「どうしてこんなこともできないの?」「あん? 仕方ねぇだろ?」「言い訳はいらないわよ」「言い訳してねぇだろ!!」 女子の方はいたく冷静な口調のままで、俺だけがちょっとヒートアップしているけど、これはいつもの事だ。「おい、アイツらまたやってるぞ」「まったく飽きないわねぇ」「でもさ良く言うじゃん?」「ん?」「喧嘩するほど仲が良いって――」 俺たちの首位でそんな会話がされているのが耳に入ると、俺はその会話している奴らの方へと顔を向けた。「「仲良くなんてしてねぇよ(してません)!!」 思わず先ほどまで言い争っていた相手と言葉が重なった。「な?」「ね?」 周囲がウンウンと頷いている。 俺はそれを見てはぁ~っと大きなため息をついた。 お昼休みは学生にとって、放課後に次いでゆっくりとくつろげる時間でもある。 俺は一人静かな場所で食べたいから、お昼休みの間だけ解放されている校舎の屋上で食べる事にしている。 友達がいないわけじゃないし、なんならクラスの中には幼馴染と言える奴もいるのだけど、なんというか……大勢の中、他人《ひと》のする会話を聞きながら食べるという事に、ちょっとした罪悪感というかその場に居ちゃいけない気持ちになってしまい、どうしても一人静かな所を選んでしまう。 今日も独り、うららかな青く高い天を見あげながら独りで母さんの作ってくれた弁当を食べている。がちゃスタッ――ん? 誰か来たのか? いつもはほとんど誰もいないとはいえ、この屋上というスポットは色々な用途に使われるので、まったく誰もこないというわけじゃない。 座っていた場所からスッと立ち上がり、来た人から見えない様にと移動し、入り口の反対側へと回り込む。「あ、来てくれてたんだね!! 良かった!!」「…………」 更に誰かが来たみたいで、聞こうとはしていないけれど、聞き慣れない男子の声がきこえてきた。ただ話しかけているようだけど相手の声は聞こえない。「えっとその……手紙見てくれたかな?」「はい。読みました。ですからここに居ます」「そ、そうだよね!! ごめんね変なこと言って……」――あれ? 先に来ていた相手って……。 毎日の様に聞いている声が聞こえて来たので、少しだけこの人たちの会話が気になってしまう。「ま、真下瞳さん!! す、すすす好きです!! ぼ、僕
Terakhir Diperbarui : 2025-05-09 Baca selengkapnya