こうして代々繋いできた新島家と屋敷ではあるが、時間経過と共に屋敷内外で起きていた奇妙な事案に関することが口伝することが薄くなり、現代に至っては忘れられていたという。「最近になって、立夏やその下の子たちが何やら騒いでいるのに気づいてな。婆さんにそのことを言ったら、先祖伝来の話を思い出したのじゃよ」 そこまで話し終えると、目の前にある湯飲みの中の物を一気に飲み干した。 家を見た感じ、かなりの大きさなので元々は地主さんか何かだとは思っていたが、部屋の大きさ一つ一つがかなりのモノであるので、もしかしたらそれ以上の家系なのかもしれないとは思っていた。しかし俺の予想とはそこまで離れていないにしろ、考えていた以上にこの家には何かあるらしい。――もしかしたら家ではなく土地にかもしれないけど……。「それでおじいちゃんは何か思いつくようなことが有るの?」 立夏さんの子東巴に関して祖父と祖母は同じような姿で考えこむ。「ないなぁ……」「無いわねぇ」 揃ったかのように一言ずつ漏らす祖父母。「お父さんは?」 今度は静かに話を聞いていたお父さんに向け質問する立夏さん。 少し考えるような素振りをしながら、お父さんは庭の隅の方へと顔を向けた。「無い事も……ない」「え!?」「実は俺もここ最近だが、誰かに見られているような気がしていたんだ。それもウチの周りにいる時ばかりな。たしか母さんも……」「そうですね。私の場合はけっこうな時間をこの家の周りで過ごしてますからね。そういう感じは何となくしてました」「そ、そうなんだ……」 両親の話を聞いた立夏さんは、「私たちだけじゃなかったんだ」と小さな声で続いた。 ここまで聞いた話を考えると、どうやら今回の現象はこの家に纏わることに関係しているんじゃないかと俺たちの中では予想できた。 そこで俺は伊織にアイ
Última atualização : 2025-09-27 Ler mais