主人公(男子高校生)はいたって普通の高校に通う男子高校生。見目が良いわけでもなく、勉強もそれなりには出来るといった感じで、運動神経が少しいいくらい。 お幼馴染も通う事になったその学校には、噂では中学生時代に有名だった子も入学してくるらしい。 席順も前後している事で近く、同じ班になった事で、色々な事を一緒にする事が多くなった二人。しかし彼女はいつもツンとした態度で接してくる。 それが『猫な彼女』との初対面だった。 表ではツンとした『猫』の様な彼女と、時折見せる『デレ』に次第に魅せられていく俺。 その結末やいかに――。 『猫』に翻弄される学園ラブコメスタート!!
ดูเพิ่มเติม「どうしてこんなこともできないの?」
「あん? 仕方ねぇだろ?」 「言い訳はいらないわよ」 「言い訳してねぇだろ!!」 女子の方はいたく冷静な口調のままで、俺だけがちょっとヒートアップしているけど、これはいつもの事だ。「おい、アイツらまたやってるぞ」
「まったく飽きないわねぇ」 「でもさ良く言うじゃん?」 「ん?」 「喧嘩するほど仲が良いって――」 俺たちの首位でそんな会話がされているのが耳に入ると、俺はその会話している奴らの方へと顔を向けた。「「仲良くなんてしてねぇよ(してません)!!」
思わず先ほどまで言い争っていた相手と言葉が重なった。「な?」
「ね?」 周囲がウンウンと頷いている。 俺はそれを見てはぁ~っと大きなため息をついた。お昼休みは学生にとって、放課後に次いでゆっくりとくつろげる時間でもある。
俺は一人静かな場所で食べたいから、お昼休みの間だけ解放されている校舎の屋上で食べる事にしている。
友達がいないわけじゃないし、なんならクラスの中には幼馴染と言える奴もいるのだけど、なんというか……大勢の中、他人《ひと》のする会話を聞きながら食べるという事に、ちょっとした罪悪感というかその場に居ちゃいけない気持ちになってしまい、どうしても一人静かな所を選んでしまう。
今日も独り、うららかな青く高い天を見あげながら独りで母さんの作ってくれた弁当を食べている。
がちゃ
スタッ――ん? 誰か来たのか?
いつもはほとんど誰もいないとはいえ、この屋上というスポットは色々な用途に使われるので、まったく誰もこないというわけじゃない。座っていた場所からスッと立ち上がり、来た人から見えない様にと移動し、入り口の反対側へと回り込む。
「あ、来てくれてたんだね!! 良かった!!」
「…………」 更に誰かが来たみたいで、聞こうとはしていないけれど、聞き慣れない男子の声がきこえてきた。ただ話しかけているようだけど相手の声は聞こえない。「えっとその……手紙見てくれたかな?」
「はい。読みました。ですからここに居ます」 「そ、そうだよね!! ごめんね変なこと言って……」――あれ? 先に来ていた相手って……。
毎日の様に聞いている声が聞こえて来たので、少しだけこの人たちの会話が気になってしまう。 「ま、真下瞳さん!! す、すすす好きです!! ぼ、僕とお付き合いしてください!!」 「…………」「お? 告白かよ……。またえらいもん聞いちまったな……」
知らぬ間に零れ落ちる独り言。 「ありがとうございます。好きだと言ってくれるのは嬉しいです。でも、ごめんなさい。私はあなたとお付き合いはできません」――はい撃沈!!
ちょっと気の毒な気もするけど、これもまぁ仕方ないよな。好き嫌いはあるだろうしな。 「り、理由を聞いてもいいかな?」 「理由ですか? わかりました。では言いますけど、私はあなたの事を知りません。あなたも私の事なんて良く知らないでしょう?」 「え? いや、そんな事無いよ!! 中学時代の事とか、モデルにスカウトされたことがあるとか、知ってるし」 「ほら、そういう《・》事しか知らないでしょう?」 「あ、あとは、あとは……」 「はぁ~。もしかしたら私のこの外見を気にいってくださったのかもしれませんけど、良く知りもしないのに『好き』というのは、私には理解できないんです。だからごめんなさい。あなたとはお付き合いできません」 「…………うあぁ~~!!」――っ!?
