Todos os capítulos de 幽霊が見えるからって慣れてるわけじゃない!!: Capítulo 141 - Capítulo 150

185 Capítulos

第131話 曰くつきの土地

   こうして代々繋いできた新島家と屋敷ではあるが、時間経過と共に屋敷内外で起きていた奇妙な事案に関することが口伝することが薄くなり、現代に至っては忘れられていたという。「最近になって、立夏やその下の子たちが何やら騒いでいるのに気づいてな。婆さんにそのことを言ったら、先祖伝来の話を思い出したのじゃよ」 そこまで話し終えると、目の前にある湯飲みの中の物を一気に飲み干した。 家を見た感じ、かなりの大きさなので元々は地主さんか何かだとは思っていたが、部屋の大きさ一つ一つがかなりのモノであるので、もしかしたらそれ以上の家系なのかもしれないとは思っていた。しかし俺の予想とはそこまで離れていないにしろ、考えていた以上にこの家には何かあるらしい。――もしかしたら家ではなく土地にかもしれないけど……。「それでおじいちゃんは何か思いつくようなことが有るの?」 立夏さんの子東巴に関して祖父と祖母は同じような姿で考えこむ。「ないなぁ……」「無いわねぇ」 揃ったかのように一言ずつ漏らす祖父母。「お父さんは?」 今度は静かに話を聞いていたお父さんに向け質問する立夏さん。 少し考えるような素振りをしながら、お父さんは庭の隅の方へと顔を向けた。「無い事も……ない」「え!?」「実は俺もここ最近だが、誰かに見られているような気がしていたんだ。それもウチの周りにいる時ばかりな。たしか母さんも……」「そうですね。私の場合はけっこうな時間をこの家の周りで過ごしてますからね。そういう感じは何となくしてました」「そ、そうなんだ……」 両親の話を聞いた立夏さんは、「私たちだけじゃなかったんだ」と小さな声で続いた。 ここまで聞いた話を考えると、どうやら今回の現象はこの家に纏わることに関係しているんじゃないかと俺たちの中では予想できた。 そこで俺は伊織にアイ
last updateÚltima atualização : 2025-09-27
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第132話 鏡台

  「鏡か……?」 全身が写りそうなほどに大きな鏡が一枚だけ置いて有る。飾ってあるわけでもないその鏡を見て俺の全身にブワッと鳥肌が立った。「何かあったの?」カレンの声が、小さな二人分の足音と共に俺の方へと近づいて来た。カレンの質問に答える前に、俺が立っていたところまで来ると、足音は止まり、隣に並ぶようにして立ち止まる。「これって……」「鏡……よね?」 カレンと新島さんから小さい声が漏れた。その声にも反応しない俺の事が気になったのか、俺の隣にいたカレンがわき腹をツンツンとつついてくる。それでも俺はその鏡の存在から身を離せないでいた。「ちょっとシンジ君?」「あぁ……ちょっと気になるんだ……」「どういうこと?」 怪訝な顔して俺の顔を見上げてくるカレン。それにやっぱり視線すら合わせられない俺。その事に不思議がる新島さん。 俺が動かない事で、何かを感じたらしいカレンが、置いて有る鏡の方へと向かうと、その前後を確認し始めた。 新島さんもカレンに合わせるようにして鏡の側まで近づき、興味深そうにその姿を見つめ始めた。「ヒッ!!」 そんな新島さんが、鏡を見つめてすぐに悲鳴を上げる。カレンは新島さんの近くに居たので、すぐに新島さんの隣まで移動して何があったのか確認を始めた。「先輩!! 大丈夫ですか!?」「ひっ!! う、うそ!?」 新島さんはカレンの質問に答えることが出来ずに、鏡から一歩ずつ後ずさりし始めた。その様子に自分では何もできないと思ったのか、カレンが俺の方を向いて首を左右に振る。「うん。このままじゃまずい……一旦外に出て戻ろう」「うん。わかった」「じょ、冗談でしょ? ねぇ……」 俺とカレンの顔を行ったり来たりと見る新島さん。彼女の顔色がだんだ
last updateÚltima atualização : 2025-09-28
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第133話 窓がない部屋

