかった。紗月は彼女が夜食を食べる習慣がないことを知っている。他に誰が

「理解できません。ですが、あなたの考えは尊重します」真依は率直に言った。娘を産んだことも、失ったこともない真依に、どうしてその気持ちに寄り添うことなどできようか。ましてや、彼女は綾乃が好きではないのだ。「理解できなくても構いませんわ。ただ、私がこれから言うことを覚えておけばいい。デザインは必ずやってもらいます。あなた自身のためにも、よく考えてくださいね。もし、あなたが自分の思い通りにしたいと言うのなら、恨みっこなしですよ」聖名子は、まるで命令でも下すかのように言い放った。真依は思わず笑った。「聖名子様、それなら、遠慮のない態度を歓迎しますわ」そう言い終えると、そのまま電話を切った。

憲太と朝陽が義兄弟の契りを交わしたという話は、瞬く間に首都の社交界に広まった。綾乃がその電話を受けた時も驚きを隠せなかった。「あなた、浜城で一体何してるの？氷川真依の祖母に一度も会いに行ってないじゃない。いつか真実が白日の下に晒されるまで待つつもり？」電話口の女は、怒りを抑えきれない様子で問い詰めた。「叔母様、お急ぎすぎですよ。私が浜城に来たのは、首都のように好き勝手できる場所じゃないんですから。まず盾となるものを見つけないと、どうやって身動きが取れると？」綾乃は淡々とした口調で、焦りの色は微塵もなかった。「まさか、瀬名尚吾に嫁ぐつもりで、わざと彼の祖母に取り入ろうとしているんじゃない

真依は怒りを抑えながら言った。「瀬名おじい様の中毒、一体どういうことなの？」「私が知るわけないでしょう？いくら怒っているからって、口を開けば私を中傷するなんて」綾乃は怒りから一転、あっという間に悲しげな声になった。「さっきの口調が悪かったのは認めるわ。でも、あなたに連絡がつかなくて怒ってたのよ。おじいちゃんがあなたにどれだけ電話したか知ってる？」真依は全く電話を受けていなかった......彼女は何度もスマホを確認したが、瀬名祖父からの着信履歴はなかった。「瀬名おじい様は大丈夫なの？」真依の口調は、いくらか和らいだ。「まだ胃洗浄中よ。助かるかどうか分からないわ。あと数分遅かったら、おじい