先ほどまで告白していた男子がいきなり叫び出したのを聞いて、スッと腰を上げる。だだだだだだだ――。
出ていこうとした瞬間に、階段を駆け下りる音が聞こえて来た。ホッとしてまた腰を下ろし、手に持ったままだった箸を弁当に向けようとした瞬間。
「ねぇ……」
「ねぇってば!! いるんでしょそこに!!」
「え?」 少し大きな声が聞こえて来たので、ようやく話しかけられている事に気が付く。「もしかして俺に声かけてたのか?」
「やっぱりいるんじゃない……」 「ん? まぁここが俺の特等席だからな」 「そんなこと言って……」 壁際に少しずつ大きくなりながら近づいて来る影と、先ほどまでの酷く静かな声じゃない、感情の乗っている声が近づいて来る。スッ
「は?」
「なに?」 「いや、何で隣に座ってるんだよ?」 「いいじゃない……少しだけいいでしょ?」 「いやまぁ……。良いけど」 「うん……」 そういうと少しだけ空いていた空間を詰めるようにして、真下が近づいて来る。その近づいて来る真下に合わせるようにして、動く空気に乗りほんのりと甘い香りが俺の鼻腔をくすぐる。
「さっきはごめんね……」
「ん?」 「ほら、教室で……」 「あぁ、あれぐらい気にすんな。俺はいつもの事だからな。言われ慣れてる」 「でも……」 「真下――瞳の口調が人前であぁなるのは今に始まった事じゃないだろ?」 「そうだけど……」 手に持った箸を再稼働させ弁当を手に持って食べ始めた。ぱたり
ぽすん――!?
軽い衝撃と共に俺の肩に乗る心地よい荷重。「ちょっとだけ貸してね……」
「あぁ。ちょっとじゃなくていいぞ。どうせ俺は今、弁当食うのに忙しいからな」 「……拓《ひらく》、ありがと」 そのまま俺は黙々と弁当を食べて、食べ終わってもずっとその体制のまま、午後からの授業始まりの予鈴が鳴り響くまで、二人屋上の上で緩やかに流れ吹く風を感じ取っていた。「なぁ拓」
「ん?」 「知ってるか?」 「何を?」 午後の授業も一つクリアした休み時間に、俺の後ろに座る男子から声を掛けられる。「真下さんの事だよ」
「ひ――真下がどうした?」 「お昼休みに隣のクラスのイケメン陽キャに告白されたらしいぜ」 「へぇ~……」 「なんだよ興味ないのか?」 「……ないなぁ……」 まさかその場にいたとは言えない。「でもさぁ」
「ん?」 「見事撃沈されたらしいぜ」 「そうなんだ。それは可哀そうに……」 「真下さんって好きな人でもいるのかなぁ?」 「俺に聞かれてもな……」 「ま!! 拓じゃない事だけは確かかもな!!」 「うざ!!」 今では俺も少しは仲良くなっているとは思っているけど、そこまで自分がとは思ってない。それだけの事をしているとも思ってない。ただ――。――瞳の好きになる奴か……。
気になるかならないかはまた別な話ではある。 「なに?」 「え? いやなんでも……」 「そう?」 知らぬ間に隣を見ていたのか、気が付いたら隣からも視線を感じたと思うと、言葉が向けられて少し驚く。 「私が好きな人はね…………ナイショ」 「え?」俺に向けにこりとしながらそういう瞳の笑顔がとても輝いて見えた。
これが今の俺達の関係だ。最初の会話はそれだけ。 これだけで彼女が聞いていた噂はあくまでも噂なんだと俺に印象付けてくれるのには十分ではあった。 忘れてはいけないのが、この日は入学式当日である。 周囲は知り合いや、新しいクラスメイトになった人達と早くも話題を見つけて話しが盛り上がりを見せている中、俺はというと何も言わずただ黙っているだけ。 まぁそれは俺だけじゃなくて、彼女も全く身じろぎもせず、先ほど下を向いた時からまったく顔を上げる事無く、時間だけが過ぎていた。「お待たせ!! お待たせ!!」 黒板に書かれた『本日の予定』に入学式開始の時間が書かれていたのだが、ウチのクラスの担任の先生はというと、そんな言葉を大きな声で言いながら入り口のドアを勢いよく開け放ち、15分前になってようやく教室へと入って来た。「はい!! 注目ぅ~!! まずは入学おめでとうございます!! 何かの縁が有って皆この学校へと入学してきた、同級生で同期です。これから3年間……。いや、まぁ何かあれば4年間になるかもしれないしそれ以上になるかもしれないが」 そこで息を入れる担任の先生。言い終わると微かにクスッと教室の中で笑いが漏れる。「まずは簡単に挨拶すると、私がこのクラスの担当になった茶木達也《ちゃきたつや》です。ぴちぴちの40歳で既婚!! 子供も二人いますので、その辺どうぞよろしく!! さてそろそろ入学式の為に体育館へと移動しなきゃならないので、そのまま席順――出席番号順に並んで移動を始めますのでよろしく。では廊下に出て移動開始!!」がたたがた 先生の指示に従がって、教室の皆が席を立ち、廊下へと移動を始める。 出席番号順というので、廊下側からの席のやつらからまずは廊下へとでていき、御影という『ま行』の俺はけっこう後になって出ていく事になる。――ん? 何してんだコイツ……。 俺が席を立ち、移動しようとしたところで、そばに座る一人の生徒に目が留まる。「なぁ」「…&hell