  「そうねぇ……どこから話せばいいんかしら。そうね、えぇっと今からもう20年近く前になるかな? 私がまだウチの夫とお付き合いをしていた頃なのだけど、当時は結婚する前にこの家に遊びに来ることも良くあって、割と仲良くさせてもらっていたのよ。でね、その当時はまだ夫の妹さんもこの家に一緒に住んでいたんだけど、私と夫が結婚する前の年かな? 妹さんの方がお見合いで知り合った方と結婚したのよ」 新島さんのお母さんはその当時の事を思い出しながら、自分の記憶と共に照らし合わせるように話してくれる。「それで、その時からすでに私がこの家に嫁いでくることは決まっていたから、妹さんの荷物なんかの整理とか引っ越しとかを手伝ってたのね。当時はまだ家族の結婚となると親戚一同が集まってイベントみたいな感じが残っていたから、その時も周りの親戚たちがこの家に集って来てて、荷物の運び出しとかをしてもらってたんだけど、ある人がね、知らない女性を見たって言ってたのよ」「え? それは何処でですか?」私が質問すると、お母さんは少し黙ってから口を開いた。「この家の今は使われてない妹さんの部屋で」 そういうと少し俯いた。 私たち三人は顔を見合わせて、お母さんが話の続きをしてくれるのを待つことにした。少しの沈黙の後に、また話の続きが始まる。「実は、当時妹さんは病気にかかっていてね。えぇっと、治らない病気じゃなくて、安静にしてなきゃいけないんだけど、命にかかわるようなものじゃなかったのよ。でもその引越しをして妹さんも嫁ぎ先に住むようになってから、2年後に亡くなってしまったの。突然に何の前触れもなくね。お医者様も相当不思議がっていたわ。実際に悪いところなんて完治もしていて、それまで風邪すらも引かなかった人が、いきなりなんですもの」「それで?」「どうなったの?」 相馬さんと七瀬さんが続きを促す。「実はその……私が異変を感じ始めたのは、実は妹さんが嫁ぐ少し前からなのよ。あなた達も少し見たかもしれないけど、家に入る前に蔵ともう一つ
last updateÚltima atualização : 2025-09-29
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第134話 想いの塊

   俺たち三人が家の中へと戻ると、伊織たち別働班も戻って来ていたようで、初めに通された今の中では、新島さんのお母さんが青い顔をしながら、お父さんに抱かれていた。「あ、お義兄ちゃん……」「伊織、何かあったのか?」 俺たちが部屋に入ってきたことに気付いた伊織が、俺に向かって小さな声を上げた。その顔は少し青白くなっているような感じがして、いつもの『守ってみせます!!』という勢いが全く感じられない。それこそ年相応の女の子のような様子だった。「えぇっと……」 伊織にしては珍しく言いよどむ。「私が説明するよ」 伊織と俺の会話を聞いていた相馬さんが、自分の胸をドンと叩いて会話に入ってきた。「実は、新島さんのお母さんに同行してもらって、家の中を探索していたんだけど、案内してもらったある部屋で、見ちゃったんだよ」「視《み》ちゃった?」「「うん」」「はい……」 いつの間にか俺たちの近くに来ていた七瀬先輩も、相馬さんと顔を見合わせてからコクンと頷きつつ返事をする。「それはこっち側のやつじゃないってことで合ってる?」「間違いないと思う。それも赤かったから……」「赤かった……か」 俺の質問は伊織が返事をしてくれた。しかも伊織たちが見たものは『赤い』もの。「それは何だったんだ? 姿が見えたか?」「眼だよ……赤い眼だった」 伊織が答えない代わりに相馬さんが答えてくれた。――相馬さんにも視えたという事か……かなり……。 俺が視えるモノ達は、俺たちが普段見えているような感じで視える。それはもちろん色彩を帯びて見えるわけで、生きている人たちと変わる所はほとんどない。多少は肌の色などが青白かったり土気色していたりはするが、そのくらいの
last updateÚltima atualização : 2025-09-30
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第135話 正直に言うとね、凄く怖い

   そうして歩いて行くと門の所に人影があることに気付いた。近づくにつれその人影は二人分あることがわかり、その人影が誰なのかが分かった新島さんが声をかけた。「おじいちゃん!? おばあちゃん!? どうしたの?」 ふたりに駆け寄っていく新島さん。そして二人に到達すると、お爺ちゃんが新島さんの頭に手を乗せつつなで始めた。途端に新島さんは赤面する。 流石に人前で頭を撫でられるという行為は恥ずかしいらしい。「ちょっ!! お爺ちゃんやめてよ!! 恥ずかしいから!!」 なんて言いつつもそこから動こうとしない。――仲がいい家族なんだな。 と、そんな光景を和やかに見ていた俺たちに、お爺ちゃんが向き直って深々と頭を下げた。と、それとお同時にお婆ちゃんも頭を下げた。「「「「「え!?」」」」」 頭を下げたままの二人に俺たちがおろおろとすると、お爺ちゃんが頭を上げてすまなそうな顔をしたまま話を始めた。「おぬしら……あの部屋に入ったのだろう? すまない。言っていなかったわしたちが悪いんだ」「それは……どういう?」 オロオロする皆を代表して、俺が返事をする。「あの部屋は……いわくつきの部屋なんじゃ。先祖代々のな。だから入るときは相当覚悟がいる。でもな……解決できることはもう無い事なのじゃ」「先祖代々? 受け継がれてきたという事ですか?」「うむ。見たんじゃろ? あそこに有った鏡台を」「えぇ……義妹たちがですけど……」 いつの間にかお爺ちゃんのなでなで攻撃から逃れた新島さんも、俺たちと一緒になってお爺ちゃんから話されることを待っている。「この新島家は呪われているんじゃ。あの鏡台にな……。そしてその呪いが先祖代々語りつがれ、保管をする事が義務になっている」「鏡台…&helli
last updateÚltima atualização : 2025-10-01
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第136話 調べて来た内容

   新島さんの家にいた日の数日後。俺たち研究部メンバーは、部室にあてがわれた教室から飛び出して、いつもたまり場的に使っていたファミレスに来ていた。 これは相馬さんからの提案で「いつも室内に居たら暗くなるから」という考えの元、それに日暮さんとカレンが同調し、ちょっと遠いけど集まる場所を変えたのだ。しかしその事で相乗効果という訳ではないけど、この日は俺たちの学校に行けないと言っていた市川姉妹もここなら合流することが可能と連絡があって、元祖メンバーともいうべき面々がそろっている。  メンバーが多くなったことで、最近ではいつも奥に陣取っていたテーブルと、その隣に並んであるテーブル席を自分たちで占領する形になっているが、カレンの事をよく知る店員さんと、俺たちがここに良く通っている事を知る店長さんが快く使う事を了承してくれた。まぁ店長さんは苦笑いしていたけど。 現在は二つのテーブルの片方に、相馬さんと日暮さんに市川姉妹、今回の話の主でもある立花先輩と新島さんが座り、俺たちの方には伊織と大野君、カレンとなんとカレンのマネージャーである水野さんが座っている。 伊織の横にちょこんと座ってアイスコーヒーを飲んでいる男子に視線を向けて、俺はため息をついた。――とはいえ、大野君もいるんだよなぁな……。 実の事を言うと内心で俺は、この大野君についてちょっと思う事があるのだが、今はまだ決定的なことが起こったわけではないので、自分の心の中だけにしまっておこうと思っている。だからこそその想いを伊織にも誰にも話さないままで、ここに彼がいる事も何も言わないでいる。  ただそれでもどうしても気になるのは仕方ない事ではある。しかもなぜかいつも伊織の隣に居るのが少し不満でもあるのだが、こればかりは仕方ないと心で唸るしかない。何しろ、いつの間にか俺の周りには人が集まるようになっていて、いつの間にか部長という役職が付き、今ではその周りの皆を纏めることを期待されている……と思いたいが、そこは俺の性格上まず無理だと思われていると思うので、気にはしないでおこうと思う。
last updateÚltima atualização : 2025-10-02
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第137話 まだ言えない