俺という人間を表すのならば「平凡」という言葉で表せられると思う。それほどまでに何をやってもいつも平均程度の結果しか生むことが出来ないでいる。 小学生の時、小さい頃は足が周囲の人よりも少しだけ早かったので、調子に乗りサッカー何て始めたけど、足が速いだけでは何もできるはずもなく、そのうち大きくなった体格の人達に敵わなくなって辞めてしまった。 いや。サッカーを辞めたのは正確にはそれだけが理由じゃないんだけど……。 中学生になっても身長が伸びる事も無く、体格が小さい事で困る事も多くなったけど、中学二年生でぐっ!! と遅れていた成長期が始まった。 体格的に追いついて来たけど、その頃になるともう『身体能力』だけが目立つようなものじゃ無くなっていて、早ければ高校受験に向けて成績が良い奴らが目立ちもし始める。 俺は勉強することは好きだけど、自分で進んでするという事は苦手で、どちらかというと嫌いかな? だから予習復習なんてするはずもなく、学校でする勉強で止まっているから、成績が上がる事はないので中位程度をさまよっていた。 それでも高校受験に向けて追い込みは少し掛けたけど、自分が『行きたい』学校ではなく、『行けそうなところ』に絞って受験したから何とか合格する事はできた。 そんな俺、御影拓《みかげひらく》は、桜の花がようやく咲き始めた春、お目当ての高校入学式の校門前へとたどり着いたわけだけど、何となく『制服に着られている』様な感じがして居心地が悪い。 校門を抜け、案内に従って入学式に付き添ってくれた母さんと共に学校敷地内へと入っていく。「緊張してる?」「緊張? 何で?」「何でって……。今日は入学式なのよ?」「あぁ……。別に入学式ってだけで小学生も中学生でも経験してるからなぁ……」「はぁ……。どうしてそんな風に育っちゃったのかしらねぇ……」「うぅ~ん……でも間違いじゃないだろ?」「まぁ? 確かにそうだけど……」 一緒に歩く母さんと話しながら、まずは自分の苦明日がどこなのかを確認し、「あ、アイツも一緒のクラスか……」と心の中で少しだけホッとした。「よう拓!!」「ん? おう……柊斗」「ん? なんだよ元気ねぇな!! そんなんじゃせっかくの高校生ライフが台無しになるぜ?」「ほっとけ!! 俺はいつもと一緒だからな」「あはははははは!! そうだな!
「どうしてこんなこともできないの?」「あん? 仕方ねぇだろ?」「言い訳はいらないわよ」「言い訳してねぇだろ!!」 女子の方はいたく冷静な口調のままで、俺だけがちょっとヒートアップしているけど、これはいつもの事だ。「おい、アイツらまたやってるぞ」「まったく飽きないわねぇ」「でもさ良く言うじゃん?」「ん?」「喧嘩するほど仲が良いって――」 俺たちの首位でそんな会話がされているのが耳に入ると、俺はその会話している奴らの方へと顔を向けた。「「仲良くなんてしてねぇよ(してません)!!」 思わず先ほどまで言い争っていた相手と言葉が重なった。「な?」「ね?」 周囲がウンウンと頷いている。 俺はそれを見てはぁ~っと大きなため息をついた。 お昼休みは学生にとって、放課後に次いでゆっくりとくつろげる時間でもある。 俺は一人静かな場所で食べたいから、お昼休みの間だけ解放されている校舎の屋上で食べる事にしている。 友達がいないわけじゃないし、なんならクラスの中には幼馴染と言える奴もいるのだけど、なんというか……大勢の中、他人《ひと》のする会話を聞きながら食べるという事に、ちょっとした罪悪感というかその場に居ちゃいけない気持ちになってしまい、どうしても一人静かな所を選んでしまう。 今日も独り、うららかな青く高い天を見あげながら独りで母さんの作ってくれた弁当を食べている。がちゃスタッ――ん? 誰か来たのか? いつもはほとんど誰もいないとはいえ、この屋上というスポットは色々な用途に使われるので、まったく誰もこないというわけじゃない。 座っていた場所からスッと立ち上がり、来た人から見えない様にと移動し、入り口の反対側へと回り込む。「あ、来てくれてたんだね!! 良かった!!」「…………」 更に誰かが来たみたいで、聞こうとはしていないけれど、聞き慣れない男子の声がきこえてきた。ただ話しかけているようだけど相手の声は聞こえない。「えっとその……手紙見てくれたかな?」「はい。読みました。ですからここに居ます」「そ、そうだよね!! ごめんね変なこと言って……」――あれ? 先に来ていた相手って……。 毎日の様に聞いている声が聞こえて来たので、少しだけこの人たちの会話が気になってしまう。「ま、真下瞳さん!! す、すすす好きです!! ぼ、僕
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