   初めの頃はそれで上手くいき、周辺の人々を上手く取り込むことに成功し、新島家は周辺にも顔が聞き始め、土地の管理や人々の流れなどを管理することが容易くなり、収穫物や税の取り立てなども順調に進んでいた。 しかし、時代が下がり戦国期が平和裏のうちに終焉へと向かうと、今度はそのことが裏目に出始める。 周りには一族ともいえる血縁関係が出来上がってしまっているので、確かに協力出来る事は協力するのだが、小さな諍いが起きてもそれが『一族』だからという理由だけで、一方的に処理されるという事が多くなり、いつしかその小さな不和は大きな不協和音となって集落を襲った。 その間にも、新島家は優秀な家柄の子供などに、自分の子供達だけではなく、親戚中から結婚相手をあっせんするようになっていたので、親戚一同によるお家を二分する大きな戦へと発展してしまったのだ。 この戦いは、双方に大きな犠牲者を出すことになり、それを嘆いた両陣営の主だった家から提案があり停戦するに至る。 新島家としては本家という自負もあり、何もなしのままに停戦する事は出来ないと相手側に提案。すると相手側の有力者の一人娘を人質にすることで停戦をする事が決定する。 しかし、実はこの時送られてきた一人娘は新島本家を見張る事を秘密裏の使命として課されており、本人もそれを承知しての嫁入りとなった。 その後は鎮圧戦と言われる、小規模の争いは新島家領の外側で起きるものの、大きな戦になることもなく終焉を迎えた。  これで話が終わっていたら良かったのだが、事はそれで収まらなかった。  一人娘を差し出した有力家が新島家に謀反を企てていると、まことしやかにうわさが流れ、嫁に入った一人娘が新島家の当主に、自分の部屋で休んでいる時を狙われ手打ちにされたのだ。 手打ちになった嫁はその時、自分の命が後わずかだと悟ると、血を流しながらも嫁入り道具であった品々に何やらブツブツと唱えながら絶命。その亡骸は嫁の実家へと送り返されたのだが、その流れた噂というモノが、実はこの二家を仲たがいさせるための流言で有り、隣領の陰謀だと分かる。
last updateÚltima atualização : 2025-10-03
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第138話 俺の勘

   久しぶりにフルメンバーが集まった我が学校の校門前。夏休みが終わったとはいえ、まだまだ夏の日差しが強いお昼過ぎ。最近では見慣れた光景になっている女子組の私服姿も、学校の校門前に居るというのに、どこかのモデルのファッションショーのような様相である。 カレンは言うまでもなくアイドルなのでその雰囲気というのが出ているし、市川姉妹も雑誌から出て来たモデルと言われても『うん』と頷いてしまうだけの説得力がある。相馬さんはそのキャラからくる雰囲気のままで明るい装いだが、日暮さんは対照的に巫女さんを思わせるような静かさを纏っている。  このメンバーを見るだけでも俺ならちょっと気後れしてしまうが、俺と伊織が校門前に到着した時には、それぞれに我校の男子や、大学生などが声をかけていた。――まぁそうなるよな。 その光景を見ながらひとりで納得する。 群がる男子を何とかいなしている女子組スキルの強さと、カレンと一緒に来たと思われる水野さんが頑張って集まった男子を追い払っていた。 そんな中で所在なさげに端に一人で佇む男子が一人。俺と伊織の姿を確認したのか、凄く笑顔を見せながら駆け寄ってきた。すぐに伊織が俺の後ろに隠れる。――苦手なのは変わらないか……。「待ってました!!」「やあ大野君。こんにちは」「こ、こんにちは!! 今日はよろしくお願いします!!」「こちらこそよろしくね」「…………」 俺達に元気に挨拶をしてくれる大野君と、それに頭を下げて挨拶を返す伊織。いつもの事だけどそんな二人のやり取りに微笑んでしまうのは仕方ない。「あ!! シンジ君と伊織ちゃん!!」 門前の男子たちに囲まれていた中からカレンの声が聞こえた。どうやら俺と伊織が到着したことにようやく気が付いたらしい。カレンの声によって他のメンバーもこちらに気付いたようで、俺たちの元へと男子たちを掻き分けるようにして近づいて来た。 そうなるともちろん「ちっ」とか
last updateÚltima atualização : 2025-10-04
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第139話 疑惑の目

   「こちらこそ。今日はよろしくおねがいします」「「「「「「「「よろしくおねがいします!!」」」」」」」」 俺のあいさつの後に皆でそろって挨拶を返した。そのあとに俺は七瀬先輩の横に並ぶご両親に視線を向ける。俺の視線に気づいたお二人が苦笑いしながら俺の視線の意図に気づいてくれた。「私たちはこれで帰るよ。実は七瀬の事でお世話になった事を新島さんの家の方々に説明して、君たちの事は信用しても良いと言いに来ただけだから」「そ、そうですか……。それにしても俺たちの事をそれほどまでに信じてもらって大丈夫ですか?」「何を言っているんだい!! 君達には返せないほどの恩がある。実際に君達がしたこと、してくれたことを間近に見て来た我々が説明すれば、納得はしてくれなくても信じてはれるだろう? そのくらいはさせてくれ。あまり恩返しにはならないかもしれないがね」 七瀬さんのご両親と共に、七瀬さんも俺たちに頭を下げた。「いえいえ!! 止めてください!! 頭を上げて!!」「そうですよ!! 出来る事をしただけですから、それに完全に解決したわけじゃ……」 俺が慌てて立花家の方々に声をかけて頭を上げてもらう。伊織も申し訳なさそうに俺の後に声をかけた。「いや。君達からしたら解決していないのかもしれないが、私たち家族からすれば十分にしてもらったんだ。これからも何かあれば声をかけてくれ。妻と七瀬と共に君達に協力するから」「「ありがとうございます」」 俺と伊織が一緒にお礼をする。それに合わせて他のメンバーは頭を下げた。 その後に七瀬さんのご両親と少し話をして、お二人は家路についた。七瀬さんは俺たちと共に新島家中へと行くことになっているのでその場に残り、二人に手を振っていた。 帰り際に、大野君の姿を確認したお二人は大喜びしながら抱きしめていた。その様子を俺と共に皆で温かいまなざしを向けて見守っていた。 しかし伊織だけは新島家の敷地内が気になっているのか、静かに門の内側の方へ
last updateÚltima atualização : 2025-10-05
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第140話 あなたはダメよ

   誰も部屋の中に居ないのにもかかわらず、ひとりでに鏡面部分が開いた鏡台はもちろん言葉を発することは無いのだが、聞いた話とは異なり実際に目の前にしてみると、確かに何者かからみられている感覚がした。 そしてただ見ているわけにもいかないので、部屋の中へ新島家の人から一人、また一人と入って行くのだが、ドアを開ける前から感じていたプレッシャーのようなものに変化はない。 新島家に居た家族全員が部屋の中に入り終わった後に、今度は研究部のメンバーが入ることになったので、一応誰から入るか皆の顔を見回して確認する。しかし誰からもアクションが無いので、ため息をつきつつ俺が率先して入ろうとドアの側に近づいた時、大野君が声をかけてきた。「俺が一番先に入っても良いですか?」 この部屋に向かっている時は列の最後方居たはずの彼は、声をかけられて振り向くと俺のすぐ後ろまで接近していた。「大野君……。だいじょ……うん。分かった。じゃぁ頼んでも良いかな?」「はい!! 任せてください!!」 フンスという擬音が似合いそうなほどに意気込んだ感じの大野君が、俺の前へと進んでくる。それを 俺が少しドアから横にズレる事で、部屋の中へと入りやすくした。「いいの? お義兄ちゃん……」「ん?」 ドアから少離れたところに移動した俺の所にスッと伊織が近づいて来て、俺に聞こえるような小さな声で聞いてきた。――伊織も何か感じたのかな? この部屋の中入る事、中を見る事も怖いと言っていた伊織が、ドア近くにまで来て俺だけに話かけて来たという事は、何かした意図に気付いたのか、それとも伊織なりに何か考えがあるのかのどちらかなのだろう。 俺としては、伊織の考えを聞いてから行動することも悪くは無いと思うのだが、ここは彼の意図も分からないので、そのまま成り行きに任せてみることにした。「彼《・》なら大丈夫だよ……たぶんな……」「大野君の事?
last updateÚltima atualização : 2025-10-06
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